IoTはパートナー同士が生み出すビジネス求められるのは強力なエコシステムの構築

エンド・トゥ・エンドでソリューションを実現するIoTビジネスは1社だけでは完結しない。新しい産業でこれまでにない価値を創造するためには、円滑なパートナーシップと狙いを定めたデータ活用が必要だ。「モノからクラウドまで」を串刺しにするインテルが描くIoTプラットフォームとは、一体どのようなものなのだろうか。

インテル IoTシニア・スペシャリスト 下堀 昌広氏

 半導体の巨人としてコンピューティングの歴史を牽引してきたインテルは、IoT時代にも中核を成す存在だ。同社の半導体はウエアラブルデバイス、IoTデバイス、パソコンやタブレットなどのクライアント機器はもちろんのこと、ゲートウエイ機器をはじめとするネットワーク、データセンター(クラウド)に至るまでさまざまな領域で活用され、IoTのサイクルにおいて不可欠な存在となっている。

 このIoTサイクルでインテルが担う役割は、“新たな価値の創造” に他ならない。インテル IoTシニア・スペシャリストの下堀 昌広氏は「これまでクラウドやネットワークがビジネスを変えてきたのと同様に、IoTそのものがビジネスを変革していく。高性能なCPU、プログラマブルソリューションのFPGA、メモリなどを活用して解析の高速化、処理の最適化を図り、データ解析を次代のビジネスにつなげたい」と語る。

 こうしてインテリジェンスを高めることにより、マシンラーニング、ディープラーニング、コグニティブコンピューティングといったAIマナーに則った戦略を立てることも可能になる。さらにはインテル® RealSense™テクノロジーを生かし、コンピューティングの世界に五感を与えることでユーザーエクスペリエンスを向上・改善することも視野に入れている。

各産業界のIoT活用プラットフォームとなる

 IoTを必要とする分野は、ヘルスケア・公共、運輸・自動車・交通、スマートビルディング、スマートホーム、流通、製造・エネルギーなど多岐にわたる。これらの分野で活用される代表的なソリューションとしては、予知保全、在庫とアセットの管理、安全とセキュリティ、予測分析サービスなどがあり、この傾向は今後さらに加速していくと推測される。下堀氏は次のように具体的な例を示して解説した。

インテルがIoTで注力する産業分野

 「例えば流通では、もはや店舗の中だけではなく、リアルとWebの垣根を超えたオムニチャネルの実現が必要になってくる。さらに実際の物流ビジネスを支える人が不足している現状もあり、サプライチェーンの効率化が強く求められている。

 また、製造現場ではシステムがどんどんIoT化されている。そこでは古い機械をどのようにメンテナンスして運用効率を高め、その上で新しいテクノロジーをどのように取り込んでいくかといった課題が出てきた」(下堀氏)

 この中でインテルは、それぞれの産業分野における“IoT活用のプラットフォーム”を目指す。「我々は“つながる、スマート、自律的”といった3つのフェーズを経て、モノからクラウドまで“エンド・トゥ・エンド”のソリューションを展開する予定だ。そしてフレキシブルで、費用対効果の高い産業別のソリューションを提供してビジネス課題を解決していく」(下堀氏)。

 一方、エッジからクラウドまでを串刺しにするIoTは、少数のメンバーでソリューションを実現できるわけではない。数多くの企業とコラボレーションする必要があるため、下堀氏は「強固なエコシステムの構築も必要」と説く。そこでは戦略的なマッチングを通じて協業するパートナー同士による新しいビジネスが生まれる可能性もある。しかし鍵を握るのは解析・管理を含めたデータ活用法であり、下堀氏は適切なデータマネージメントが「今後のIoTの成長に重要なポイントになる」と強調した。

すでに協業がスタート、マーケット拡大を推進

 IoTプラットフォームを実現するための製品としては、主力製品のCPU、プログラマブル回路のFPGA、フラッシュストレージ、インテル® RealSense™テクノロジーといったハードウエアに加え、組み込み向けリアルタイムOSのVxWorks、ビッグデータ解析ツールのTrusted Analytics Platform(TAP)といったソフトウエアなど、上流から下流に至るまでを網羅する。

インテルのIoTプラットフォームを形成する製品ポートフォリオ

 豊富なラインアップを駆使し、すでに他社とのIoTによる協業が始まった。下堀氏が最初に紹介したのはジーンズの有名ブランド、リーバイスでの事例だ。ここではRFIDタグを用いた店舗向けのソリューション「インテル® リテール・センサー・プラットフォーム」を活用。ジーンズにRFIDタグを付加して店舗内の在庫管理を改善していくもので、在庫管理不足による機会損失の低減に寄与し、リーバイスからも好評を得た。将来的には在庫管理の精度を一層高め、店舗における顧客体験の向上や倉庫管理も含めたビジネス計画に生かしていく。

 独SAPとは製造業におけるプラットフォームでコラボし、「エッジ側でスマートなインテリジェンスをリアルタイムで提供している」(下堀氏)という。米GEとのスマートライティングのプロジェクトではカメラとマイク、モーションセンサーを搭載し、見て、聴いて、感じることができるIoT照明の開発に取り組む。そのほか、独BMWとは自動運転、ビル設備の米KMC Controlsとはスマートビルディング、富士通の島根工場では修理プロセスにIoTによる運用の可視化を適用するなど、多数の産業でインテルのIoTが動き始めている。

 こうした中、インテルはIoT規格の標準化やコンソーシアムでのリーダーシップを通じて、マーケット拡大の推進に努める。ここまで見てきたように、IoTにおいても“インテル入ってる”シーンが多いだけに、IoT活用の心強いパートナーとなるに違いない。