IoTプレーヤーを束ねて一体化 我々の役目は

 IoTが次世代ビジネスの主流になりつつある現在。強固な通信インフラを全国に張り巡らせるNTTドコモは、およそ20年前からIoTソリューションに着手し、豊富な事例とノウハウを蓄積してきた。

 積み重ねた知見と経験を武器に、同社は新たなIoTビジネスの開拓に乗り出している。しかしモノとモノをつないでいく

「協創」のスローガンのもと、IoTビジネスを活性化させる

――まずはNTTドコモのIoTの取り組みについて教えてください。

仲田氏 我々は1998年からIoTビジネスを手がけています。もちろん当時はIoTという言葉はありませんでしたが、自分たちで通信モジュールを作っていますし、ネットワーク基盤もありますから「モノをつないで見える化・制御・管理する」ビジネスに長く携わってきたのです。

 そこで長年蓄積してきた知見、経験、テクノロジーを生かし、2年ほど前からIoTに注力していく方針を固めました。今後の課題は、IoTからはじき出されたビッグデータを活用して、どのように価値を創造していくかということ。AI(人工知能)の可能性も探りながら、さまざまなお客様と検討を重ねています。

NTTドコモ法人ビジネス本部 法人ビジネス戦略部 2020・地方創生営業推進担当課長の望月 謙氏

NTTドコモ IoTビジネス部 IoT営業推進担当の仲田正一氏

石川氏 ここで重要になるのがパートナー企業との関係性です。IoTが関わる分野は非常に多岐にわたるため、いかにパートナー企業と上手く連携するかがポイントになります。

 NTTドコモでは全社的に「競争」から「協創」へのスローガンのもと、「+d」戦略を打ち出しています。弊社のネットワーク基盤とパートナーのソリューションをかけ合わせ、お客様のニーズに対して付加価値を高めながらIoTビジネスを展開していきたいと考えています。

――実際にパートナーとビジネスを進めているのでしょうか。

石川氏 はい。例えば2016年には東京無線協同組合様、富士通様、富士通テン様と共同で、タクシーの利用需要をリアルタイムで予測する実証実験を行いました。乗車ニーズを的確に把握することで、これまでのように単純にタクシーを流すのではなく、タクシーに乗りたい人がいる場所に対して配車するソリューションです。さらに九州大学様、DeNA様、福岡市様と共同で自動運転バスの実証も手がけています。

 目的はコスト削減と効率化です。年々タクシードライバーやバスの運転手も少なくなってきていますし、地方ではすでに問題が表面化しています。地方交通の関係者と話すと、通常の路線バスを走らせるだけで赤字が蓄積する状況だとおっしゃいます。ならば自治体の補助があるのかといえば、それも難しい。そこで「通信+IoT」の技術を利用して、これらの課題を解決していく必要が出てきます。そしてこの課題解決は、地方創生にも結びつくものだと考えます。

 多くのお客様と接していると、NTTドコモに求められている社会ニーズは「しっかりと社会インフラを支えてくれること」だと痛感します。課題がシビアになればなるほど、弊社に目を向けていただける方々が多いのも事実です。ですから、信頼性と安定性という強みを最大限に生かしてIoT戦略を進めていくつもりです。

社会性の高い課題解決を支援していくことも使命

――現場担当者の目から見て、IoTがもたらす未来は何だと思いますか。

仲田氏 ドコモでは現在、IoTを活用した農業支援も行っています。センサーを用いた水田の水温・水位チェックなのですが、これによって適切な状況で作物が育つ環境にあるかどうかを遠隔管理し、農業従事者の作業効率化を図るお手伝いをしています。

 水田は人間が毎日見回ることが普通です。しかし農業は体力を使いますから、高齢者にとっては厳しい作業です。しかも、若年層の農業人口も減少を続けています。そこでIoTを活用することで、生産性を高く、効率よく、人手をかけずに作業できるようにするのが狙いです。

 私は、この先にこそIoTのさらなる可能性があると考えます。収穫したコメがお客様の手元に届くまでの過程をワンストップでつなげれば、分断されないトレーサビリティが確立されますから、食の安全性がより担保されることになります。さらに必要な食品が必要な人にタイムリーに届いていく仕組みを構築できれば、やがてはフードロスの問題も解決できるようになるかもしれません。こうした社会性の高い課題解決を支援していくのもNTTドコモの使命だと思っています。

NTTドコモ法人ビジネス本部 法人ビジネス戦略部 2020・地方創生営業推進担当課長の望月 謙氏

NTTドコモ IoTビジネス部IoTパートナー営業 IoTパートナー営業企画担当の石川 学氏

石川氏 最近は家にいてもワンクリックでモノが届く時代になりましたが、利便性が高まった半面、物流は混乱しています。大きな問題として挙げられるのが再配達です。これに対し、例えばマンションの鍵にIoT技術を活用し、モノが届いたときに第三者に証明してもらい、荷物を置いて帰ってくる仕組みがあれば、かなりの配達ロスを防ぐことができます。

 一方、この仕組みにはマンションの管理人、鍵メーカー、物流企業、通信企業とさまざまなプレーヤーが必要になってきます。こうしたケースでも、安定した通信基盤を保持する我々が関わる価値があると感じています。

 今はIoTに関するセグメントが別々にあって、それらをまとめられるプレーヤーが少ない状況です。しかし、NTTドコモならプラットフォームの役割を果たせますから、セグメント同士を見つけてきて横につないでいくことができます。こうして強力なインフラ、通信技術、IoT、パートナーの技術が備わったときに、新しい何かが生まれるはずです。だからこそ、一緒に取り組んでいく価値があるのです。

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