クラウド化がもたらすビジネス革命

~IoT/データセンターの活用が新たな価値を生む~

デジタルトランスフォーメーションを支える
新しいプラットフォーム(前編)

原稿:元田光一

次々に最新技術が登場するITの世界。最近のトレンドワードは「デジタルトランスフォーメーション(デジタル変革)」だ。一般的にはまだ馴染みの薄い言葉だが、2016年頃から頻繁に耳にするようになった。デジタルによる変革は、今後企業が生き残っていくために必須の概念になると思われる。まずは、その概念を支える新しいプラットフォームについて理解を深めておくことが必要だろう。

デジタルトランスフォーメーションを
具現化したビジネスモデル

デジタルトランスフォーメーションは、スウェーデンにあるウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が2004年に定義した。意味するところは、「ITの浸透が人々の生活をあらゆる面でよりよい方向に変化させる」という概念だ。そもそも私たちは、インターネットの普及によって自宅にいながら買い物ができるオンラインショッピングが登場した頃から、これからITによって生活が変わっていくと感じ始めたのではないだろうか。とはいえ、オンラインショッピングは以前からあったテレフォンショッピングを置き換えただけであり、それ以外のオンラインによるサービスも、すでに実現されているものをインターネットに置き換えたに過ぎなかった。

これに対してデジタルトランスフォーメーションでは、従来のモノの価値やサービスの売り方などを根底から覆し、ITの活用によってこれまで存在しなかった、そしてITがないと実現できない新しいビジネスやサービスを実現する。

ITがなければ実現できない次世代のサービス

デジタルトランスフォーメーションによって実現されたサービスとして、Uber(以下ウーバー)によるライドシェア(相乗り)やAirbnb(以下エアビーアンドビー)の民泊予約などを例に挙げてみよう。両者のサービスは、クルマに乗りたい人と乗せたい人、部屋を貸したい人と泊まりたい人など、需要と供給の最適解をリアルタイムに導き出すマッチングというテクノロジーに支えられている。

この2社に共通しているビジネスモデルは、マッチング用のアプリを開発すれば、それ以降の資産投資が(従来型の産業に比べ)ほとんど必要がないという点である。通常、タクシー会社にしてもホテル会社にしても、メンテナンスや管理運用のためのコスト、人件費などが必要になる。しかし、ウーバーがユーザーに提供するタクシーやエアビーアンドビーが提供する宿はいずれも自社の資産ではないため管理コストが必要なく、ドライバーや管理人も自社で雇う必要がないために人件費もかからない。いずれも、これまでは考えられなかったようなビジネスモデルがITによって実現できたのである。

デジタルトランスフォーメーションを支える
第3のプラットフォーム

こういったビジネスモデルの成功例から、現在の消費者ニーズが「モノからコトへ」「所有から利用へ」と徐々に転換していることがわかる。これがデジタルトランスフォーメーションによる変化であり、現在モノやサービスを作ったり売ったりしている企業が乗っていかなければならない大きな波だ。

デジタルトランスフォーメーションによってビジネスを成功するには、第3のプラットフォームへの対応が必要だ。これまで、ITテクノロジーを活用するプラットフォームは第1のプラットフォーム「メインフレーム」に始まり、ダウンサイジングの流れによって第2のプラットフォーム「クライアント-サーバ・システム」に移り変わってきた。ウーバーやエアビーアンドビーが提供するようなサービスは、それまでのプラットフォームでは実現できない。デジタルトランスフォーメーションは、「ソーシャル(Social)」「モバイル(Mobile)」「ビッグデータ解析(Analytics)」「クラウド(Cloud)」といった4つの要素(これらの頭文字を取って「SMAC」という略語で語られることも多い)で構成される第3のプラットフォームで支えられていく。

第3のプラットフォームはまだ創成期の段階にある。今後企業が生き残っていくためには、このプラットフォームで優位に立つ必要がある。後編では、第3のプラットフォームを構成する4つの要素の特性などについてもふれてみたい。