徳力氏が考えるテクノロジー活用と働き方改革組織や個人によって働き方改革は異なるはず~アジャイルメディア・ネットワーク株式会社 取締役CMO 徳力 基彦 氏(後編)

  • Writer : 野本 幹彦
  • Data : 2017/10/30
  • Category : 業務改革

前編では、ソーシャル活用を中心にアジャイルメディア・ネットワークに話をうかがった。後編では、そこから話を広げ、徳力氏が考えるテクノロジー活用や、徳力氏自身やアジャイルメディア・ネットワークでの働き方について聞いていく。

新たなテクノロジーにどのように向き合うか

ーーソーシャルメディアの活用は、マーケティングに役立てることができる一方、社内コミュニケーションや業務の改革でも役立てることができると言われている。徳力氏は、社内コミュニケーションや新たなテクノロジー活用について、どのような考え方を持っているのだろうか。

アジャイルメディア・ネットワーク株式会社
取締役CMO
ブロガー
徳力 基彦 氏

コミュニケーションの選択肢が多様化してきたことは、企業経営にとって大きなチャンスを生んでいると思っています。紙の手紙から電話、メール、メッセンジャーやチャットというように、選択肢が広がってくることによって、企業内のコミュニケーションも大きく形を変えてきました。実際に、会社によっては、Facebookグループを社内の情報共有に使ったり、LINEのチャットルームでコミュニケーションしているところが増えてきており、コミュニケーションの時間効率を短くするのに役立てられています。

今後は、新たなテクノロジーやサービスのよい使い方を見つけ、使いこなすことで効率化を行うということが、企業の競争力を考える上でも大きなテーマとなってくるでしょう。また、今後は、AIの活用も進み、工場のラインがロボットによって自動化されていわゆるブルーカラーの仕事が大幅に減ったように、ホワイトカラーの仕事もAIによって置き換えられていくようになると思います。

ーー一方で、AIなどの進化によって、人間の仕事が奪われてしまうといったことも大きなニュースとなっているが、徳力氏は、よりクリエイティブな仕事が増えていくので、心配はないと説明する。

たとえば、工場のラインの機械化によって人間の仕事が完全になくなったわけではありません。人間がやるべきではない仕事をロボットなどが行うことによって、人間はもっとクリエイティブな仕事に集中できるようになっています。AIも同じで、たとえばExcelの資料の間違いを探すなどのテクノロジーのほうがうまくやれる仕事は減り、もっと人間ならではのアイデアを考えるなどの仕事が増えると考えています。

ただし、その変化のスピードは早くなっているので、経営者の方は、将来自分たちの会社がどのようなビジネスを行い、従業員がどのように給料をもらっていくのかをしっかりと考えてほしいですね。ほんの少しでもいいので、新たなテクノロジーについて知り、触って経験しておいたほうがよいと思います。

ーー徳力氏は、自身の経験からも、コミュニケーションの手段を増やし、組織内であっても個人が情報を発信することの重要性を説いていく。

私がNTTを退社してベンチャーに転職したときには、夜遅くまで会社に閉じこもって仕事をしていて、それが会社のためになると信じていました。しかし、非常に技術力の高い会社なのに、他のネットベンチャーとの提携の話などが出てこないことが不思議でなりませんでした。当時は、GREEやmixiが登場してきたところで、試しにGREEを始めてみたら、他のネットベンチャーに勤めている人達はソーシャルですでにつながっており、その人のつながりがあるからこそ、企業の提携が生まれるんだということを恥ずかしながらその時に初めて知りました。

エンジニアの人に無理矢理外で話してもらうよりも、元々、コミュニケーションが好きな自分が外に出て、さまざまな人とつながったほうが仕事につながることにようやく気付いたのです。これまでの広報の仕事は、社員が外で経営陣と違う意見を喋らせないようにすることでしたが、今は個人が情報発信することでさまざまな人とコミュニケーションを取り、メディアに取材される可能性も出てきている時代です。

もちろん、スティーブ・ジョブス時代のアップルのように、トップダウンですばらしいプロダクトを作って、トップ自らが強いメッセージを発信する一方で、ボトムアップの情報発信を明確に規制しているケースもあり、どちらが正解というわけではありません。しかし、組織内で個人が情報発信することのメリットが増えてきているのは間違いないと考えています。