1Kのマンションに10人の社員!?先駆者に学ぶ 実践!テレワーク術~テレワークマネジメント代表取締役 田澤 由利氏(後編)

  • Writer : 野本 幹彦
  • Data : 2017/09/08
  • Category : テレワーク

前編に引き続き、テレワークマネジメント代表取締役の田澤 由利先生にお話をうかがい、テレワークマネジメントで実践されているテレワークの様子をリポートする。東京、北海道北見市、奈良の3つのオフィスや在宅でテレワークを実践することで、どのような効果が生まれているのだろうか。利用しているツールについても、教えていただいた。

テレワークマネジメントの成り立ちと働き方

田澤氏は、大学卒業後、総合職として大手電機メーカーに就職してやりがいのある仕事を続けていたが、結婚・出産、夫の転勤などでやむなく退職し、3人の子育てや複数回の夫の転勤でも働けるようにフリーライターとして活躍していたという。「結婚や退職、夫の転勤で退職することになったときに、何か日本の働き方はおかしいのではないか、と思っていましたね。それでも働いていくには、フリーでやるしかないと、フリーライターを7年間続けてきました。1998年にインターネットが普及する頃になると、私以外にももっと働きたいと考えている女性が非常に多いことに気付き、当時暮らしていた北海道北見市でワイズスタッフを設立しました。さまざまな業務を受託し、全国に在住する110人のスタッフとチーム体制で実施しています」と田澤氏は話す。

退職した女性が能力を生かして働ける会社として生まれたワイズスタッフでは、「ネットオフィス」というコンセプトを掲げ、インターネット回線を使った働き方を進めていく。まさに、テレワークの先駆けとなったのが、このネットオフィスという概念だ。「しかし、テレワークの柔軟な働き方を社会に広め、市場をつくり上げるためには、企業を変えなければならないことに気付きました。そこで、2008年にテレワークマネジメントを設立し、企業へのテレワーク導入支援や、国や自治体のテレワーク普及事業を実施してきました」(田澤氏)。

地道な活動が実を結び、クラウドの普及、事業継続性の高まり、働き方改革などで、テレワークは大きく注目されることになる。田澤氏自身も、内閣府政策コメンテーターをはじめ、総務省や厚生労働省、自治体などで理事や委員を務め、テレワークの普及に現在もまい進している。

取材にうかがったテレワークマネジメントの東京オフィスは、1Kのマンションで、11畳ほどの部屋にテーブルと椅子、大型ディスプレイしかないシンプルなオフィスだ。東京オフィスには10人の社員がいるというが、全員が入ることはできないくらいの狭さで、椅子も10脚は用意されていない。「狭くて小さくて、何もないオフィスでも働けることがテレワークのメリットです。大型ディスプレイは、奈良と北見のオフィスと常時接続されているので、このオフィス自体は狭くても1200kmの奥行きがあるのです。また、東京都千代田区にオフィスを構えても、家賃を安く抑えられることも魅力ですね」と田澤氏は話す。

ワイズスタッフとテレワークマネジメントのテレワーク状況

東京オフィスに出社する社員は数人で、多くは在宅勤務となっている。また、テレワークマネジメントにかかった電話は北見で受け、東京のコンサルティングスタッフに用事がある場合などは内線でつなぐようにしているという。電話をかけてきた人は、電話を受けた人がどこにいるかを意識しておらず、実は北見だと知るとびっくりするのだという。「地方の人材を有効活用することで、幅広くよりよい人材を獲得できることがテレワークのメリットです。在宅や直行直帰の社員、子育て中の社員などが効率よく働ける環境を整え、時間労働制のしっかりとした雇用体系を実践しているのです」と田澤氏は話す。

柔軟な働き方を実践しているテレワークマネジメント

profile

テレワークマネジメント代表取締役 (兼 ワイズスタッフ代表取締役)
田澤 由利 氏

奈良県生まれ、北海道在住。上智大学卒業後、シャープでパソコンの商品企画を担当していたが、出産と夫の転勤でやむなく退職。子育て中でも地方在住でも仕事をしたいと、3人の子育てと夫の転勤による5回の転居を経つつ、パソコン関連のフリーライターとして自宅で働き続けた。
1998年、夫の転勤先であった北海道北見市で「在宅でもしっかり働ける会社をつくりたい」とワイズスタッフを設立。さまざまな業務を受託し全国各地に在住する110人のスタッフ(業務委託)とチーム体制で業務を行っている。
2008年には、柔軟な働き方を社会に広めるために、テレワークマネジメントを設立。東京にオフィスを置き、企業等へのテレワーク導入支援や、国や自治体のテレワーク普及事業等を広く実施している。同年、日経WOMAN「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2009」リーダー部門7位に選出。
2015年 総務省「平成27年度情報化促進貢献個人等表彰」を受賞。
2016年「テレワーク推進企業等厚生労働大臣表彰(輝くテレワーク賞)」個人賞受賞。また自らも、場所や時間に縛られない柔軟な働き方である「テレワーク」に関する講演や講義をするほか、ブログやFacebook等で広く情報発信・普及活動を行っている。内閣府政策コメンテーター、総務省地域情報化アドバイザーなど。