• ビジネス
  • xTECH
  • 医療
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP
日経テクノロジーonline SPECIAL

技術ドメインやマーケットに特化したキットが続々開発の効率化で製品の付加価値向上に貢献

Programmable Imperative(プログラマビリティの必然)」という話題がエレクトロニクス業界で表面化してきたことを受けてザイリンクスは、「ターゲット デザイン プラットフォーム( TDP)」という独自のコンセプトに基づく戦略を展開している。技術ドメインや市場に合わせたプラットフォームを用意することで、開発効率の向上に取り組むユーザーを強力に支援する考えだ。

同社のターゲット デザイン プラットフォームは、FPGA評価ボード、開発ツール、IP、リファレンス・デザイン、ケーブルや各種マニュアルなどを一つのパッケージにしたものである。これをキットとしてユーザーに提供する。システムの開発や検討に、必要なツールが簡単に揃うので、設計者は速やかに開発に着手することができる。しかも、同社が用意したツールを活用することで効率よく開発を進めることが可能だ。

こうしたキットを、ユーザーが開発するシステムの技術ドメインや市場(アプリケーション)ごとに用意するというのが「ターゲット デザイン プラットフォーム」の考え方だ。ターゲットを絞ることで、開発効率向上に貢献する利点をより多く提供できる。「お客さまの領域にかなり踏み込んだ形でキットを設計しています。こうした取り組みは、プログラマブル・デバイスの業界では、まだ珍しいと思います」(同社 橘幸彦氏)。キットは、同社あるいは同社のパートナー企業が提供する。いずれも同社製品の販売代理店を通じて購入することができる。

同社は、様々なユーザーのニーズに柔軟に対応できるように、大きく三つの階層に分けてキットを展開している。基盤となっているのが「基本プラットフォーム」。標準的な評価ボードと開発ツールといった基本的な要素で構成されており、もっとも汎用的なプラットフォームとなるキットである。その上位にあるのが、「ドメイン特化プラットフォーム」。「組み込み(エンベデッド)」「DSP(Digital Signal Processing)」「コネクティビティ」といった各技術ドメインに合わせて最適化したキットが揃っている。ここに属するキットには、ドメインに合わせて機能を拡張した評価ボードや、ドメインに特化したリファレンス・デザイン、ソースコード、IPなどが含まれている。

最上位が、「市場特化プラットフォーム」。映像機器や通信機器など特定のアプリケーションに特化したキットが揃っている。各キットには、アプリケーションに合わせた専用ボードや専用ツール。さらに評価済みのリファレンス・デザインなどが含まれている。「インターフェイスなど比較的汎用性が高いシステムの開発には『ドメイン特化プラットフォーム』のキットが適しています。最終製品に近い、いわゆる“ターン・キー・ソリューション”を必要としているお客さまには、『市場特化プラットフォーム』のキットが向いているでしょう」(橘氏)。

日本発のプラットフォームも登場

図A●ドメイン特化プラットフォームの一つ「Virtex®-6 FPGA コネクティビティ・キット」
[画像のクリックで拡大表示]
図B●日本発の市場特化プラットフォーム「Spartan®-6 FPGAコンシューマ ビデオ キット(CVK)
[画像のクリックで拡大表示]

ドメイン特化プラットフォームと位置付けられている主なキットには、組み込み用キット、DSP開発用キット、各種インターフェイスの開発に向けたコネクティビティ・キットなどがある(図A)。いずれも、同社の主力製品「Virtex®-6」と「Spartan®-6」のそれぞれに対応したキットが用意されている。

市場特化プラットフォームのキットでは、車載機器、放送機器、コンシューマ機器、画像処理や産業用ネットワークなどの産業用システム、OTN(Optical Transport Network)規格の高速光通信システム用などを揃えている。この中のコンシューマ機器向けキットの一つで画像処理アルゴリズムや標準インターフェイスをサポートしたキット「Spartan-6 FPGA コンシューマ ビデオキット(CVK)」は、東京エレクトロンデバイスと同社が共同で開発したもので、海外でも展開されている(図B)。このキットは、複数の大手テレビ・メーカーに導入し、3Dテレビの開発で活躍した。「先進技術を短期間で製品化するのに、FPGAおよび市場特化プラットフォームのキットが貢献した好例といえるでしょう」(橘氏)。ターゲット デザイン プラットフォームを活用することで開発期間を短縮し市場のニーズにいち早く応えることができそうだ。



記事トップ >>

Programmable Imperative(プログラマビリティの必然)とは、エレクトロニクス機器の開発においてFPGA(Field Programmable Gate Array)などのプログラマブル・デバイスを中核としたプラットフォームの必要性が高まってきたことを表す言葉である。この言葉は、40nm代のプロセスを使ったFPGAが登場した2009年ころから業界で浮上してきた。この背景には、従来のようにASIC(特定用途向けIC)やASSP(特定用途向け汎用IC)をキーにした製品開発を続けていたエレクトロニクス機器メーカーが市場の動きに追随できなくなってきたことがある。

FPGAが微細化をリードする時代

近年、ほとんどの製品分野において、市場における製品のライフ・サイクルが短くなっている。このため、多くの機器メーカーが開発期間(「Time-to-Market」)の短縮を迫られている。しかも、同時に市場のニーズが多様化する傾向も進んでいることから、大量生産を得意としてきた機器メーカーも少量多品種生産を前提にした製品開発に取り組まざるを得なくなってきた。

ところが、こうした取り組みを進めるうえで、大きな問題として浮上してきたのが微細化にともなうASICやASSPの開発費の高騰である。最近まで半導体プロセスの微細化は、半導体メーカーにとっても、ユーザーである機器メーカーにとっても、一つの付加価値の源泉だった。

微細化を進めることによって、チップ面積を小さくし、一つのウェハーで製造できるチップ数を増やせば製造コストを削減できるからだ。半導体デバイスの低コスト化は、搭載する機器のコスト削減にも貢献する。さらに微細化によってデバイスの高速化と低消費電力化も進めることができるので、製品の性能を高めることもできた。

図1●微細化とともにASIC/ASSPのデザイン数が減少
[画像のクリックで拡大表示]

ところが、微細化が進むにつれて回路が複雑化したことで、マスクの製造コストなどが急上昇。ASICやASSPの製造コストが急増してしまった。そのうえ、微細化にともなって集積するトランジスタで発生するリーク電流が相対的に大きくなることなどから性能向上や低消費電力化を進めることも難しくなってきた。このため微細化のトレンドは、近年急速に減速。同時にASICやASSPの開発件数も減ってきた(図1)。だが、新規のデバイス開発を止めて既存のデバイスで製品の付加価値を生み出すのには限界がある。こうした問題が深刻化する一方で、存在感が高まってきたのがプログラマブル・デバイスの一つであるFPGAである。

プログラマブル・デバイスが必須に

図2●ザイリンクスの「ターゲット デザイン プラットフォーム」
[画像のクリックで拡大表示]

FPGAは、比較的シンプルな回路を維持したまま回路の大規模化を進めることができるので微細化の恩恵を継続して受けることができた。しかも、必要に応じて回路が変更できるプログラマブル・デバイスは、少量多品種製品に対応するうえでも有利だ。ASICやASSPの開発コストの高騰を受けて、こうした特長が機器設計者の間で脚光を浴びるようになったFPGAのようなプログラマブル・デバイスを基にエレクトロニクス機器を開発することは、もはや必然と言える状況になっている。Programmable Imperativeという言葉が出てきたのは、このためだ。

こうした動きを受けて、大手FPGAベンダーの一部は、いち早く機器設計者に向けたソリューションの強化に乗り出している(図2)。例えば、ザイリンクスは、「ターゲット デザイン プラットフォーム( TDP)」とよぶ新たな開発プラットフォームのコンセプトを打ち出し、開発期間の短縮や開発の効率化に取り組む技術者を支援する姿勢を明確にしている。

お問い合わせ