最先端技術の“日本代表”が結集!
感動が桁違いの8KVRを5Gサービスで実現

最先端技術の“日本代表”が結集!感動が桁違いの8KVRを5Gサービスで実現
 「CEATEC Japan2017」(2017年10月)で展示されたNTTドコモの「8K60fpsVR映像配信・視聴システム」。世界初となるこの画期的な仕組みには、コアとなるNTTグループの技術に加え、ディスプレイ、音響、コンテンツ制作などさまざまな企業のノウハウが集約された。5Gサービスだからこそ楽しめる臨場感溢れるVRコンテンツは、どのような経緯で生まれ、育まれてきたのか。NTTドコモやシャープ、ヤマハなど関係者の座談会からその軌跡を追った。
 「CEATEC Japan2017」(2017年10月)で展示されたNTTドコモの「8K60fpsVR映像配信・視聴システム」。世界初となるこの画期的な仕組みには、コアとなるNTTグループの技術に加え、ディスプレイ、音響、コンテンツ制作などさまざまな企業のノウハウが集約された。5Gサービスだからこそ楽しめる臨場感溢れるVRコンテンツは、どのような経緯で生まれ、育まれてきたのか。NTTドコモやシャープ、ヤマハなど関係者の座談会からその軌跡を追った。

5Gサービスで納得の行くVR映像を実現したかった

座談会の出席者。左からシャープ IoT通信事業本部 パーソナル通信事業部 システム開発部 技師 岡本卓也氏、ヤマハ 研究開発統括部 空間音響グループ 主事 白木原 太氏、クロスデバイス 代表取締役 早川達典氏、NTTドコモ 移動機開発部 第二イノベーション推進担当 担当課長 的場直人氏

——本日はCEATEC Japan2017にて展示された「8K60fpsVR映像配信・視聴システム」に関してお聞きしていきます。まず、8KVRの展示に至ったきっかけは。

NTTドコモ・的場氏:現在提供されている実写VRには、品質が伴っていない課題があります。4K映像をうたっていても、全天周で4Kですので見ている領域はその一部になります。そのため皆さんが想像する4Kよりも遥かに解像度が低いのが現実です。

 しかしNTTドコモでは、超高速・低遅延・大容量伝送が可能な5Gのサービスとして、今以上に没入感、臨場感のあるVR映像を提供したいと考えています。そこでまず最初に8KVRにチャレンジしたのです。

 今回のプロジェクトはNTTドコモが主導し、その中で各社の要素技術を結集しました。2017年の春頃から始まり、10月のCEATEC Japan2017に出展することを共通ゴールとして各社に開発してもらったのです。

——コアとなった技術はどんなものでしょうか。

的場氏:中核を成すのはNTTの研究所が開発し、現在はNTTテクノクロスが販売している「パノラマ超エンジン」です。簡潔に言うと、見えている部分のみ高解像度で配信し、低解像度の画像を背景として常時配信する仕組みで、スマートフォンレベルで8K相当のVR映像を再生できるものです。これを活用して8K60fpsの映像配信を可能としました。いくら5Gとはいえ8K60fpsの映像をそのまま伝送したら現実的ではありません。そこでパノラマ超エンジンの処理負荷と伝送速度を軽減する特長が役立っています。

参加した企業をまとめ上げたNTTドコモの的場氏

NTTドコモのイベント「見えてきた、“ちょっと先”の未来~5Gが創る未来のライフスタイル~」(2017年11月9日~11日、日本科学未来館)でも8KVRの体験ブースが展示された。内容は和洋の舞踊と音楽とミックスした“Quartet360”、沖縄の風景をバックに伝統音楽を楽しめる“Ryukyu PANORAMA VR”の2種類

 一方で8KVRを実現するにあたり、コンテンツの解像度だけではなく、解像度に見合ったフレームレート、音質といったコンテンツに付随するスペックやヘッドマウントディスプレイ(HMD)の解像度を向上していく必要がありました。これらたくさんの技術的なチャレンジには、各社の協力が欠かせなかったのです。

日本代表、それぞれの思いとは?

IGZOで液晶の可能性を追求したシャープの岡本氏

——なるほど。そこでさまざまな企業が参加したわけですね。では、プロジェクトの役割を聞かせてください。まずはシャープから。

シャープ・岡本氏: HMDの表示に片目あたり2K×2Kの高精細なIGZOディスプレイを提供しました。コンテンツが360度の8K、HMDの視野角が100度弱とのことから、実際にHMDで視認できる解像度としては2K相当と考えます。そのため、IGZOはコンテンツを活かせるディスプレイだろうと考えました。今のところHMDは有機ELが主流ですが、それは液晶の応答速度が遅いためです。しかし現状の有機ELには、さほど高解像度のパネルがありません。そこでシャープでは応答速度が速く、VR向けに特化したIGZOを採用することで、より高速で高精細な表示ができるパネルを実現しました。

 有機ELとIGZOでは、画素1つの発光面積がまったく違います。有機ELは発光面積が小さく、スクリーンドア効果(ディスプレイに網目模様が見えてしまう現象)が発生しやすいのです。今回のプロジェクトで視聴するのは実写VRのため、現実世界を疑似体験することになります。そこで高精細で発光面積が大きい液晶を使用し、“ディスプレイを見る感覚をなくしたい”というのが開発の意義です。

——ヤマハはいかがでしょう。

ヤマハ・白木原氏:「ViReal(バイリアル)」という立体音響の技術を提供しました。VR映像は低解像度でも360度で鑑賞に耐えるものが出てきているのに、音声はまだまだ360度対応が浸透していません。そこでViRealを活用して高品位な360度音声を届けたいと考えています。

立体音響でVR音響のブレイクスルーを図るヤマハの白木原氏

 今回のプロジェクトで使用したのは開発中のViReal Mic。球の表面に64個のマイクカプセルを配置して64チャンネルのワンポイントマイクを作り、そのマイクで立体音響を収録しました。例えば今、水平面だったら6チャンネルや7チャンネルのサラウンドもあります。ただ、上下までカバーして本当に臨場感のあふれる音を360度で提供するなら最低でも64chは必要とヤマハは考えました。

 ですから5Gのように帯域が広く、たくさんデータが伝送できるようになると、今までは少ないチャンネルでしか届けられなかった立体音響も多チャンネルで本当に臨場感のある音が届けられるのではないかと。そこまで考えて一緒に取り組んでいます。我々は音の入口から出口まで、VRにふさわしい本当の立体音響を提供したいのです。

——コンテンツ制作を担当したクロスデバイスは浜松市の観光VRをはじめ、NTTドコモのVR事業に最初期から協力されています。

クロスデバイス・早川氏:今回は映像制作と再生アプリケーションを担当しています。もともと的場さんから、CEATEC Japan2017で「ドコモ発VRのあるべき姿」を示してほしいとのリクエストが先にありました。「現存する最高の技術を持ち寄って、世界最高のものを作ろう」と。

的場氏:世界初を最初に言い出したのは早川さんですよ(笑)。しかし、それでますます本気になったのも事実です。

クロスデバイスの早川氏。NTTドコモとはVRコンテンツ作成で長い付き合い

早川氏:撮影は、新たに設立したVR映像ユニットの『TeamVR’』で行いました。音楽映像制作で年間400本以上の実績のあるSEP社、コマーシャルやプロジェクションマッピングを手がけるネストビジュアル社と弊社の3社チームです。

 4K60fpsを撮影できるカメラ(パナソニック製「LUMIX DC-GH5」)を5台並べて撮影し、20K映像から歪みの少ない8KVR映像をスティッチ編集しました。パナソニック映像さんの協力のもと美しい8KVR映像を完成できたのです。もとの映像が良質なので、ダウンコンバートしても非常に美しい。今回はきれいに撮れた実写をそのままきれいに見せるというコンセプトですから、その狙いは達成できたと感じています。

見えてきた課題をクリアして2020年に備えていく

——今回の協業や展示を通じて何を学びましたか。

的場氏:もっと時間をかけて追い込めば、さらに上質なコンテンツが完成したとの思いはあります。また開発用デバイスのため、細かい調整が至らなかった部分もあります。しかし、限られた時間の中でCEATEC Japan2017というゴールに向けて各社が一体となって取り組んだ意義は非常に大きかったのではないでしょうか。360度8K60fpsの映像を立体音響で視聴するのは誰もが未体験ゾーン。その体験をこのタイミングで提供できたことは何物にも代えがたい価値があると思います。

岡本氏:そうですね。恐らく、シャープ1社だけではこの短期間では無理だったはずです。今回は社内にあるアセットを活用しながら、他社と協業して良いものができたと自負しています。これからは、自社にないものを無理に自社で作る必要もない時代です。ビジネスのスピードも速くなっているので、とうてい自社開発では追いつけません。それよりも協業できる企業をどんどん探していくことで、今回のような成果が生まれるのだということを実感しました。

今回の取り組みで各社の絆は深まった

白木原氏:ヤマハはやはり音の会社で、映像は専門外です。ただし、VRは映像と音の両方を高品質で届けてこそ感動が生まるものだと再確認しました。我々は各社と協力してコンテンツを作るところまではできますが、それを最終的にお客様に届ける配信プラットフォームを持っていません。NTTドコモと一緒に取り組むことで、ヤマハの強みである音による感動を届けられたのは貴重な体験でした。

早川氏:弊社は大企業に囲まれた存在ですが(笑)、大企業はすぐに動きたくても動けない部分がありますよね。今回は我々が身軽に動けるところを先に動き、接着剤的な役割を果たしたかなと感じています。

的場氏:実は今回、全部で8社での共同プロジェクトなのです。NTTドコモの社内からも「これだけの企業をまとめられるのか」と心配する声もありました。しかし振り返ってみると、共通の目標に向けて邁進できたと思います。取り組むうちに課題が出てきますし、本当に間に合わないのではないかと思った時期もありました。そのときに、参加企業から利害関係を越えていろんなアイデアや意見をいただいた。改めて、NTTドコモだけではできなかったプロジェクトだったと感じています。

——今回のプロジェクトを踏まえての未来像を教えてください。

的場氏:NTTドコモが2020年に5Gサービスを商用化するにあたって、VRは核となるサービスの1つに挙げられています。あと2年余りで2020年がやってきますが、その短い間にどれだけの課題をクリアすべきか、今回のプロジェクトでようやくその課題がかなり具体的になってきました。ですからこのプロジェクトを継続的に発展させて、1つずつ課題を乗り越えながら2020年に備えたいですね。

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ドコモ・イノベーションビレッジ事務局
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