共通するのはベンチャーのマインド シェアリングサービスと開拓する“次世代の暮らし方”

NTTドコモの生活全般サポートサービス「dリビング」が、新進気鋭の宅配収納サービス「trunk(トランク)」との業務提携を発表した。dリビングに加入すれば、専用ボックス1箱分の月額保管料が無料となる画期的なプランで、すでに大きな反響を呼んでいる。これまでのNTTドコモのビジネスとはかけ離れたものに思えるが、今回のコラボレーションをきっかけに“次世代の暮らし提案”を開拓していきたいとの狙いがある。「+d」のエッセンスが凝縮された取り組みについて、両社に話を聞いた。
NTTドコモの生活全般サポートサービス「dリビング」が、新進気鋭の宅配収納サービス「trunk(トランク)」との業務提携を発表した。dリビングに加入すれば、専用ボックス1箱分の月額保管料が無料となる画期的なプランで、すでに大きな反響を呼んでいる。これまでのNTTドコモのビジネスとはかけ離れたものに思えるが、今回のコラボレーションをきっかけに“次世代の暮らし提案”を開拓していきたいとの狙いがある。「+d」のエッセンスが凝縮された取り組みについて、両社に話を聞いた。

ほとんどスマホ内で完結する宅配収納サービス

スマート管理を体現するtrunkのイメージ(dリビングのプロモーションサイトより)

 NTTドコモが2016年7月から提供を開始したdリビングは、家庭内の暮らし全般をサポートするサービスである。その内訳はハウスクリーニング、エアコンクリーニングや家事代行などの家事サポート、水まわり/カギ/ガラス、在宅確認などのトラブルサポート、電気の利用状況の確認ができるエネルギーモニターなど多岐にわたる。

 月額450円(税抜)を払えば、トラブルサポートは24時間365日無料、家事サポートは通常価格に比べて最大50%割引で利用できる。dリビングでは「暮らしのお困りごとをおトクに解決します!」を掲げ、会員数を大幅に増やしている。

 通信事業を主体とするNTTドコモにとっては異色のサービスとも言えるが、同社は攻めの姿勢を崩さない。その現れとして2017年9月、dリビングに新たに加わったのが収納サポートのメニュー。家の中に溢れる“収納に困っているが大切なモノ”を専用ボックスに詰めて送るだけで、温度・湿度が管理された快適な倉庫で保管してくれるサービスだ。

 ここでは宅配収納サービスのベンチャーであるトランクと業務提携した。dリビング会員であれば専用ボックス1箱分の登録手数料/2カ月目以降の月額保管料(通常は500円〈税抜〉)が無料となる(別途取り出し料などは会員負担)。trunkはスマートフォン(スマホ)による管理が特長で、申し込みから預けた後の確認までがスマホアプリで可能。預けたモノはtrunkで撮影して中身をアプリで確認でき、1点から取り出すこともできる。さらにアイテムを売買できるなど、痒いところに手が届く内容となっている。

 9月7日にドコモショップ丸の内店で行われた発表会には、トランク 代表取締役 松崎早人氏と、dリビングを担当するNTTドコモ ライフサポートビジネス推進部 ファミリーコミュニケーション事業担当部長 大杉俊明氏が参加。「モノ・スペース・リソースの“空き”を創出して収益に変換させるシェアリングインフラの構築が目標」(松崎氏)、「短期的なビジネス連携ではなく、暮らしを革新する新たなサービス創出を目指す」(大杉氏)とそれぞれ意気込みを語り、今後の展開に期待を寄せた。

発表会でボックスの大きさを説明するトランク 代表取締役 松崎早人氏(左)。ダウンなら8着、ジャケットなら15着も入る大容量が売りだ。右は今回のコラボを主導するNTTドコモの大杉俊明氏

ドコモでは異色のサービス、だがそこに新たなビジネスのヒントがある

 国内最大手の携帯通信事業者とベンチャー企業の協業――一昔前なら予想もできなかったコラボが実現したのは、ひとえにNTTドコモの「+d」戦略によるものだ。パートナーとの新しい価値の協創を目指すこのビジョンには、企業規模の大小は関係ない。今回のプロジェクトも両社で検討を開始してからわずか半年でサービスインした。この成果は、まさにデジタル変革時代ならではの軽やかさとスピード感を体現している。

 松崎氏は「もともとシェアリングサービスの普及を視野に入れている。しかし、一介のベンチャーが『シェアリングサービスを始めました』と言ったところで普及のスピードが遅いのは目に見えている。そこで当初から、影響力の大きいインフラ企業と提携することを考えていた」と話す。その中でdリビングの存在を知り、「ぜひメニューに加えてほしい」との思いからツテをたどって独自にアプローチしていた。

単なる倉庫サービスではなく幅広くシェアリングサービスを普及させたいと話す松崎氏

 一方のNTTドコモはdリビング会員や市場からのニーズとして、自宅の収納スペース不足を何とかしたいという声が多いことを認識していた。この解決策をdリビングの新メニューとして加えられないものか――そう模索していたとき、NTTドコモ・ベンチャーズのつながりからトランクを紹介された。ある意味、両社の出会いそのものが相思相愛だったのである。

 スマホを活用する荷物保管サービスはほかにもあり、大手の倉庫業者も参入している。dリビングにおける他メニューの提供社が軒並み大手であることを考えると、なぜ収納サービスでベンチャーと組んだのかという疑問が湧く。これに対し、大杉氏は次のように答えてくれた。

 「trunkは単にモノを預かるだけではなく、さまざまなサービスのハブとなりうるサービス。dリビングの会員にとっても、当然サービスの提供範囲は広いほどいい。これからいろんな方向に伸びていく可能性を感じるし、トランク社のチャレンジ精神には感銘を受けている。今後、ドコモのIoTやAIといったテクノロジーを組み合わせたサービス拡大といった相談もしやすいと思う。逆にトランク社が新たなビジネスを手掛けようとするときには、我々の培ってきたノウハウやアセットが生かせるかもしれない。こうしてお互いに補完しながら成長していける点は協業において重要だ」(大杉氏)

 大杉氏はさらに、「dリビングはまだサービス開始してから1年少々なので、我々のチームはNTTドコモの中ではチャレンジャーの立場。トランク社とは同じような目線でのコミュニケーションが取りやすく、良いパートナーだと思う」と語る。社内でのdリビングの立場についてはさらに「ベンチャー企業のような立場。毎月、収入、費用などを厳しく管理しながら、緊張感をたっぷり持って事業を運営している」(大杉氏)。こうした厳しさは大企業ではなかなか味わえないものだが、だからこそベンチャー企業の気持ちがわかる部分もある。

大杉氏はベンチャーならではの柔軟性、スピード感を高く評価する

 現場を担当するNTTドコモ ライフサポートビジネス推進部 ファミリーコミュニケーション事業 ホーム&ファミリーサービス担当主査 菅川高和氏は、過去にドコモ・イノベーションビレッジでアクセラレーターを務めるなど、もともとベンチャー企業と豊富な接点を持っていた。そのため、トランクとの交渉も「最初から同じ目線で話し合うことができた。そして、こちらのやりたいことも理解してもらって上手く進んだ」という。

 dリビングのチームでもベンチャーとの協業が初めてだったこともあり、菅川氏はメンバーと密にコミュニケートしながらベンチャーとの協業について意識の共有を図った。「ベンチャーと一緒に仕事を進めるのはこういうことだ、との意識をチーム全体で理解できたのは今後にとっても大きな成果だ」(菅川氏)。

ベンチャー企業との豊富な接点を持つ菅川氏

 松崎氏は「大手の倉庫業者と組むのが普通だと思っていた。しかし、スタートから我々の理念を理解していただき、懐の深さを感じることができた。そこには『あ、こういうときに物事が進むんだな』という空気があった」と当時を振り返る。橋渡し役の一端を担ったドコモ・イノベーションビレッジ/NTTドコモの平野氏は「強みを持つパートナーと組んだからこそすぐにサービスを実現できた。自社サービスだったらもっと時間がかかっていただろう」との感想を口にした。

 トランクは将来的に「ストレージ、デリバリー、シェアリング」を回すサービスを展開していく予定だ。そのためには“モノ”と“人”が絶えず還流する仕組みづくりが必要となる。「NTTドコモは適切なサービスを見つけてきて結びつけてくれる、頼れる先輩のような存在」と松崎氏は笑う。例えばtrunkに預けたモノを売却し、それをdポイントで支払って新たにモノを購入したり、保管するモノや売りたい・買いたいモノのレコメンドを自宅のAIスピーカーが自動でしてくれたりする――そんなスマートな未来も夢ではないかもしれない。

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ドコモ・イノベーションビレッジ事務局
E-mail:village-application@nttdocomo-v.com