テレワークはなぜ必要なのか?真のテレワーク時代到来の今、考えるべきこと~テレワークマネジメント代表取締役 田澤 由利氏(前編)

  • Writer : 野本 幹彦
  • Data : 2017/09/06
  • Category : テレワーク

労働時間を短縮しながら生産性を向上させる

では、なぜ働き方改革の中で、テレワークが重要と考えられるようになったのだろうか。日本は、少子高齢化という大きな課題があり、労働力・人材不足、介護や子育てなどの制約社員の増加、東京集中といった課題も抱えている。そのような中で、国が働き方改革で目指すのは、「経済成長」だ。しかし、長時間労働の是正などが注目される働き方改革で労働時間が短縮して、果たして企業や経済は成長できるのだろうか。

「昔は、父親が残業もいとわずに長時間働いても、家は母親が守り、帰れば夕食とお風呂が用意され、父親は安心して働けるというのが常識でした。その意味では、当時の男性はワークライフバランスが取れていたと思います。しかし、少子化が長く続き、女性も働くようになり、子育て社員や介護社員が増えてきた現在、たとえば子育て中の母親が残業して家に帰っても夕食やお風呂は用意されていません。「長時間労働」を前提にできない時代になっていることを理解することが必要です」と田澤氏は説明する。

時間外労働を減らしながら生産量を維持し、成長するためには、時間あたりの生産性を向上させる必要がある。「それにはICTを導入して、会議の効率化や出張の削減、コミュニケーションの改善などを行うのは基本ですが、それに加え、根本的に労働環境を変え、子育て社員の短時間労働や介護社員の在宅勤務を支援し、外部人材も活用するようにして、業務の繁閑に対応できる体制を構築しておかなければなりません」と田澤氏は説明する。そのために必要となるのが、テレワークなのだ。

労働時間を短縮させる中で生産性を高めるテレワーク

もちろん、テレワークのシステムを導入するだけで、すぐに企業が成長できるわけではない。時間当たりの生産性を向上させるためには、業務プロセスの再構築(BPR:Business Process Re-engineering)、働く場所や時間の有効利用、社員の労働意識改革が必要となる。また、制約社員が労働参加をしやすくするための復職・継続支援も必要となり、繁閑対応体制の構築のために兼業・副業の機会を拡大し、業務発注体制も確立させる必要もある。雇用社員の評価や給与を改革して、時間と場所を有効活用する柔軟な働き方を考え、柔軟な雇用体系となるように、発想を変えることが重要だと田澤氏は話す。

profile

テレワークマネジメント代表取締役 (兼 ワイズスタッフ代表取締役)
田澤 由利 氏

奈良県生まれ、北海道在住。上智大学卒業後、シャープでパソコンの商品企画を担当していたが、出産と夫の転勤でやむなく退職。子育て中でも地方在住でも仕事をしたいと、3人の子育てと夫の転勤による5回の転居を経つつ、パソコン関連のフリーライターとして自宅で働き続けた。
1998年、夫の転勤先であった北海道北見市で「在宅でもしっかり働ける会社をつくりたい」とワイズスタッフを設立。さまざまな業務を受託し全国各地に在住する110人のスタッフ(業務委託)とチーム体制で業務を行っている。
2008年には、柔軟な働き方を社会に広めるために、テレワークマネジメントを設立。東京にオフィスを置き、企業等へのテレワーク導入支援や、国や自治体のテレワーク普及事業等を広く実施している。同年、日経WOMAN「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2009」リーダー部門7位に選出。
2015年 総務省「平成27年度情報化促進貢献個人等表彰」を受賞。
2016年「テレワーク推進企業等厚生労働大臣表彰(輝くテレワーク賞)」個人賞受賞。また自らも、場所や時間に縛られない柔軟な働き方である「テレワーク」に関する講演や講義をするほか、ブログやFacebook等で広く情報発信・普及活動を行っている。内閣府政策コメンテーター、総務省地域情報化アドバイザーなど。