金沢を拠点に活躍するクリエイティブディレクター宮田人司氏に聞く地方移住を成功させる秘訣とワークスタイル~株式会社センド 代表取締役 宮田人司氏(前編)

  • Writer : Motoki Honma
  • Data : 2017/11/15
  • Category : デジタル活用、働き方改革

居心地のよい環境を求めて、地方に移住するクリエーターが増えているが、その先駆け的な存在といえるのが宮田人司氏だ。クリエイティブ業界の第一線で活躍しながら、2010年に東京から金沢に仕事の拠点を移したという経歴の持ち主である。それから7年、「これまで仕事に関して不便を感じたことはない」と語る宮田氏は地方移住ブームや働き方改革についてどのような考えを持っているのだろうか?自身の経験やワークスタイルと併せて聞いた。

自分の知らない町で、
こんな面白いことが行われているなんて

「一口にクリエイティブの仕事と言っても、IT系の仕事もあれば、グラフィックデザインのような手を動かす仕事もあってジャンルは様々ですが、敢えて仕事の枠は作らないようにしています。依頼をうけるにしろ、自分で思いついたことをやるにしろ『自分が興味を持って取り組める新しいこと、をやり続ける』というのが基本スタンスですね」

株式会社センド 代表取締役
宮田 人司 氏

自身の仕事について、こう話すのは、株式会社センド代表取締役の宮田人司氏。その言葉通り、デザインや3Dアニメーション、アプリ開発、音楽配信事業など、様々な領域で実績を残してきた日本を代表するクリエイターの1人である。

そんな宮田氏は、2010年に東京・青山から石川県金沢市に拠点を移して仕事を続けているが、なぜ金沢に移住したのだろうか? 発端は、金沢市主催のあるイベントに呼ばれたことだったという。

「金沢との縁は、2001年に金沢市が開催する、映像とクリエイティブをテーマにしたイベント『eAT(イート)金沢』に、ゲストとして呼ばれてから。それまで縁もゆかりもなかった金沢は僕にとって『未開の地』。そんな場所で、イベントに参加したら、第一線で活躍するクリエーターたちが一堂に介して、面白いことが繰り広げられている。『僕が知らなかった地方都市でこんなに面白いことが行われているのか!』と軽い衝撃を受けましたね。それから毎年イベントに呼んでもらい、イベントの実行委員に任命されると、年に数回、金沢に訪れるようになったのです」

そして、伝統と新しさが融合する独特な町の雰囲気や「何を食べてもおいしい」(宮田氏)という食文化にすっかり魅了され、プライベートでも頻繁に金沢に訪れるようになったという。そうする内に、数人の地元の老舗企業の経営者――宮田氏曰く「旦那衆」たちと知り合い、彼らから「金沢に来ないか?」と誘われるように。

「そう言われるのは嬉しかったけれど、当初は行く理由がないので、移住は考えていませんでした。しかし、2009年に子どもが生まれて、子供と暮らすならどこがよいか考えると東京ではないだろうと――。それで思いついたのが金沢でした。そして、すぐに旦那衆に『移住してそちらに会社を作りますので、株主になってください』とお願いして、設立したのがセンドという会社なんです」(宮田氏)