ITモダナイゼーションSummit 2017 レビュー

ITモダナイゼーションを数多く手がけているコベルコシステムの秋山氏は、問題が起きるプロジェクトの共通点として、超上流工程に着目。プロジェクト関係者が現行業務と現行システムを正しく把握し、共通認識を持つことで多くの問題が回避できるとし、そのためのモデル化について手法や効果を紹介した。

コベルコシステム株式会社
インダストリーソリューション本部
第一開発部 部長
秋山 豊

コベルコシステムの秋山氏は、「従来基幹システムのITモダナイゼーションは業務の効率化に着目して行われてきましたが、2010年代以降はモバイル、SNS、IoT、AIなどを活用する基盤として、企業の競争力の源泉にしたいという期待が高まっています」と、まずITモダナイゼーションへの企業の期待を分析。しかし、「投資効果が見えない」、「何から着手すべきかわからない」、「移行による影響が把握できない」といった不安も大きいと指摘する。

さらに秋山氏は、同社が関わったITモダナイゼーション案件の中から問題プロジェクトを抽出した一覧表を掲示し、その多くが、「上流工程におけるユーザーとベンダーの認識の不一致や理解不足」にあると指摘。「新規開発と異なり、ITモダナイゼーションではまず現行の資産分析が欠かせません。その上流工程でプロジェクト関係者の認識の不一致や、現行の業務やシステムに対する理解不足があると、テスト後などに大きな手戻りが発生しがちです」と語る。

そこで、秋山氏はITモダナイゼーションプロジェクトの上流フェーズを7つのステップに分解。その1~3ステップを超上流フェーズと位置づけ、さらにその中の「1 現行業務のモデル化」、「2 現行システムのモデル化」が最も重要と指摘する。

上記2ステップの紹介に先立ち、秋山氏はまずモデル化とは何かを紹介。「複数の関係者に“素早くかつ正確に”共通認識を得るための手段」であり、そのためには、「誰もが読み書きでき、書き漏れや書き過ぎを防ぎ、記述レベルが統一できる必要」があるとして、現行業務に関しては、「業務機能階層図」、「業務フロー図」を、現行システムに関しては、「システム機能階層図」、「システム鳥瞰図(コンテキスト・ダイアグラム、データフロー図)」、「エンティティ関連図(ERD)」を推奨モデルとして挙げる。

現行業務のモデル化は、情報収集から始める。業務フロー図や業務機能階層図(業務プロセス一覧)を点検し、関連資料や業務用語集などのドラフトを作成。それらを基にユーザーとベンダーで事前学習をし、認識を合わせる。その後、最初に作成した業務フロー図について、現状と適合しているか、わかりにくい部分はないかなどを確認しながら洗練。その更新済みの業務フロー図を基に業務機能階層図を再整理し、業務の全体像を把握する。この一連の作業の効果について秋山氏は、「ITモダナイゼーションでは、現行と新システムの比較テストが欠かせません。その際、現行業務を正しくモデル化しておくことで、何が正しいのかを比較する際の道しるべとなります」と語る。

現行システムのモデル化のプロセスは、現行システムの情報収集、情報分析、仕様書復元、鳥瞰図作成、機能階層図作成、データモデル作成、機能関連図作成、機能関連図の網羅性の検証の8つ。その中で秋山氏が最も重要と語るのが、2つめの情報分析、すなわち現行資産分析である。

現行資産分析には、プログラムの特性を分析する「量的分析」と、システムの全体像を分析する「可視化分析」がある。量的分析では、まずプログラムの規模を把握し、共通化可能な重複・類似コード、非稼働資産、デッドコードなどの洗い出し、複雑度やデータ項目定義などを分析。ソースコードのスリム化を行う。秋山氏は、「一般的なツールでも、非稼働機能やデッドコード、コメント行などの削除は可能ですが、当社はそこに人手によるひと手間をかけ、共通化可能な重複コードを判断し、より一層のスリム化を可能にします」と強調する。さらに秋山氏は、「この量的分析でプログラムの複雑さを把握し、プログラムの改修頻度がわかれば、プログラムの改修頻度が多く煩雑なプログラムが多い場合はリビルド、改修頻度が少なく煩雑なプログラムも少なければ、ハードウェアを変えるだけのリホストやパッケージに変えるリプレースなどを検討するといったように、最適な構築手法の目途がたちます」と語る。

可視化分析は、現行と新システムとの整合性を保つため、属人化・暗黙知化していた機能やデータの形式化などにより、現行システムの状態を正しく把握し、あるべき姿のシステムイメージを共有するための手法である。具体的には、DFD(システム鳥瞰図)、CRUD図、プログラム階層図、プログラム重複度一覧からなる。「DFDは通常一から人手で作成する場合が多いのですが、当社の場合、途中で解析プログラムをはさんでインプットデータを抽出。それを見ながら、お客様と図式化していくことで効率の良いモデル化が可能になります」(秋山氏)

最後に秋山氏は、「プロジェクトの関係者は、それぞれ立場も視点も違い、知識や経験も異なります。したがって、全員が同じ認識になるとは限りません。現行業務とシステムを正確に把握し全員が共通認識を持つために、モデル化を行いITモダナイゼーションを成功させましょう」と締めくくった。

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