クラウド化がもたらすビジネス革命

~IoT/データセンターの活用が新たな価値を生む~

データセンターはどのように進化してきたのか(前編)

原稿:元田光一

クラウドコンピューティングやIoT、ビッグデータといった最新のテクノロジーは、ビジネスだけにとどまらずこれからの社会システムの構築にも必須のものになっていく。それらのテクノロジーを支えるインフラは、インターネットだけではない。インターネットに繋がれている無数のサーバもインフラの一部であり、そのインフラを支えているのがデータセンターだ。データセンターは、今後インターネットとともにどのように進化していくのだろうか。その問いのヒントは、これまでのデータセンターの進化を振り返ってみることで見つかるかもしれない。

ノートPCしか必要としないオフィス

オンラインショッピングに限らず、現在さまざまなサービスやビジネスがネットワークなくしては成り立たないと言えるほど、インターネットは生活の中に根付いている。インターネットを活用することで、起業したばかりの会社や社員が数名しかいないような会社でも、世界中の人を相手にした大規模なビジネスが立ち上げられる。しかし、そのような会社でも、オフィスで使われているコンピュータと言えば、ほとんどがノートPCだろう。また、最近は専用のオフィスを持たず、社員がシェアオフィスやコワーキングスペースで、ノートPCだけを持ち寄ってオンラインサービスなどの事業を展開する会社もある。

そんな、今ではごく当たり前となっているビジネススタイルの裏では、サーバと呼ばれる無数のコンピュータがネットワークに接続され、Webサイトの表示から顧客とのメールでのやり取り、クレジットカードによる決済処理、コンテンツ配信などに利用されている。しかし、それらのサーバが置かれているデータセンターを、実際に見たことがある人はそう多くはないだろう。データセンターを実際に利用していても、そもそも、どのようにして誕生したのかなど、その生い立ちを知らない人も多いだろう。

メインフレームからクライアント-サーバへ

データセンターはもともと、インターネットを利用するために作られたわけではない。そもそも、パソコンなど安価で小型なコンピュータが登場する前は、メインフレームと呼ばれるコンピュータが企業の中で管理されていた。メインフレームとは、コンピュータメーカーが独自に開発したOSを搭載する大型コンピュータで、導入した企業では基幹業務として在庫管理や財務処理などのアプリケーションを動かしたり、金融機関やゼネコンなどの企業では膨大な数の取り引きに関するデータや図面データなどを管理することに使われていた。そして、当時メインフレームは、荷重と空調を考慮した専用の建物に置かれるのが普通だった。

その後、ムーアの法則と呼ばれるようなハードウエアの劇的な性能向上によって、専用の建物が必要なほど大きなメインフレームでなくても、机の側において使えるワークステーションと呼ばれる小型のコンピュータや、デスクトップ型のパソコンでも基幹業務などは十分処理できるようになる。このようなダウンサイジングの流れによって、企業におけるコンピュータの利用は社内LANにコンピュータを接続し、データ管理をサーバが行い入出力はクライアントが行うというクライアント-サーバ・システムの運用に移っていく。

ダウンサイジングの流れとデータセンターの誕生

ダウンサイジングによってコンピュータ専用の建物が必要なくなったとはいえ、トラブルが起きないように安定して社内システムを運用するには、一定の室温に保たれた部屋にサーバを設置することが必要だ。さらに、サーバを管理するエンジニアも常駐しなければならない。

この頃から注目を浴び始めたのがデータセンターだ。じつは、データセンター事業は、こういったコンピュータのダウンサイジングの流れとは別に、NTTが電話交換機を災害から守るために建てた頑丈な電話交換局の空きスペースを使って、すでに始められていた。当初はADSL事業者などを対象に、ネットワークサービス用の機器を預かる事業であった。このスペースを使って一般企業向けにサーバを預かるサービスも始めると、企業にとっては社内スペースを有効に使え、電力消費の抑制やセキュリティ対策などの手間が省けるなどのメリットが生まることから徐々に需要が増え、さまざまな企業が一気にデータセンター事業に進出してくることになる。