クラウド化がもたらすビジネス革命

~IoT/データセンターの活用が新たな価値を生む~

デジタルトランスフォーメーション向け
インフラ構築に貢献するHCI

原稿:元田光一

数年前から注目を浴びているITインフラ構築ソリューションに、「ハイパーコンバージドインフラ(HCI)」がある。HCIとは「ハイパーコンバージェンス(超垂直統合)」と呼ばれる、サーバやストレージ、スイッチを1つの枠組みに統合するという考え方を進化させたものだ。HCIは、CPUやメモリ、仮想化サーバ、ソフトウエア・デファインド・ストレージ(SDS:Software-Defined Storage)などといったコンポーネントを1台のハードウェアに組み込んだアプライアンス(専用機器)だ。このアプライアンスを組み合わせるだけで、シンプルなITインフラが構築できる。このことが、デジタルトランスフォーメーションに向けたデジタル化にも貢献しそうだ。

ITインフラの構築と運用を効率化するHCI

一般的にITインフラを構築するには、コンピューティング処理を行うサーバや、データを保存するストレージ、それらをネットワーク化するスイッチなどのハードウエアが必要だ。ハードウエアが揃うと、機器の設置から始まり各機器間の相互接続性の確認や動作テスト、ケーブリングなど、さまざまな検証作業に多くの時間が費やされる。その結果、ハードウェア購入から実際に社内でITインフラのサービスが利用できるようになるまでには、数カ月を必要とする。そして、システム稼働後の運用には、機器ごとに適切な設定と監視が必要となり、構成変更や障害への対応なども含めた専門性の高いスキルを持つ管理者が必要になる。特に大規模企業では、サーバ管理者とは別にストレージ管理者を置く場合もある。

こういった、インフラ導入の手間や管理に関わる人件費を削減するなどの目的で導入されているのがHCIだ。HCIアプライアンスはサーバとストレージの機能が集約されているので、複雑な設計や各機器間の相互接続性の確認などが不要になり省スペース化・省電力化にも貢献する。また、サーバ仮想化やストレージ共有によって、リソースが効率的に活用できる。運用後も、1つの管理ツールでITインフラを一元的に管理できるため、運用にかかる時間と手間を大幅に削減できる。

デジタル化で求められる社内システムの柔軟性

HCIによるシステム構築は、企業がデジタルトランスフォーメーションに対応するシステムを構築する場合にも大きなメリットをもたらす。今、企業は利益向上のためにユーザーに次々と新サービスを提案し、ユーザー囲い込みのためにカスタマーエクスペリエンスを向上させるサービスの提供にも力を入れている。このようなデジタル戦略を成功させるには、システム構成の柔軟性と拡張性が求められる。

HCIを活用したシステムでは、構成変更や拡張に関しては、アプライアンス単位で変更、追加すればよい。最初は小さなシステムで始め、必要に応じて後からリソースを増やしていくことが可能だ。特に従来システムでは、ストレージシステムの構成変更、追加に高度な専門知識が必要になり、システム再構築後の検証などにも時間がかかっていた。HCIではそういった時間も短縮できるので、効率的なシステム運用が可能になる。

働き方改革にも対応するシステム構築を

最近は「働き方改革」の推進により、子育てや介護などの家庭事情を考慮し、さまざまな働き方を支援するサテライトオフィスを認める企業も増えてきた。こういった人材が効率よく働くためには、どこでもどんな端末からでも、社内と同じデスクトップ環境でのシステム利用が求められている。HCIが持つシステムの柔軟性と拡張性は、ビジネスを効率化するための社内ITインフラやシステム構築にも生かすことができる。

デジタルトランスフォーメーションの加速で、IT 部門にもコスト削減だけではなくビジネス貢献への圧力が高まっているが、「ビジネスに貢献できる IT 部門」を目指すためにも、HCIの採用を検討する価値はありそうだ。