ハイパーコンバージドインフラストラクチャの最適なソリューションとは

ハイパーコンバージドインフラストラクチャの最適なソリューションとは

SDS(Software Defined Storage)やSDN(Software Defined Network)などのソフトウェア定義のソリューションや技術が進化し、広がりを見せている中、企業のインフラをクラウドのように扱えるソリューションとして、ハイパーコンバージドインフラストラクチャ(HCI)に大きな注目が集まっている。HCIにはどのようなメリットがあり、どのような課題があるのだろうか。日本仮想化技術の宮原 徹氏がモデレーターとなり、HCIをOSの標準機能で構成できるWindows Serverを提供する日本マイクロソフトの高添 修氏、さまざまなHCI製品とともに今回Microsoft Storage Spaces Direct Ready Nodes(以下S2D RN)を提供するDell EMCの正田 三四郎氏、構築だけでなくプライベートクラウドを自らも利用している野村総合研究所の竹本 具城氏に座談会を行ってもらった。

V2Vの移行対象としてHCIが選択され始めている

宮原 我々がこれからは仮想化だ! と起業してから10年以上が経ちますが、気がつけば世の中では一般的に仮想化が使われるようになっています。当社は、お客様に中小規模のプライベートクラウドの構築から、通信会社の大規模なクラウドの構築サポートまで、仮想化テクノロジーをキーにしてさまざまソリューションを提供しています。私の立場としては、仮想化専門のコンサルタント/アナリストとして最新の市場動向を見てきました。

 最近の傾向として、初期に導入されたプライベートクラウドの耐用年数が切れて、仮想化から仮想化へのV2Vの移行を行わなければならない時期に来ています。パブリッククラウドは、数年前から導入が進んでいますが、やはりプライベートクラウドからパブリッククラウドに移行することが難しいものもあります。昨年(2016年)くらいから、V2Vの移行の話が出てきている中で、HCIを解決策として求められているお客様が多いことに驚きました。私にとっては、HCIはVDI用というイメージが強く、ワークロードが一定でリニアにスケールを伸ばせるものに適しているという印象でした。そのため、共有ストレージ型のオンプレミスのプライベートクラウドをHCIに移行したいというのが、ちょっと意外な感じがしたのです。このようなHCIのトレンドと変化について、皆さんはどのようにお考えですか。

高添 パブリッククラウドというもう1つの選択肢がある中で、オンプレミスでも基盤の構築に人とお金と時間をかけている場合ではないというのを、端的に示してくれたのがHCIの各ベンダーだと思っています。お客様は、まずその便利さに乗ろうと動いているのではないかと認識しています。HCIで何かをしようという明確な理由があるとは、あまり思っていません。

宮原 以前は、物理から仮想化に移行するときに移行コストが大きく、サイジングなどもしっかりと行いたいので、我々のような会社に依頼いただくことが多かったです。最近は、仮想化すること自体がコモディティ化し、ユーザーも仮想化インフラを使うことに抵抗感が薄れてきています。その中で、より効率よくシステムを維持するものとしてパブリッククラウドが使われ、プライベートクラウドでも簡単に導入できて安心して利用できるものとしてHCIが選ばれるようになってきていると思います。そこでもやはり、プライベートクラウドでは、ストレージ周りが大変というイメージがあるのでしょうか。

株式会社野村総合研究所
執行役員
クラウドサービス本部長
竹本 具城 氏

竹本 HCIのコンセプトや話を聞いていると、SDSの機能に非常に魅力を感じます。これまでも、共有ストレージとしてSDSの機能を使ったりしていますが、共有ストレージ障害時の影響が大きく、管理の手間も大きくなっていました。現在は、HCIのSDSレイヤに耐障害性がしっかり搭載され、DR(Disaster Recovery)の機能が組み込まれるようになったため、とても魅力を感じていますね。

宮原 専用ストレージについては、安心感はありますが、管理が大変という話は、お客様からもよく聞かれます。細かな話ですが、専用ストレージを利用するとき、何か新しいことを始める場合や障害対応しなければならない場合に、初期投資が大きく、導入/障害テストをしづらいというジレンマがあると思います。それに比べると、SDSは小さなものでもいいから自分で作ってテストできるなどの俊敏性が非常に高いという魅力があります。システムの導入から運用全体を見る中で、ストレージ部隊が苦労されているところは多いのでしょうか。

竹本 ストレージの設計では、苦労が多いですね。また、V2Vの移行を行おうとする場合、上のレイヤのV2Vは比較的スムーズに行えますが、ストレージプールをV2Vで移行するのは非常に大変です。ストレージを移行させるツールなどもありますが、実際のデータの性質などを考えて設計などを行わなければなりません。
 そのため、HCIの分散ファイルシステムのアーキテクチャには非常に魅力を感じますし、それを踏襲したWindows Server 2016 Datacenterの記憶域スペースダイレクト(Storage Spaces Direct:S2D)にも興味を持っています。

宮原 正田さんは、HCIの市場をどのように捉えていますか。

正田 Dell EMCの売り上げや今後の見込み顧客の傾向が最近ちょっと変わってきています。先ほど宮原さんがおっしゃったように、従来はVDIでHCIを使われるケースが多かったのですが、最近の傾向としては、まず運用規模の小さいセグメントでの採用、用途についても従来のVDIや検証目的から、ストレージのリプレイス、データベース、新規の仮想化基盤構築で使われるなど、活用の幅が広がってきています。つまり、非常に大規模の限定的な用途から、一般的に使われてきつつあることをデータやお客様・パートナー様からのフィードバックから実感しています。

HCIとSSDでローエンドからミドルレンジまでをカバーできる

宮原 これまでのトレンドを見てみると、物理から仮想化のときには、サーバなどの物理的な機器が増えすぎたものを仮想化の技術を使って減らしていこうという考えがあり、半分や1/3に集約してきました。その流れの中で、SDSやSDNが出てきて、ストレージやネットワークも集約されていきました。ネットワークでは、10ギガビットイーサネットが安価になってきたので、共有ストレージで使われてきたファイバーチャネルが10ギガビットイーサネットに置き換えられることによって密結合を作れるようになりました。また、中小規模のお客様は専任のITスタッフがいないことも多いため、多くの機器を抱えたくないという背景があり、専用ストレージで冗長構成にするような膨大なコストをかけなくても、ローカルのディスクをつなぎ合わせてストレージにできるというのは納得感があると思います。

竹本 これまでは、データベースサーバ系には、ファイバーチャネルとハイエンドストレージで構築していました。このような高い性能が求められるハイエンドデータベースサーバ群には、それに見合った機器を活用しますが、そこまで性能を求めない部分はHCIで足回りを整えれば、十分運用が成り立って楽になるという感覚が今はありますね。今後は要件によってはローエンドからミドルレンジは、HCIを標準化されたインフラとして使うという考え方はあると思います。

宮原 専用構成にしていくと、最も高いピークに合わせる必要があるので、それ以外の部分の投資対効果がどうしても低くなってしまいます。HCIによって、使い分けができるようになってきたというのは、竹本さんのおっしゃるとおりですね。

日本マイクロソフト株式会社
パートナーセールス統括本部
インテリジェントクラウドテクノロジー本部
テクノロジーソリューションプロフェッショナル
高添 修 氏

高添 Windows Serverの面白いところは、HCIも作れるけど、ハイパーバイザーを切り出してコンバージド型にも戻せるところです。システムによっては、ストレージ要件とハイパーバイザーの要件が分かれてしまうので、そこを切り分けられるのもWindows Serverの強みです。
 またWindows Serverは、仮想マシンからハードウェアのリソースを徹底的に使えることも考慮しているので、NVMe SSDなどをうまく組み合わせればストレージのパフォーマンスだけで専用構成を選択しているケースも置き換えるだけの力を持っていると思います。我々は、みんなが簡単に使えるといったところから、専用機でなければできなかった範囲へと、下から広げている過程だと考えています。

宮原 市場としては、ローエンドからミッドレンジまでの広範囲でHCIのようなシンプルなソリューションを提案しやすくなってきているのでしょうね。それらのレンジでは、共有ストレージまで入れようとすると、管理コストや導入コストが高くなってしまうので、ローコストなSSDやHDDを搭載したx86サーバーをSDSで活用するというのが、今後の選択肢として1つ増えたという状況なのだと思います。

高添 社内でもスピード感を持って利用者にサービス提供できる仕組みを持ちたいと考えるのであれば、現在のオンプレミスのプラットフォームよりも、HCIを導入してリソースを容易に追加できる状態が望ましいと思います。HCIは、ハードウェアのメンテナンスが楽になるといった目的で導入されていますが、どこかのタイミングで、社内のリソース管理にスピード感をもたらすという次のステップに行く必要があり、次のステップに行ったときに、真のHCIのよさが市場に認知されると思います。我々も、HCIのニーズがあるからそこに入れてくださいとお願いするだけでなく、次のステップを考えた提案をしなければならないと考えています。

宮原 従来、コンピューティングのリソースを増やすことを考えた場合、CPU、メモリ、HDDといったハードウェアレイヤの単位で見ていましたが、ここまで仮想化が進むと、結局まとめて束ねられるという感覚になってきていると思います。HCIを導入すれば、CPU、メモリ、HDDといった細かな単位でサイジングしてきたものを、同じ構成のサーバを追加するだけでリソースを増やすことができます。一方で、ユーザーから見れば、サーバ単位で追加するのではなく、細かく自分たちのワークロードをサイジングしてほしいという疑念が出てくるかもしれませんが、それらは今後2~3年かけて解消されるのではないかと考えていますね。当初、仮想化って使えるのという疑念が2~3年かけて解消されたのと同じように、ワークロードが非常な高負荷ではないのであれば単純にサーバを追加していくだけでよいというように変わり、高性能で低価格なSSDなどを効果的に使えることが浸透していくのだと思います。

オンプレミスから仮想化、HCIへの進化
1 2 3