コンサドーレ 野々村芳和の経営論サッカークラブも働き方改革~株式会社コンサドーレ 代表取締役社長CEO 野々村 芳和 氏(前編)

  • Writer : Cross Architects
  • Data : 2017/11/6
  • Category : デジタル活用、働き方改革

電力事業参入や大手広告会社との長期パートナー契約、デジタル活用など、サッカークラブの既成概念にとらわれず、新しい挑戦を続ける経営者がいる。元Jリーガーで、現在Jリーグ「北海道コンサドーレ札幌」を運営する(株)コンサドーレの野々村芳和氏だ。

「サッカーの価値を多くの人に伝え、北海道からビッグクラブを生み出したい」

2013年の社長就任以降、新しい打ち手で改革を続ける野々村芳和氏の経営論に迫る。

社長の仕事は「サッカークラブの価値を伝える」こと

ーーサッカークラブの経営者はなかなかイメージができないのですが、普段どのような仕事をしているのでしょうか。

株式会社コンサドーレ 代表取締役社長CEO
野々村 芳和 氏

確かにサッカークラブの社長と聞いても、実務がイメージしにくいですよね。スポンサー回りやクラブの資金調達、クラブの編成など、さまざまな仕事があります。北海道コンサドーレ札幌は、2017年はJ1リーグの中に属しているわけですが、自分たちのクラブが現在どの位置づけで、今後どのようなビジョンを描くかによって、社長のやることは変わってきます。2013年、私が社長に就任した当時は、売上規模が10億円くらいで、J3に落ちてもおかしくない状況でした。

日本で売上規模が最も大きいのは2016年現在、浦和レッズのおよそ66億。予算規模がそもそも何倍も違うわけです。当時のコンサドーレを振り返るとまずはJ2の上位に。そしてJ1昇格を目指すために、クラブとしてのサイズ、つまり売上規模を上げていくことを目指してやってきました。おかげさまで、2016年にJ2で優勝をすることができ、今年はJ1リーグで戦っています。

社長として一番大きな仕事は、サッカークラブの価値や可能性をできるだけ多くの人に伝えることですね。そして同じ思いを持ってくれる仲間を増やしていくこと。サッカークラブの可能性を理解している方は決して多いとはいえないので、伝えれば何かしらが跳ね返ってくる。そう手ごたえを感じています。とにかく、サッカーの価値を少しでも多くの人に伝えたい、その一心で取り組んでいます。

ーー元々は社長になるという予定ではなかったそうですね。

社長に就任したのは、1997年から2005年まで株式会社北海道フットボールクラブ(現、株式会社コンサドーレ)の代表取締役を務められた石屋製菓の石水勲さんに推薦されたことがきっかけです。2013年、低迷するコンサドーレを何とかしたいという思いで、石水さんに再び社長に就任頂こうと説得しにいったんです。一度は了承して頂けたのですが、1週間後、「お前がやれ」と言われ、社長に就任することになったわけです。青天の霹靂でしたが、嫌だとは全く思わなかったですね。

北海道コンサドーレ札幌の前身は「東芝サッカー部」。
2016年シーズンにJ2優勝を果たし、2017年シーズンはJ1リーグに所属している。

まさか自分が社長という立場になるとは思ってもいませんでしたが、引退をした後もサッカーのために生きていきたいと常に思っていましたので、案外戸惑いもありませんでした。何人か周りの人間にも相談したのですが、予想外にみんなポジティブな反応を示してくれました。

自分が社長になることで、クラブが変わってくれると思う人がいる。当時、強化部長を務めていた現在GMを務める三上大勝にオフレコだと念をおして伝えたところ、「クラブが変わるなら今しかない」と言ってくださった。自分の中で、たくさんの人が喜ぶ姿が想像できましたし、今まで目指していた「日本サッカーの発展」という目標に向けて、立場を変えて取り組むのも良いかもしれないと思いました。

やると決めてからは、もちろん責任も感じますが、ポジティブな気持ちでいっぱいでしたよ。身につけるものも、全部赤くなっていきました(笑)