女将になるなんて夢にも思ってなかったんです(笑) 借金10億の旅館がIT活用で再建?~前編~

  • Writer : 麻宮 しま
  • Data : 2017/10/17
  • Category : 業務改革

神奈川県秦野市にある鶴巻温泉で、大正7年に創業した「元湯陣屋」。約1万坪の緑豊かな敷地に落ち着いた日本家屋がたたずむ、2018年に創業100年を迎える老舗旅館だ。

数々の将棋のタイトル戦が行われてきた「松風の間」、先先代女将の従兄弟である映画監督・宮崎駿氏が幼少期に遊んだ「トトロの楠」など、マスコミで取り上げられることも多い有名な旅館。8年前、4代目女将に就いたのが、宮﨑知子氏である。

第2子の出産を目前に控えた2009年、宮﨑氏は義母から10億円にも上る旅館の負債額(借入金)を打ち明けられる。リーマンショックの影響で世界的な金融危機に見舞われた時期と重なり、旅館経営は危機的状況だった。

危機的状態だった旅館経営

資料提供:株式会社陣屋コネクト

「他人に譲り渡すことも考えましたが、自分たちの未来を他人の手に委ねることはできなかったんです。サラリーマンの生涯年収を優に超えているため、返済できなければ子供たちにまで借金を背負わせることになるかもしれないといった危機感もありました」(宮﨑氏/以下同)

宮﨑氏の夫・富夫氏は大手自動車メーカーのエンジニア、宮﨑氏はリース会社の営業出身で、ともに旅館業は未経験の二人は業績不振の旅館の改革という難事業に挑むこととなった。