クラウド化がもたらすビジネス革命

~IoT/データセンターの活用が新たな価値を生む~

2017年、日本のクラウドビジネスは
ここまで進化している

原稿:小口正貴

「クラウドフォーラム 2017 in 大阪」(2017年10月17日)では、国内のクラウドビジネスをリードするプレーヤーが登壇。それぞれの企業の取り組みを紹介した。

最初に登壇したさくらインターネットは、国内に巨大データセンターを構えるクラウドサービスの大手。テクノロジーエバンジェリストの前佛雅人氏は、まず「DX(Digital Transformation、デジタル変革)」について触れ、企業がクラウドなどのICTサービスを利用し、新しい製品やサービス、ビジネスモデルなどを創出する時代に突入していることを強調。これらテクノロジーへの迅速な対応がビジネス上の競争優位性を確立するとした。

さくらインターネットでは豊富なサーバ資源を生かし、オンデマンドで異なるゾーン間やサービス間をローカルネットワークで接続するブリッジ接続や、リモートハウジングとのハイブリッド接続などに柔軟に対応。「速くて正確で使いやすい」サービスをポイントに挙げる。最近では時間単位で機械学習やAI向けの計算資源を利用できる「高火力コンピューティング」の提供も開始した。

さくらインターネット テクノロジーエバンジェリスト 前佛雅人氏

さくらインターネット テクノロジーエバンジェリスト
前佛雅人氏

前佛氏は、これから注目される技術として「コンテナ」を紹介した。文字通り貨物コンテナからヒントを得たもので、規格を標準化することで効率的にリソースを活用する概念である。この背景には物理的なハードから仮想化、そしてクラウドコンピューティングへと至る発展がある。具体的に開発環境でも「Docker」と呼ばれるコンテナが使われ始めており、Docker/コンテナが「クラウドのさらに先」をリードする規格になるのではないかと期待を込めた。

次に登壇した富士通は「FUJITU Cloud Service K5」を提供している。K5はユーザーの開発・運用の効率性を向上させるクラウドサービスで、Kはオープンテクノロジーをベースに富士通の知見・ノウハウを蓄積した「Knowledge」を表す。5は5大陸を意味し、今後、全リージョン共通のID体系によるグローバルな展開を予定する。

FUJITU Cloud Service K5ではIaaSとPaaSを提供。デジタルビジネスプラットフォーム事業本部クラウドアーキテクトの藤田壮吉氏によれば、「ロックインしないオープンなクラウド基盤を目指す」という。APIを中心にAIプラットフォームの「Zinrai」や製造業向けクラウドの「COLMINA」など富士通独自のナレッジも提供していく。

富士通 デジタルビジネスプラットフォーム事業本部 クラウドアーキテクト 藤田壮吉氏

富士通 デジタルビジネスプラットフォーム事業本部 クラウドアーキテクト
藤田壮吉氏

クラウドネイティブなアプリを作成できるスターターキットとして開発者向けに「K5 Playground」を用意。Webアプリの知識さえあればブラウザ上で確認できることから、クラウドアプリ開発エンジニアの人材育成、開発期間の短縮やコスト削減などに役立つ。開発レシピ集として「K5 Showcase」も立ち上げ、クラウドアプリ開発の裾野を広げることにも注力する。

K5 PlaygroundのUI部品は洗練されており、レイアウトや色の変更も簡単にできる。既に存在するアプリとしては、画像認識アルバム、チャットボットと管理UI、旅行先の天気管理、SNSマーケティング、製品用動画サイトなどがあり、これらをK5のオープンなクラウド基盤が支えている。いずれはアプリの成長に応じてサービスを追加し、企業の新規ビジネスを加速させていきたい構えだ。

企業の実例から見たクラウドの優位性

インターネットイニシアティブ(以下、IIJ) クラウド本部 クラウドサービス2部長の鈴木透氏は、同社の他社に対する豊富な導入事例をひもときながら、クラウドの優位性について講演した。

鈴木氏はまず「国内企業のクラウド化の障壁は依然としてあるが、導入して成功を収めている企業が増えている」と語り、複数のクラウドを組み合わせるマルチクラウドが進んでいる現状や、利用する分野を見極めれば基幹システムのクラウド化も可能であることに触れた。

インターネットイニシアティブ クラウド本部 クラウドサービス2部長 鈴木透氏

インターネットイニシアティブ クラウド本部 クラウドサービス2部長
鈴木透氏

同社では「フルクラウド」を提案する。これは企業活動に必要な情報システムをすべてクラウド化することを指し、例としてパブリックリソースとプライベートリソースを自由に組み合わせられる「IIJ GIOインフラストラクチャーP2」を紹介した。

続けてIIJが提供するクラウドサービスによって、効率化・最適化を実現した大手ゼネコン、大手不動産情報サービス、中央官庁などの事例に言及。大手物流の事例ではマルチクラウドと運用のアウトソースにより、大規模システムのクラウド化に成功した。

この物流企業のコストシミュレーションでは、パブリッククラウド活用度を100%まで高めれば、新たにオンプレミスを構築する場合と比較して40%のコスト削減が見込めるとの試算を得たという。これらの結果を受け、「中途半端なクラウドはメリットが小さい。フルクラウドを実現してこそメリットは最大化される」との姿勢を改めてアピールした。

最後を飾ったGMOクラウドは、「失敗しないクラウド移行」にフォーカス。営業部プリセールスグループ チーフ吉田博之氏が、P2V(Physical to Virtual、物理マシンから仮想マシンへの移行)をキーワードに解説した。

クラウド移行に際しては、既存環境からの移行が大変といった課題がある。傾向的に大規模システムや古い環境ほどP2Vを利用したくなるものの、P2Vは前提として既存と同一設定/環境のサーバを移行先に作ることであり、IPアドレスやホスト名の変更、ファイヤーウォールポリシーの移行、古いOSやアプリケーションの移行など、膨大かつ煩雑な作業が発生する。これらの作業を考えると「こうした環境こそP2Vだけでは移行が困難」と吉田氏は語る。

GMOクラウド 営業部 プリセールスグループ チーフ 吉田博之氏

GMOクラウド 営業部 プリセールスグループ チーフ
吉田博之氏

そこでGMOクラウドの導入支援サービスが貢献する。システムの構築・移行から監視・運用までをワンストップで代行するもので、移行時には綿密な無償コンサルティングを実施。さらに共用ホスティング、専用ホスティング/ハウジング、VPS、クラウドなどをユーザーのシステム要件にあわせて自由に組み合わせることが可能となっており、吉田氏は「ハイブリッドな構成でムダを省いた最適なシステムが構築できる」ことをポイントに挙げた。

一気通貫のサービス提供体制は、問題が発生化した際の迅速な対応と同義だ。サービスごとに各ベンダーに委ねられてきた対応を一本化することで、運用やセキュリティの負担やコストを軽減。実際の導入事例ではGMOクラウドのサービスを利用したことで初年度トータルコストの30%削減に成功した。

インテルでは最新テクノロジーを用いて企業の変革を支援しています。例えば2017年7月に発表した「インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー」は、サーバ/データセンター向けCPUの代名詞とも言える「インテル® Xeon®」の最新版。デジタル変革時代に即した高いパフォーマンス、強靭なセキュリティ、高速性を備え、ミッションクリティカルな業務にもしっかりと対応します。

こうしたパワフルなクラウド・テクノロジーが、AI、IoT、ワイヤレスオフィス、スマートビルディング、スマートシティなど次世代のサービスを加速。インテルは今日も世界の至るところで、新しいビジネスの扉を開くお手伝いをしているのです。