急成長のインバウンド市場に向けNTTドコモがパートナーと仕掛ける次の一手

すでに協創を開始、それぞれの強みを発揮できるコラボレーション

発表会でJapan Welcome SIMについて説明した NTTドコモの太口氏


訪日外国人にとっても優しいユーザーフロー


日本を想起させるJapan Welcome SIMのパッケージとカード。
パッケージは栞(しおり)としても利用可能

 インタビューに先立つこと6月26日には、記者発表会が開催された。NTTドコモ ビジネス基盤戦略室 室長 太口 努氏はJapan Welcome SIMについて、「訪日旅行客に、“もっとオトク・快適な通信を”掲げた新サービス」と説明した。

 観光庁の調査では、訪日外国人旅行者の実に3割弱が日本での通信環境に不満を抱いているという。未成熟な無料Wi-Fi環境に加え、SIMカードレンタルの手続きや設定などが煩雑であることが大きな要因だ。そこでJapan Welcome SIMは、訪日外国人旅行者の用途に特化。手続き・設定を極力簡略化し、「空港で受け取ってSIMを挿したら、高速データ通信がすぐに使える」ことを前面に打ち出した。

 具体的なユーザーフローを見ていこう。訪日前に専用サイトで事前申し込みを行い、訪日後に空港でSIMを受取り、自身のスマホに挿し込むだけで簡単に利用開始ができる。ここで重要なのが、煩わしいAPN設定が不要なこと。太口氏も“簡単に使える”点を重ねてアピールした。

 その他の特徴としては、前ページのインタビューでも触れた指定広告や動画、記事などを閲覧して高速データ通信量の無料分をチャージできることが挙げられる。今後はクーポン、食事・アクティビティ予約、交通・配車、観光スポット送客など、観光に関わるサービスを無料データチャージのメニューとして検討している。

 今回の取り組みにおけるNTTドコモの狙いは、単なるSIMカードの提供にとどまらない。太口氏はそのビジョンを「我々の強みである通信基盤、規格基盤、決済基盤、認証基盤とパートナー企業の強みをかけ合わせ、一緒になってインバウンド市場を盛り上げていきたい」と語る。当面のビジネスモデルとしては広告収益モデルでの拡張を想定しており、早い段階での100万ユーザー達成を見込む。

 発表会では、Japan Welcome SIMに賛同したパートナーがそれぞれの関わりについて語った。トップバッターは、デジタル広告業の老舗であるデジタル・アドバタイジング・コンソーシアム。同社はJapan Welcome SIMのシステム開発支援、広告商品の設計、販売支援を担当する。グローバルビジネス本部長 執行役員 菅沼道彦氏は「訪日外国人旅行者にマーケティングしたいとの企業ニーズが非常に増えている」とし、Japan Welcome SIMが重要なタッチポイントであることを強調した。

 日本全国に44ホテル、約1万2000室を展開する東急ホテルズは、宿泊プランの中にJapan Welcome SIMをオプション設定する提携スキームとした。マーケティング部 部長 佐久間智義氏は「あらかじめSIMの予約をすることで、空港でそのままSIMを受け取れる。宿泊費とともにSIM料金をホテルで支払えるため、シームレスにSIMカードを利用できる仕組みだ」と話した。外国人宿泊者が7割を超えるザ・キャピトルホテル東急から販売を開始し、順次、外国人比率の多いホテルへ展開予定だ。

 参画の狙いとしては、顧客に対する新たな価値の提供がある。長く現場に携わってきた佐久間氏は、これまで何度も「すぐにSIMカードを使いたい」との要望を耳にしてきた。しかし空港は混んでいてなかなか発行されないのが実情で、APN設定も強いられる。「このサービスならそうした煩わしさがない。あわせて自社Webサイトの販売力強化、東急ホテルズブランドの認知度向上にもつながる」(佐久間氏)。

 Booking.comからは、日本地区統括リージョナルマネージャー アダム・ブラウンスティン氏が登壇した。ブラウンスティン氏は「我々は2012年に日本に参入したが、2015年以降は国別渡航先ランキングで日本はトップ10の常連になっている。恐らくこの勢いは止まらない。このことからも、日本は戦略的に極めて重要な市場」と位置づけた。

 Booking.comは言わずと知れた世界最大の宿泊予約サイト。日本語を含む40言語でサービスを提供し、2015年には同サービスを利用した宿泊者数が10億人を突破した。この特長を生かし、同社はサイト内でJapan Welcome SIMを案内する。閲覧により100MBの高速データ通信量をボーナスプレゼントする他、同社サイト、モバイルアプリ使用時の高速データ通信料が無料となる仕組みだ。ブラウンスティン氏は「NTTドコモとの協業によって、日本でのブランド浸透を強化したい」と語った。

デジタル・アドバタイジング・コンソーシアムの菅沼氏

東急ホテルズの佐久間氏

ブッキング・ドットコム・ジャパンのブラウンスティン氏

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ドコモ・イノベーションビレッジ事務局
E-mail:village-application@nttdocomo-v.com

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