働き方改革研究所に聞く、働き方改革の現状と課題〜株式会社チームスピリット 代表取締役社長 荻島 浩司 氏(後編)

  • Writer : MIKIHIKO NOMOTO
  • Data : 2017/12/8
  • Category : デジタル活用、働き方改革

前編では、なぜチームスピリットが働き方改革研究所を立ち上げたかや、海外と日本の働き方の違いなどについて、代表取締役社長である荻島 浩司氏に話を聞いてきた。後編では、働き方改革の現状や課題、何から行っていけばよいのかについて聞いていく。

働き方改革が進まない理由と
経営層の意識改革

ーー働き方改革研究所の活動を通じて、働き方改革は進んでいると感じられていますでしょうか。

2017年3月にTeamSpiritのユーザーを対象にアンケートを取ってみましたが、進捗率は低かったですね。現時点では、もう少し進んでいるかもしれませんが。約8割の企業がすでに働き方改革に取り組んでいるか、今後取り組む予定という回答でしたが、「積極的に取り組んでいる」とした企業は、まだ2割程度しかおらず、本格的に始動しているとは言えない状況でした。

現在の働き方改革への取り組みは?

ーーなかなか企業が進められないのは、どこに問題があるのでしょうか。

働き方改革は、長時間労働の是正と生産性の向上の両方が言われていますが、まだまだ世の中的には長時間労働のほうに重きが置かれていると思います。アンケートで感じたのは、答えてくれた大企業のシステム管理者は経営層の意識が低いと話しており、中小企業の上のほうの人は現場の意識が低いと話していて、どうしたらよいかがわからないというのが現状だということです。

働き方改革の基本は、先ず働き方を変えて、生産性を上げ、労働時間を短くするというサイクルです。どこかでそのキッカケを作らなければならないのですが、忙しく日々働く中で、どうやって全体の構造改革を行うのかを模索しているのだと思います。その点働き方改革に成功している企業は、トップダウンで先に労働時間を減らすことから始めていることが多く、方法論としてはドラスティックにトップダウンで長時間労働の是正から始め、背水の陣で生産性の向上に取り組むのはよいのではないかと感じています。

ーー生産性の向上から始めなければ、作業量が変わっていないのに労働時間が減るのは現場からの苦情につながるような気がするのですが。

チームスピリット
代表取締役社長 荻島 浩司氏

もちろん、生産性の向上から始めるのが正しい方法だと思います。しかし、企業全体で取り組む必要があり、個人が生産性や成果を考えるだけでは、アウトプットを出すために何をやってもよいとなってしまい、非生産的な結果となってしまう場合もあります。どこかでしっかりと仕組みを作って、何かをキッカケにして構造改革につなげる必要があり、構造改革は経営層の意識が変わらなければできないと考えています。

チームスピリットは、かなり自由なフレックス制となっていますが、9時〜18時の労働時間をフレックス制に移行するには、私自身、かなりの抵抗がありました。雰囲気が緩くなるのではないか、働く密度が減るのではないか、といった心配があったのですね。しかし、実際に移行してみると、生産性も上がり、優秀な人材も取れるようになってきました。長時間労働の是正は、構造改革を始めるキッカケとなる手段であって、それ自体が目的ではありません。何時に来て何時に帰れといった形で時間を減らすのではなく、働き方の多様性を認めることや、社員を信頼することも重要ですね。

ーーでは、経営層のマインドを変えていくには、どのようにしていけばよいのでしょうか。

それが一番難しい問題ですね。意識改革を専門に行っているコンサルティング会社と一緒にやっていくというのも1つの手ですが、個人的には、意識を変えられない企業は淘汰され、新陳代謝が起きてくると考えています。2065年には労働人口が4割減ると言われている中で、今、働き方改革をやらなければ生き残っていけません。

海外の人材が日本に入ってきて、日本人も海外に出て働かなければならない中で、日本的な感覚や製造業的な労働基準法の考え方では、ついていけないし、淘汰されていくのではないかと思います。企業のトップである以上、合理的な判断ができる人材であるでしょうから、将来的には気づいて大きな流れとなって変わっていくことを期待していますね。危機感は持っているが、やり方がわからないというのが実際のところではないでしょうか。