大盛況の5G Tokyo Bay SummitでVRのプロが語り尽くした5Gの可能性

VRの普及には高品質な映像体験が欠かせない

ジャパンディスプレイのブース

ジャパンディスプレイの湯田氏

電通の金林氏

 ディスプレイメーカーの雄、ジャパンディスプレイは景観に溶け込む透明ディスプレイや8Kの小型ディスプレイなど、次世代のリッチなコンテンツ体験ができるコンセプトイメージを展示した。5Gとの連携では街中のサイネージや車中でのシームレスな表示を提案。今後はより生活に溶け込んだIoT的なユースケースを具体化していく構えだ。

 ジャパンディスプレイ モバイル事業統括本部ディスプレイソリューションズ事業部事業部長の湯田克久氏は「VR、AR向けのディスプレイを今年から量産化予定」と話す。5Gの高速大容量・低遅延の特性を活かし、さまざまなVRの利用シーンが想定される中で同社が最も気にかけるのは「コンテンツの解像度」(湯田氏)だ。

 ユーザーが満足の行く高精細なVR体験を提供するために、同社では1.動画ぼやけの抑制、2.遅延の防止、3.リアリティの追求を念頭に置いた。1.と2.に関してはリフレッシュレートの高速化とそれを支える高速応答液晶およびインパルスタイプ表示により対応 、3.に関しては1インチ辺りのピクセル数を多くすることで対応。今年出荷予定のVR用ディスプレイはおよそ650ppiで、一般的なスマホの約1.6倍のピクセル数を誇る。湯田氏は「VRを普及させるために、やはりユーザーにVR酔いなどの負担をかけない品質のいい映像を届けたい」と、ディスプレイメーカーならではの思いを語った。

 最後に登壇した電通 デジタルアクセラレーションチーム プロデューサーの金林 真氏は、同社で昨年立ち上がった社内横断組織「Dentsu VR Plus」に言及。すでに全国のネットカフェなどでVRコンテンツ配信事業を展開しており、VRを活用したビジネスに取り組んでいる。

 金林氏の紹介事例で興味深かったのが、長期入院の小児患者に対するVR映像を活用したメンタルケア。北海道旭川市・旭山動物園の様子を収めた映像を見せたところ、非常に喜んでもらえたという。「あの子たちにとって、VRで旭山動物園を見る体験は1年ぶりの外出にも匹敵する行為。VRは体験を作り出せる。ひいては人の行動を変える可能性がある」(金林氏)。こうしたVRが持つ力強さを広げていくために、デバイスがより小型・軽量化し、5Gによってどこでも気軽に楽しめる環境づくりが必要になるだろうとまとめた。

実は悩ましい「スマホとVRと5Gとの関係性」

日経BPの林氏(最左)のモデレートによって、濃い座談会が進行した

 第二部は出席者が全員参加しての「5G×VR座談会」となった。モデレーターを日経BP総研 イノベーションICT研究所 主席研究員の林 哲史氏が務め、テーマに沿ってそれぞれが答えていく形を取った。

 林氏が「改めてVRの魅力を説明すると?」との質問を投げかけると、冨士川氏は「今まであるものを違う角度から見られるようになる。エンタメに限らず、教育、医療など社会に役立つ領域でも新しいコンテンツが出てくるだろう」と回答。湯田氏は、VRの可能性は大きいとしながらも「まだ画質のリアリティが足りない」とした。その現状を踏まえ、「超高精細な映像を見ると、皆さん“おぉ!”と驚く。コンテンツにハードが追いつき、より皆さんが感動できるデバイスを作ることこそ我々の腕の見せどころ」と語った。

 VR普及の鍵については、「かつての秋葉原のような、ものづくりのDIYマーケットが必要ではないか。そうすれば自分たちでデバイスを組み立てられる」(小谷氏)との意見がある一方、金林氏は次のような独自の考えを述べた。

 「生活を変えてくれる感覚を、女子高生が感じられるようなること。そのレベルまで浸透すれば、皆が興味を持つようになる。もしかしたら、VRとMRが合体したものが出てくるときが、そのラインをまたぐ瞬間なのかもしれない」(金林氏)

 現状、VRコンテンツの楽しみ方はHTC ViveのようなハイスペックPCによる専用機、PlayStation®VRに代表されるゲーム機、スマホを装着するゴーグル型に大別される。この中で「なんちゃってVR」などと揶揄されるスマホ型だが、5GによってモバイルVRが当たり前となれば、スマホ×VRの捉え方もがらりと変わることになる。この点について問われると、参加者たちは次のように答えた。

 「スマホはプロセッサーとネットワークをつなぐインタフェースになっていく」(小谷氏)

 「グーグルはDaydreamやTangoで積極的にVRやARの規格化を進めている。それほど待たずに、スマホでも納得の行くVR体験ができるようになるはずだ」(笹尾氏)

 「とにかく体験してもらうことが大事なので、VR視聴にスマホは欠かせない。1人でも多くの人に知ってもらわないと、早期の普及は望めなくなる」(冨士川氏)

和やかな座談会の様子

 「なんちゃってVRが最も危険。スマホ視聴でもそれなりのクオリティを担保してほしいので、端末メーカーもVR対応に力を入れてほしい」(湯田氏)

 「もはや“フォン”にこだわる時代ではないのではないか。次の時代には、フォンでないものを皆が持ち歩く可能性だってある。四角くてディスプレイが搭載された形状から変わっていく必要があると感じている」(金林氏)

 こうした識者たちからの実りある意見を受け、NTTドコモの中村氏は「皆さんの仲介役になるとともに、積極的にビジネス創出に関わっていきたい」と語り、充実したワークショップは幕を閉じた。

お問い合わせ

ドコモ・イノベーションビレッジ事務局
E-mail:village-application@nttdocomo-v.com

<前へ