IoT&Enterprise Forum 2016 Winter REVIEW 〜IoTビジネスで勝ち抜く―先進事例で学ぶ「勝てる」IoTビジネス〜

共創から始まるIoTの新たな社会価値 ICTインフラが果たす役割と可能性とは

IoTを成功させる鍵は、変革する意思と確たるビジョン、そして的確なパートナー選びにある。IoTを活用してビジネスを勝ち抜くためには、何を心がけ、どんなことを達成目標とすべきか。先進事例やパートナーシップの重要性を通して、IoTの最前線を考察する。

インターネットイニシアティブ 取締役CTO 島上純一氏

 1992年の創業以来、深くインターネットと関わってきたインターネットイニシアティブ(以下、IIJ)では、IoT時代に柔軟に対応するサービスを数多くそろえている。2009年にはクラウドサービスの「IIJ GIO」、2015年にはSDN/NFVによるネットワークサービス「IIJ Omnibus」の提供を開始。また、「IIJモバイル(IIJmio)」は日本におけるMVNOサービスの代表的存在にまで成長し、モノの通信分野で今後のさらなる飛躍が期待される。

 IIJ取締役CTOの島上純一氏は、これら多彩な自社サービスについて触れながらも「IoTの適用分野は非常に広い。我々もICTインフラ領域で取り組んできたが、もはや1社だけでは取り組めるものではない」と指摘。そこでIIJでは、"共創"をキーワードとしたコラボレーションに積極的に取り組んでいる。

IoTはICTのデパート、それぞれをつなぐ架け橋に

 島上氏はまず、IoTには下流から上流に向かって、「センサー」「デバイスゲートウエイ機器」「ネットワーク」「デバイス管理/データ収集・蓄積」「アプリケーション/ミドルウエア/データベース」「特定業務アプリケーション」と6つのレイヤーがあるとし、「まるで"ICTのデパート"。全ての技術要素を含むのがIoTと考えている」(島上氏)と解説した。

IoTに関わるICTのレイヤー

 続いて具体的な取り組みについて触れた。最初に紹介した日本精機との協業は、下流部のセンサー、デバイスゲートウエイ周辺の事例となる。自動車・オートバイ・建設機械などの計器・センサーメーカーとして名高い日本精機は、高度なセンサー技術を活用して新規事業開拓を計画し、温度や振動といった情報でプラントの稼働状況を遠隔監視するクラウド型サービス「SMASHシステム」を構築。この新規事業をIIJがサポートした。日本精機ではセンサー、ゲートウエイモジュール、中継器などを製作し、IIJでは閉域網モバイルとクラウド環境を提供することで、セキュアなIoTプラットフォームを作り上げた。

 2つ目に紹介したブレインズテクノロジーの事例は、上流部のミドルウエアにおける実践例だ。ブレインズテクノロジーでは機械学習によるリアルタイムデータ分析処理基盤「Impulse」を提供しているが、その基盤としてIIJ GIOを活用。大規模データセンターで実証実験を重ねてノウハウをサービス化し、高速な分析基盤を生かしたIoTソリューションを共同開発した。

 最後に紹介したアットマークテクノは組み込みプラットフォームに強みを持つ企業で、IoTゲートウエイ管理サービスの「node-eye」を販売している。node-eye では、IoTゲートウエイ機器の死活監視・リモート設定・リモートアップデートなどの一括運用・管理が可能。そしてこのサービスに、IIJ独自の遠隔機器管理システム「SACM(Service Adaptor Control Manager)」がOEM提供されている。

 この3つの事例を通し、島上氏は「それぞれの得意分野を持ち寄って新たなIoTの仕組みを作っていく。さまざまなパートナーと一緒にIoTを発展させていきたい」と語った。

トータルパッケージとして「IIJ IoT」を始動

 このようにICTインフラの先駆者としてIoT事例の架け橋となってきたIIJでは、2016年11月にIoTのフルマネージドサービス「IIJ IoT」の提供を開始した。「モバイル、セキュリティ、デバイス管理・制御、ビッグデータ、ネットワーク、クラウドをまとめたサービスがIIJ IoTとなる。最終的にお客様が集中したいのは最上層の業務部分にほかならない。1つ1つを気にせず上層部のビジネスに集中できるように、IIJが全体を管理・提供するサービスだ」(島上氏)。

IIJ IoTの概要

 島上氏は、IIJ IoTが次のフェーズへの進化を後押しすると話す。「デバイス分野で先進的な技術を保持する企業は、モノではなくサービスを提供するつもりでIIJ IoTと組んでほしい。処理に注力しているベンダーなら、IIJ IoTを基盤として利用してもらい、データ収集の部分で協業していければより発展が見込めるだろう」(島上氏)。

 将来的な展望として興味深いのが、国内で唯一IIJのみが取り組んでいるフルMVNOサービスである。既にIIJでは2016年8月にNTTドコモに対し、フルMVNOサービスの提供に必要な加入者管理機能の連携を申し込んでおり、2017年下期に提供予定となっている。フルMVNOサービスの利点は独自にSIMを発行できる点にあり、IoT視点で見た場合、これは非常に大きなアドバンテージになるという。

 これを受け島上氏は、「フルMVNOでは、キャリアが定めた形式に縛られず、MVNOが自由にSIMを発行できることが利点だ。そのため、従来のカード型のSIMだけでなく、組み込み式のeSIM提供を考えている。SIMの情報を機器にソフトウエアで実装する組み込み式ならSIM専用のスロットも要らず、製作コストも削減でき、後から何度もソフトを上書きできる。こういうソリューションがMVNOでも可能になる。ぜひ共創で一緒にやっていきたい」と話し、積極的に"共創"に取り組んでいく姿勢を改めて強調した。


【無料トライアル】閉域モバイルSIMとプラットフォームをご提供(先着100名様に!)
キャンペーンサイト