池井戸潤さんが考える中小企業の今と未来~作家 池井戸潤氏

  • Writer : ASAMI NAKAMA
  • Data : 2017/12/4
  • Category : デジタル活用、働き方改革

赤字を黒字にする方法を知っているのは、経営者だけ

当事者の一人として中小企業の諸問題に対処している池井戸さん。中小企業経営の厳しさ、難しさは痛いほど理解しているため、楽観的な言葉を軽々しく口にすることができないと表情を引き締める。

「赤字の会社は非常に多く、続けること自体が大変。まずは、生き残ることが大切だと思います。厳しい状況になっても、上向くための策を探し続けてほしいです。視野を広く持ち、悩みを相談できる相手を確保しておくことも必要ですね。だけど、そこにヒントはあっても答えはありません。赤字を黒字にする方法を思いつけるとすれば、ほかでもない経営者本人なのですから」

課題を企業だけで抱え込まないことも重要だと池井戸さんは指摘する。例えば、大手、中小を問わず深刻化している働き手不足問題。女性活躍推進が問題解決のカギと言われているが、それを阻むのが保育所の圧倒的な数の少なさだ。

池井戸さんは、「中堅以上の会社には、企業内保育所の設置を義務付けるくらいのことをすべき」と主張する。企業内保育所では、その企業の従業員だけでなく、地域や近隣他企業で働く親の子供も広く受け入れられる。

「もっとも手のかかる時期の子供の保育は、社会全体でカバーしていけるといいですよね」

自分の作品の売り方も、関わっている中小企業の仕事もやれることはまだたくさんある、と語る池井戸さん。ベストセラー作家となった今でも、新しい読者を獲得するために試行錯誤している。次の作品も、今まで以上に読み手を高揚させ、見たこともない世界に案内してくれる第一級のエンターテインメント作品であることは間違いない。

創作の舞台裏から仕事の流儀、中小企業の今と未来まで、自身の考えを語ってくれた池井戸氏。
これからもその活躍に注目していきたい。

profile

作家 池井戸 潤 氏

1963年岐阜県生まれ。慶應義塾大学卒業。
1998年、『果つる底なき』で江戸川乱歩賞を、2011年には『下町ロケット』で直木賞を受賞。これまでの主な作品として、半沢直樹シリーズ(『オレたちバブル入行組』『オレたち花のバブル組』『ロスジェネの逆襲』『銀翼のイカロス』)、『花咲舞が黙ってない』、『ルーズヴェルト・ゲーム』、『民王』、『七つの会議』、『アキラとあきら』などがある。2018年6月15日には映画『空飛ぶタイヤ』が全国公開される。2017年10月期よりTBS系にてテレビドラマ『陸王』が毎週日曜夜9時から放映中。