クラウド化がもたらすビジネス革命

~IoT/データセンターの活用が新たな価値を生む~

もはやクラウド化は必須のマナー、
デジタルビジネスを勝ち抜くカギとは?

原稿:小口正貴

ビジネスのデジタル化が進み、想定以上のスピードで企業間競争が激化する中、クラウドサービスはデジタルエコノミーを勝ち抜くための基盤となる。では、クラウドへの移行が一体どれだけの効果をもたし、企業を成長させてくれるのだろうか?

「クラウドフォーラム 2017 in 大阪」(2017年10月17日)に登壇したインテル データセンター・グループ・セールス ディレクターの福原由紀氏は、同社の“IT改革”の取り組みを紹介。ビフォーアフターを通じてもたらされた効果や、いかにして次世代の新規ビジネスを創出していくべきかについて解説した。

インテル データセンター・グループ・セールス ディレクター 福原由紀氏

インテル データセンター・グループ・セールス ディレクター
福原由紀氏

企業が利用可能なクラウドサービスが登場してからおよそ10年が経過したが、福原氏はクラウド以前・以後では明確な差があると語る。例えば新規ビジネスを開始する場合、クラウドが登場する前はシステム構築に数週間~数カ月の時間を要することがほとんどだった。また、ピークのワークロードにあわせて部門ごとにサーバを設置していたため、10%程度のサーバ使用率といったケースも数多く見受けられ、明らかなムダが発生していたという。

「これらを改善していく上でクラウドは非常に有効です。インテルも製造業として、クラウドをはじめとするIT改革にはかなり力を入れてきました」(福原氏)

インテルのIT改革がスタートしたのは2009年。そこから2014年までの5年間、ワークロードのアウトソーシングや仮想化などを推進し、一通りの改革を実施してきた。その効果は劇的なものだったと福原氏は説明する。

インテルにおけるIT改革の効果

インテルにおけるIT改革の効果

「まずは効率性について。IT改革の前、インテルでもサーバ使用率は約15%と非常に低い数値でしたが、改革後には80%まで向上しました。

当時 十数万台規模であったサーバを仮想化、統合、集約によって5年間で約半分に減らしました。効率の向上に加え、最新テクノロジーを採り入れたことで、台数を削減しながらも、全体のパフォーマンスは改革前と比べおよそ6倍にまで向上しました。5年間のコスト削減は約1億8400万ドル(約208億円)に上ります。このように、IT改革でコスト削減と生産性向上の両立を実現することができました。

サービスの提供期間についても同様の効果が見られます。改革前には数カ月かかっていたシステム構築が、クラウドの特性を活かしたIT基盤によって数時間、数分間で新規サービスを立ち上げることが可能になりました。

インテルでは、IT改革でコストを削減しただけにはとどまらず、削減した予算をBI(Business Intelligence)ツールやビッグデータ分析に充てることで、ビジネスの推進をはかりました。その結果、2014年の1年間で約3億ドル(約340億円)の売上向上に貢献しました。IT改革がビジネスに大きな影響を与えることがお分かりいただけたでしょうか」(福原氏)

新たな競争相手は、業界外から飛び込んでくる可能性も

2016年における国内企業のクラウドサービス利用状況は、「全社的に利用している」「一部の事業所/部門で利用している」を含めて46.9%と約半数にとどまる(出典:総務省 情報通信白書 平成29年版)。さらに2013年時点における利用状況の日米比較では、日本の42.4%に対して米国は70.6%(出典:総務省 情報通信白書 平成25年版)と大きく水を空けられた状態だ。

福原氏は、こうした日本の状況を踏まえた上でデジタルビジネスの重要性を説く。「今やクラウドとデータを駆使したデジタルビジネスの波が激しく押し寄せている時代です。実際、従来のビジネスとデジタルビジネスが融合して新しいサービスが生まれています」(福原氏)。

こうしたデジタルビジネスはさまざまな分野で市場を形成しつつある。例えばスマート農業、医療技術、ロボットによる倉庫の自動化、自動運転、スマート小売(リテール)などだ。福原氏はその中から、米国のある大手農機メーカーの取り組みについて触れた。

「そのメーカーでは農機や農場内にセンサーを搭載し、作物や土壌の状況を確認しています。そしてそれらのデータに気象データなどを融合し、どういったタイミングで苗を植え替えればよいか、農薬や肥料をいつ、どの程度使えばよいかといった、より繊細で精密な農業をコンサルティングするサービスを始めました。単なる農機販売ビジネスから枠を広げて変貌を遂げているのです」(福原氏)

ITを活用して新しいビジネスを開拓すれば、今まで接点のなかった業界と競合する可能性が出てくる。このメーカーの例では、ゆくゆくは肥料会社がライバルになるかもしれない。しかもITに国境はない。国内には限らず、海外からもITを駆使した新たな競合相手が乗り込んでくる可能性はどんどん増している。

デジタルビジネスの時代は従来のビジネスが通用しない時代に

デジタルビジネスの時代は従来のビジネスが通用しない時代に

このように、デジタルビジネスの時代は“これまでのビジネスが通用しない時代”になる。まったく異なる角度から新しいビジネスが生まれて旧来の業界を飲み込んでしまったり、予想もしなかった新ジャンルのサービスが生まれたりすることが現実に起きている。そして最後に福原氏は「変革の時代に応えていくために、積極的なIT基盤の変革が重要になってくる。IT基盤をクラウドに変えていくのはその基本となるもの。皆さんのニーズにベストフィットするクラウドサービスを探してほしい」と結んだ。