ICTは関西の未来をどう変えていくのか?アイデアソンで2025年のサービスを考える

2017年3月24日、福岡市で初となるドコモ・イノベーションビレッジのイベントが、アイ・ビー・ビーと共同で開催された。ブレストの効率的なやり方やアイデアを生み出す発想法を学ぶイベントで、講師にはアイデア創出のプロであるアイデアプラント代表の石井力重氏が登場。一般参加者に加え、福岡発のベンチャー企業の関係者や起業家などが集まり、ビジネスに生かせる発想法を学んだ。

ベンチャー企業が生まれなければ、日本の未来はない!

NTTドコモの取り組みを説明したNTTドコモ 九州支社の原田理絵子氏

 今回のイベントを共催したアイ・ビー・ビーは、起業家やベンチャー企業をハードウエアとソフトウエアの両面から支援する企業だ。ハード面では、ibb fukuokaビルでベンチャー企業向けにオフィスを提供するとともに、一部企業には出資も行っている。さらに、アーリーステージの起業家を対象としたワーキングスペースなども用意する。ソフト面では、専門家や起業家からアドバイスが受けられるセミナーや経営塾などを開催。この姿勢が、オープンイノベーションでベンチャー企業への出資や起業支援を行うNTTドコモ・ベンチャーズと共通していることから、今回のアイデアソンとして結実した。

 なお、ドコモ・イノベーションビレッジは九州における取り組みとして、NTTドコモ 九州支社とベンチャー企業の協創を展開中。セルラードローンを活用した離島向けの買い物代行サービスの実証実験や、ICTを活用したブイで効率的な有明海の海苔養殖をサポートする事業を実施している。

 そもそもアイ・ビー・ビーは、不動産を扱う廣田商事のインキュベーション事業部門が独立して設立された企業。廣田商事がベンチャー企業支援を手がけるようになったきっかけは、1990年代後半の金融不況にある。なぜならこの金融不況の影響によって、当時のibb fukuokaビルでは入居者がゼロになってしまったからだ。アイ・ビー・ビー 代表取締役の廣田稔氏は、当時を振り返りながらそう語る。

 この状況を立て直すにあたって、廣田氏が注目したのは1999年に発表されたナスダック・ジャパン市場の創設だった。この動きを見て「これからの日本は、ベンチャー企業が誕生しなければ未来はない」(廣田氏)と考え、ibb fukuokaビルが新しい時代を担う企業のための場所となるような方向性に事業の舵を切った。

アイ・ビー・ビー 代表取締役 廣田稔氏

 廣田商事が所有する不動産のほとんどは福岡市にあるため、入居者を増やすためには福岡市の発展が必要不可欠となる。アイ・ビー・ビーが新たな企業を育てることが新規雇用を生み、ひいてはそれが福岡市自体を活性化や人口増加につながる。そうなれば「長期的スパンで不動産でも利益を得られる」(廣田氏)ため、同社では事業理念に「輝きつづけるまち・福岡の夢(未来)をインキュベート(具現化)していく」との言葉を掲げている。

 さらに福岡市は国家戦略特区に指定されており、全国的に見てもベンチャー企業が盛り上がっている地域である。ネットワークをさらに広げていくにあたって、廣田氏は「全国規模のナショナルブランドであるNTTドコモと組むメリットを大いに感じている。今回のアイデアソンを含め、新たな取り組みにチャレンジできることが一番の魅力だ」と語る。

未来を感じさせる画期的な3つの屋台が登場

アイデアプラント 代表 石井力重氏

プレゼン・トーナメントの様子

 今回のアイデアソンは「屋台をもっと楽しい体験にするアイデア」をテーマに、それぞれがフードベンチャー企業としてフードフェスティバルに出展すると仮定して、アイデア創出に挑んだ。冒頭のアイデア出しにあたって、石井氏が紹介したのは「SCAMPER(スキャンパー)法」と呼ばれるメソッド。この手法では、人の発想パターンを「代用」「組み合わせ」「適用」「修整」「拡大・縮小」「ほかの使い道」「省略・削除」「逆」「再構成」という9つに分類し、ベースとなるアイデアから例えば「何かを“代用”できないか?」「何か“ほかの使い道”がないか?」「何かを“逆”にできないか?」といった感じで発想を展開していく。参加者は、まずはこの手法を活用しながら隣の人と話し合い、多彩なアイデアを出していく作業を行った。

 次に、出したアイデアを深めていくブレインストーミングのメソッドとして石井氏が紹介したのは、「Zebra Brainstorming(ゼブラブレインストーミング)」。これは「個人→集団→個人→集団→…」と交互に変えて発想をまとめていく手法で、石井氏によれば「常に集団で議論し続けるよりも、個人と集団で交互にやる方が生産性は高い」そうだ。今回のイベントでも、個人でのブレストでは静かだった会場が、集団でのブレストでは大いに盛り上がり、活発なやり取りを生んでいたのが特徴的だった。

 2つのメソッドでアイデアを深めた後、参加者は自分がもっとも自信のあるアイデアを選び、それをA4サイズの用紙にまとめたアイデアスケッチを作成。そこから、3人組のグループを作成してそれぞれのアイデアスケッチをプレゼンし、そのグループでの勝者がさらに3人集まってプレゼンを繰り返す「プレゼン・トーナメント」を実施した。その結果、「空中庭園屋台」「出張ネイル屋台」「今、何の話題で盛り上がっているかを教えてくれる屋台」という3つのアイデアが決勝戦に勝ち残った。

 高所好きの参加者が考え出した「空中庭園屋台」は、高層ビルの間などにシースルーのオープンスペースを作り出し、そこで飲食が楽しめるというもの。さらに、ドローンの映像や世界の高所映像などが楽しめるほか、VR(仮想現実)を活用してアミューズメント性を高めるといったコンセプトも紹介された。

 「出張ネイル屋台」は、忙しいOLや主婦のためにネイルサロンが自宅前まで来てくれるサービス。そのコンセプト自体もさることながら、男性が発案したという点や、「屋台=飲食」という規制概念を覆している点がとてもユニークだった。

 「今、何の話題で盛り上がっているかを教えてくれる屋台」は、店内で話題となっている内容を、音声認識などを活用して店頭のディスプレイに表示させるアイデア。1人で飲みに出かけた際でも、例えば「ソフトバンクホークスの話題で盛り上がっています」と表示されていれば、ホークスファンの人は初めての店でも気軽に入店できるという仕組みだ。

 決勝戦の後、石井氏は敗者復活として途中で負けた参加者のアイデアを1つ紹介した。これは「ホームランになるようなイノベーションの芽は、実は多くの人がNOといったアイデアの中にある」(石井氏)からだ。だからこそ、「自分が信じているのであれば、簡単に諦めてはいけない」と石井氏は続けた。そして最後に「可能性を感じるなら、未踏の闇を進む信念を持ってほしい。今回のように、気軽にブレストできるような友人を大切にしてほしい」と助言し、イベントを締めくくった。

「空中庭園屋台」のアイデアスケッチ

「出張ネイル屋台」のアイデアスケッチ

「今、何の話題で盛り上がっているかを教えてくれる屋台」のアイデアスケッチ

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ドコモ・イノベーションビレッジ事務局
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