クラウド化がもたらすビジネス革命

~IoT/データセンターの活用が新たな価値を生む~

データセンターはどのように進化してきたのか(後編)

原稿:元田光一

前編で紹介したように、日本ではメインフレームという大型コンピュータがクライアント-サーバ・システムの運用に移行するというハードウエアのダウンサイジングの流れによって、データセンターに注目が集まってきた。1980年代末から1990年代前半にかけてのことだ。そして、1990年代後半からは通信コストのダウンサイジングとインターネットによるビジネスへの期待が高まり始め、さらにデータセンターの必要性が増していくことになる。後編では、その後のデータセンターがどのように進化してきたのかを見てみよう。

データセンターの促進、その起爆剤とは?

データセンターが注目を集め始めた頃、社内にサーバを置かないことで設備や電力消費に伴うハードウエアの運用コスト削減には貢献できたが、当初はデータセンターとサーバを預ける側の企業との間には専用の通信回線が必要だった。その頃の専用回線は月額利用料が高額であったことから、結局データセンターを利用することでコストメリットが得られる企業は限られていた。しかし、1990年代後半からインターネットのインフラが急速に普及し始め、データセンターと企業との接続がVPN(Virtual Private Network)というインターネットを利用する安価な接続方法に移行し始めた。

こうした通信コストのダウンサイジングの流れによってデータセンター利用のハードルが下がり、サーバなどのハードウエアを保管しておくだけのハウジング・サービスだけでなく、サーバの運用管理までも依頼するマネージド・サービスや、データセンターが保有する機器を企業にレンタルするホスティング・サービスが登場し、データセンターのサービスが多様化していくことになる。

データセンターの活用で広がるインターネット・ビジネス

インターネットを利用したデータセンターは、この頃からインターネット・データセンター(iDC)と呼ばれるようになる。一方で1995年のWindows95発売以降、個人でも気軽にインターネットが利用できる環境が整ってくるに連れ、オンラインショッピングを中心にインターネットを活用したビジネスが徐々に広がり始める。1997年には楽天が個人店を集合させたオンラインショップ・モール「楽天市場」のサービスを開始し、2000年にはアメリカで書籍販売で成功を収めた米Amazonが日本に進出した。以降、企業はインターネットを活用した企業間(B to B)取り引きや企業・消費者間(B to C)取り引きのビジネスに本格的に取り組み始める。

EC(Electronic Commerce)による取り引きが盛んになると、24時間365日の安定したECサイトの稼働が重要な課題になる。加えて、ネットワーク回線における情報漏洩を防いだり、サーバを外部のサイバー攻撃から守る安全性の確保も必須だ。そのような課題を解決するには、単なるコンピュータの管理技術だけでなく、ネットワークの運用技術に裏づけされたコンピュータとネットワークの統合管理技術を持った人材が必要になる。このように、サーバを管理・運用できる人材が自社では確保できない企業がECサイトのサービス提供に専念するために、データセンターのホスティング・サービスに対する需要が高まっていく。

インターネットの進化でデータセンターはさらに進化する

以上のように、データセンターの進化はインターネットの進化から大きな影響を受けてきたといってもよいだろう。今では、インターネットのインフラを活用して新規のビジネスを立ち上げようとしても、ハードウエアやそれを管理するエンジニアの存在などはまったく見えてこない。もはや、電気や水道などのインフラと同じように、ノートPCをWi-Fiでつなげばインターネットでビジネスが始められる。

しかし、インターネットは電気や水道のようなレガシーで成熟したインフラではなく、今後も進化を続けていく。企業における情報システムの運用をオンプレミスからクラウドコンピューティングへ移行することが注目され、IoTデバイスの普及やAIサービスの利活用などによるネットワーク・トラフィックの飛躍的な増加や、それに伴うサーバの電力消費増加なども懸念されている。

これらのことが、今後データセンターの進化にどのような影響を与えるかはまだ予測できないが、少なくても過去の歴史を振り返れば、インターネットや通信環境、それを支える最先端のハードウエア技術の進化がさらにデータセンターの在り方を変えていくと考えていいだろう。