クラウド化がもたらすビジネス革命

~IoT/データセンターの活用が新たな価値を生む~

デジタルトランスフォーメーションを支える
新しいプラットフォーム(後編)

原稿:元田光一

「デジタルトランスフォーメーション(デジタル変革)」とは、ITがなければ実現できなかったビジネスモデルを取り入れることだ。その変革の実現には、「メインフレーム」から始まった第1のプラットフォーム、「クライアント-サーバ・システム」による第2のプラットフォームに続く、第3のプラットフォームへの対応が必須になる。これからデジタルトランスフォーメーションを進めていこうと考えている企業は、この新しいプラットフォームがどのような役割を持つのかをしっかりと理解しておきたい。ここでは、次世代のマーケティングを例に第3のプラットフォームを見てみよう。

「ソーシャル」から「モバイル」で情報を発信

クライアント-サーバ・システムのプラットフォームまでは、その役割は業務の効率化が中心となっていたが、第3のプラットフォームは新しいビジネスを創出することに主眼が置かれ、「ソーシャル」「モバイル」「ビッグデータ解析」「クラウド」といった4つの要素が組み合わされて力を発揮する。

これらの要素を結びつけ、第3のプラットフォームへの入り口にもなるのが「ソーシャル」である。2017年7月時点で、SNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)のユーザー数は全世界で24億6000万人を越え*1、日本国内でも2017年末にはアクティブ・ユーザーの数が7,216万人に達する*2という調査結果がある。これほどまでに巨大化したコミュニティが与える影響力は甚大なものとなり、すでにテレビや新聞などといった既存のコマーシャル・メディアが担ってきた役割を引き継ぐほどの力を持ちつつある。

SNSを利用するユーザーの大半が、情報を受信するだけではなく発信者にもなっており、そこが既存のコマーシャル・メディアとの大きな違いだ。すなわち、ソーシャルによって実現されるのは、リアルタイム性とインタラクティブ性を持った次世代のコマーシャル・メディアである。そして、誰もが情報の発信者になるという意味は、インターネットが普及していく初期過程でパーソナルな情報発信メディアとして成長していった従来型のブログとも性質が異なっている。例えば、SNSユーザーは美味しい食べ物や珍しい光景に出会うとスマートフォンなどの「モバイル」を利用して写真を撮影し、FacebookやTwitter、Instagramなど不特定多数の人でも見られるSNSに投稿するだけであり、情報を発信しているという意識はない。

「ビッグデータ」で解析された情報を「クラウド」で提供

モバイルを使ってソーシャルに発信された情報の役割は、その情報に興味がある人だけが見て楽しむというものではない。SNS上で公開された写真は「ビッグデータ」としてマーケッターに分析される。例えば、その写真に映っている人物や商品、シーン、添えられたコメントなどをAIが分析し、今どういったブランドの商品が流行っているのか、どのような本や食べ物が好まれているのか、どういった場所に人が集まっているのかなどが、年齢や性別といった人物の属性とともに分類される。

ビッグデータとAIによって分析された情報は、マーケティング部門がない中小企業が独自に調査して得ることができない貴重なマーケティングデータとなる。分析を行ったベンダーは、これらのデータをより多くの企業にインターネットで提供するために「クラウド」を活用する。

4つの要素の特徴をどれだけ引き出せるかが成功のカギに

以上のような、モバイルを使ってソーシャルからビッグデータを介したクラウドへつながる情報の流れは一つの例に過ぎず、当然他にもさまざまなパターンがある。一方でこの流れを見ると、第3のプラットフォームを支える4つの要素は、いずれも一つの企業が抱え込めるものではないことが分かるだろう。

じつはそのことも、デジタルトランスフォーメーションによる変革とこれまでのビジネスモデルとの大きな違いである。すなわち、すべてを自社のシステムだけで完結しようという考え方は通用せず、第3のプラットフォームの特徴を理解し、うまく活用できた企業だけが生き残っていけると思われる。

*1:「Worldwide Social Network User Figures」(eMarketer)

*2:「2017年度 SNS利用動向に関する調査」(ICT総研)