第一級のエンターテインメントはいかにして生み出されるのか?魅力的な登場人物誕生の裏側にあるもの~作家 池井戸潤氏

  • Writer : ASAMI NAKAMA
  • Data : 2017/11/29
  • Category : デジタル活用、働き方改革

数多くのエンタメ作品を生み出している作家、池井戸潤さん。数多くの作品が映像化され、2018年には初の映画化も公開されるが、その創作の源泉はどこにあるのだろうか?今回は、小説に登場する“本当に生きているかのような”魅力的な登場人物誕生の裏側に迫る。

登場人物を作者の都合で動かしてはいけない
一人の「人間」として真正面から向き合う

デビュー当時から、ストーリーの設計図であるプロット(あらすじ)を作成し、その通りに小説を書き進めていた池井戸さん。

作家 池井戸 潤 氏

「しかし、プロットありきで登場人物を動かすことになる。どうもこの人たちが実際に“生きている”人たちだと感じられないでいました」

そこで、事前に構想をすることも、プロットを作ることも一切やめた。登場人物一人ひとりに真正面から対峙し、「次に何を言うんだろう?」と書きながら次を待つ。すると、池井戸さんが思ってもいないような行動に出たり、言葉を発したりするようになったという。

「登場人物はそれぞれに人格や人生を持っていて、尊敬すべき存在です。作家の都合でその人の考え方や行動、生き方を変えてはいけない。そのことに気づいた『シャイロックの子供たち』から、人の書き方が変わってきたと感じます」

2006年に刊行された『空飛ぶタイヤ』は、細かいことは決め込まずに物語を書き進めていった。

「結末を決めないまま原稿用紙1000枚以上の小説を書くことは、かなりの勇気が必要でした。終わらないかもしれないという怖さとは、常に闘っています」