未踏の空域へパートナーとともに飛び立つドローンビジネスの成否を握るコラボの重要性

 ドローンの飛行に携帯電話網を利用するセルラードローンの動きが活発化してきた。NTTドコモが2016年から取り組む「ドコモ・ドローンプロジェクト」はその最たる例である。これまでにまちづくり、農業、買い物代行などの分野で実証実験を行い、今も多方面で次世代サービスの実現性を検討している。
 
 ドローンビジネスは未だ誰も体験したことのない領域だ。その先には果たしてどのような世界が広がっているのか。そしてNTTドコモはいかなるパートナーを求めているのか――実証に携わるキーパーソンの言葉から、ドローンの未来を探る。

ドローンは移動体通信と相性がいい

 2016年7月、高まるドローン活用のニーズを受け、総務省は「無人航空機における携帯電話等の利用の試験的導入」を公表した。本制度はドローンのビジネス活用を視野に入れたもの。通信事業者が実用化試験局の免許を受けることで、携帯電話をドローンに搭載して実用化に向けた試験を行うことができる。

 NTTドコモはこの動きに迅速に反応した。2016年9月には神奈川県、千葉県、福岡県の一部地域にて実用化試験局免許を取得。同年10月には「ドコモ・ドローンプロジェクト(以下ドローンプロジェクト)」を発表した。

 なぜNTTドコモがドローンなのか。ドローンビジネス創出に深く関わるNTTドコモ イノベーション統括部 事業創出・投資担当 担当部長の梅澤良夫氏は次のように説明する。

NTTドコモ法人ビジネス本部 法人ビジネス戦略部 2020・地方創生営業推進担当課長の望月 謙氏

NTTドコモ イノベーション統括部 事業創出・投資担当 担当部長の梅澤良夫氏

 ドローンプロジェクトでは、1.社会課題解決、2.通信品質やネットワーク検証を通じた運航の環境づくり、3.安全な目視外運航の実現の3つを目的として掲げた。総務省の報告によると、ドローンの通信品質の確保や地上の携帯電話利用への影響などの課題があり継続的な検証をする必要があるとしており、携帯電話の上空利用に関する検討が今後の大きな鍵を握る。

 この点に関し、梅澤氏は「弊社にとっても空の通信は未踏の分野。まずは、ドローンによる地上携帯電話ネットワークへの影響調査をすることが第一です。その上で、上空の通信品質を確保することが、お客様へサービス提供するための通信事業者としての使命になります」と語る。それゆえ実用化に向けては、1つでも多くの事例を重ねてデータやノウハウを蓄積することが必要となる。

 「ドローンの長距離飛行かつ遠隔操作を実現するためには、我々が持つ移動体通信網が貢献できる可能性があると考えました。さらにドローンそのものをセンサーデバイスと捉えた場合、IoTに対する弊社の狙いと合致します。これらの可能性から、ドローンに注力していくことになりました」(梅澤氏)

大きな成果を得た離島での買い物代行サービス

NTTドコモ法人ビジネス本部 法人ビジネス戦略部 2020・地方創生営業推進担当課長の望月 謙氏

NTTドコモ IoTビジネス部 事業戦略担当 担当課長の石川太朗氏

 2016年夏以降、NTTドコモでは積極的に取り組みを進めてきた。8月には仙台市と協定を結び、被災状況確認や生活インフラ点検などにドローン導入を検討。9月には新潟市とともに、水稲病害虫監視や保安林の松枯れ対策などにドローンを活用できないかとの検証を開始した。

 こうした中、1つの象徴的な事例となったのが福岡市能古島(のこのしま)における「日本初となるセルラードローンによる買い物代行サービス」である。このプロジェクトを担当したNTTドコモ IoTビジネス部 事業戦略担当 担当課長の石川太朗氏は、実証の様子をこう振り返った。

 「私はIoT(Internet of Things)ビジネス部に所属しています。そこでドローンをThingsの1つとして位置づけ、携帯電話を搭載してビジネスとして成立するのかどうかの実験を行いました。何をすべきか考えたとき、離島での買い物代行は非常に想起しやすいものでした。

 結果的に、通信が途切れることなく無事に物品を届けられたのは大きな成果です。今回は島内のシニア世帯、子育て世帯に配送しましたが、どちらからも『実際にこういうサービスがあったら利用したい』とポジティブな声をいただきました。一方で、荷物が切り離せずにもとに戻ってきた例もありました。今は失敗を繰り返しながら、商用に向けての課題を洗い出しているところですが、確実にビジネスの萌芽はありました」(石川氏)

 買い物代行サービスにはベンチャー企業のMIKAWAYA21、エンルートが参加した。MIKAWAYA21はドローン宅配サービスの知見を、エンルートは産業用ドローンを提供し、通信インフラや免許取得といった屋台骨の部分をNTTドコモが担当するスキームである。外部との"協創"は、NTTドコモが掲げる新規ビジネス創出/社会課題解決の取り組み「+d」の骨子となるもので、ドローンに限らず、IoT、地方創生、5Gなどの分野で盛んに行われている。

 石川氏は買い物代行サービスの経験を踏まえ、ベンチャーと新規ビジネスとの親和性、そして必要なマインドを次のように語る。

 「MIKAWAYA21、エンルートと一緒に仕事をして感じたのは、即断即決で小回りが利くということ。こうしたスピーディな姿勢は強みになると思います。しかし新しい挑戦だけに、共同作業をする中で次から次へと課題が出てくるのも事実です。ですからベンチャーならではのキラリと光るセンスも大事ですが、ゴールに向けての課題解決力も重要になってきます」(石川氏)

ドコモと一緒に未踏の空域へ飛び出してほしい

NTTドコモ法人ビジネス本部 法人ビジネス戦略部 2020・地方創生営業推進担当課長の望月 謙氏

ドローンで求められるソリューションのイメージ(NTTドコモ資料をもとに作成)

 このように、現在のNTTドコモは規模の大小を問わずパートナー企業とのコラボレーションに意欲的だ。梅澤氏は「ドローン業界は、尖ったテクノロジーや小さなスタートアップが非常に多い印象を受けます」と指摘し、さらに続ける。

 「ユニークなのが、ハードウエア、ソフトウエア両面の活躍の場があることです。例えばドローンのハードを作る流体力学が得意な人たち、ドローンのソフトを支えるフライトコントローラや撮影画像を解析する人たちといったように、ハード/ソフトの垣根があまり感じられません。これから発展する産業のため、皆が大きなポテンシャルを感じているのでしょう」(梅澤氏)

 パートナーについて梅澤氏は「夢を持ち、お互いに同じ未来を向いていればより走りやすい。目線は常に対等です」と強調する。比較的参入しやすいものとして例示したのは、農業、物流、警備、監視、点検といった人間の労働力に代わり得るソリューションだ。

 「例えば農薬散布などは現実的な課題です。日本の農業従事者の平均年齢が約67歳であることを考えると、あと5年後、10年後に農業を取り巻く世界が一変するはずです。ドローンで農薬散布ができるようになれば、課題解決の一助となります。また、これまで危険を冒して作業していた 高所での点検など、なかなか人が行きにくい場所に容易にリーチできるケースも多いため、数多くの需要があります」(梅澤氏)

 ただし、これはあくまでも一例に過ぎない。ポップグループのPerfumeがライブの演出としてドローンを駆使しているように、エンターテインメント分野でも十分に活用できることは既に証明されている。

 いずれにせよ前述の通り、NTTドコモは盤石な通信インフラ、免許取得による実証現場の提供、多様な+d活動を通じて得られた自治体などとの太いパイプなど、ベンチャーやスタートアップでは難しい"土台"の役割を果たす。だからこそ求められるのは、土台の上で自由に動き回る、柔軟な発想を持ったパートナーなのだ。

 「ドローンは上空150メートルまで飛ばすことができますが、そこは未踏の空域です。飛ばしたら何ができるか、何が生まれるのかは想像がつきません。ぜひ我々と一緒にドローンの未来を作り上げていきましょう」(梅澤氏)

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