“進取の気性”に富む沖縄を舞台に
ICT×地方創生による新たな協創を

空手は沖縄の誇り、会場は熱気に包まれていた!

 空手1 シリーズA 2017 沖縄大会(以下、大会)は、2017年11月25〜26日にかけ、沖縄県那覇市にある沖縄県立武道館で開催された。今回の取材はモデル/レースクイーンの宮本りおさんに同行してもらい、VRブースの体験や関係者へのインタビューを行った。

今回取材に同行してくれた宮本りおさん。いざ、会場へGo!

 大会には全世界68カ国から783名の選手が参加。非常に国際色豊かで、男子のみならず女子が多いのも特徴だ。会場のあちこちで念入りに練習する姿も見られ、選手との距離の近さに親近感がわく。

廊下で練習する女子外国人選手

 会場は熱気に包まれていた。観客は「沖縄発祥の文化でありスポーツ」である空手を純粋に楽しんでいる。取材班が訪れたときは、男女ともに組手の試合の真っ最中。組手と言っても実際に打撃するわけではなく、拳や蹴りをコントロールし、体に当たる寸前で極めるルールだ。これにより格闘技からスポーツに昇華され、オリンピックに採用された背景がある。

 拳の突きや蹴りのスピードは超高速だ。素人の目で見てもどこが決まり手なのかまったく判断できないのだが、審判は冷静に判断する。空手観戦が初体験だという宮本さんも、迫力のある動きの連続に驚きを隠せない様子だった。

(左)ド迫力の試合の様子。(右)本格的な空手の試合に見入る宮本さん

 その後、宮本さんは場内に設置されたNTTドコモのVR体験ブースへ足を運んだ。コンテンツ内容は前述の通り、日本トップクラスの女子選手(植草歩選手、岩本衣美里選手)が実際にモデルとなり、48台ものカメラで360度をくまなく撮影したもの。没入型のヘッドマウントディスプレイ(HMD)を装着して、それらトップ選手の動きをじっくりと味わうことができる。

クオリティの高いVRコンテンツに没入

 「うわ、これは速い! 凄い!」。HMDを装着してすぐ、宮本さんは感嘆の声を上げた。360度撮影の特性を生かし、自分が動くと選手の周囲を見ることもできるため、まるでそこに選手がいるかのようなリアリティがある。また、制作時に注力したという衣擦れや突きの音も“本物感”を煽ってくれる。

 それだけしっかりと作られているため、観客ばかりではなく、選手にも大好評を博した。普段は見ることのできない背面などの動きを観察できるため、練習の参考になるのだという。また、子ども用にスマホを装着する簡易型のVRビューワーも用意され、たくさんの子どもたちがVRを初体験していた。

VRは空手の魅力を伝えるのに適したアイデア

 以下、空手の普及・啓発に努める関係者のインタビューをお届けしよう。まず最初は、東京オリンピックの採用に大きく関わった世界空手連盟事務総長の奈蔵稔久氏から。

宮本さん 会場で実際の試合を見て、その迫力に驚きました。改めて、今回の大会や空手の魅力について教えていただけますか。

世界空手連盟事務総長の奈蔵稔久氏

奈蔵氏 今回の大会はオープンで世界ランキングによる出場制限がありません。それこそ世界ランカーから無名の人たちまで参加する、言わば登竜門のような大会です。ご存知のように、沖縄は空手発祥の地。ここで開催したのは、ラグビーやサッカーの聖地がイングランドであるように、世界に広まった空手の“母国”がこの地だというアピールもあります。

 空手は形と組手から成ります。そのルーツは護身術であり、格闘武術として受け継がれてきましたが、長い時間をかけて現代スポーツへと発展してきました。

 形は伝統的な空手のエッセンスを凝縮し、一連の決められた動作を行うもので武術、精神鍛錬、没我の境地に入れる摩訶不思議な魅力があります。私の経験上、初めて見た人の誰もが「これは素晴らしい」と言ってくれる美しい動きです。

 しかし、この形の技術には、体重50キロの女性が200キロの大男を倒してしまう技が含まれています。そこで形の中から比較的安全で、しかも空手を知らない人が見てもわかりやすい技を抽出して組手を作りました。対人競技としてお互いに自由な間合いで攻防しますが、大怪我をするような技はすべて禁止しています。相手を負傷させた選手が負けになるルールですから、皆さんの格闘技の概念からすれば正反対になります。

宮本さん なるほど。だから東京オリンピックに採用されたのですね。

奈蔵氏 その通りです。例えば剣道は真剣から木刀になり、竹刀に変わり、防具を身に着けるスポーツに進化してきました。柔道も伝統的な柔術から、嘉納治五郎氏がスポーツとして成立させました。

 空手も同じで、打撃格闘技でありながら技をコントロールし、相手をキズ付けないという競技方法が国際オリンピック委員会(IOC)に認められたのです。実は5大陸全てにこれだけ普及していながら五輪に入っていなかったのは空手だけでしたから、あとはタイミングの問題だったという見方もできます。

奈蔵氏へのインタビューの様子

宮本さん 会場ではNTTドコモがVR体験ブースを提供していました。最新技術と空手の融合に関してはどのように考えていますか。

奈蔵氏 話を聞いたときから、空手の魅力を伝えるのにユニークで素晴らしいアイデアだと感じました。空手の迫力が立体的なバーチャルリアリティで見られるのは、まったくこれまでとは違う体験ですし、コンテンツもとても良くできていました。そういう意味でも、空手の魅力を伝えるのに有効なツールだと思います。

 コンテンツを視聴すると、実際に突いたり蹴ったりする感覚を体験できます。まったく知らない人たちが「ああ、こういう中で空手をやっているんだな」という感覚を疑似体験できるのは大きなインパクトです。今回のVRでは、空手の突きや蹴りがいかに凄まじいかがわかります。あの感覚は、平面ではなかなか味わえません。

宮本さん 最後に、2020年の東京オリンピックに向けて一言お願いします。

奈蔵氏 世界に空手の競技人口は1億人、国内競技連盟は5大陸192カ国にあります。空手は柔道に次いで日本発祥で、伝統的な礼を重んじつつユニバーサルスポーツになりました。我々のモットーは“伝統と革新の完全なる調和”。これを東京オリンピックで証明したいと思います。

沖縄県文化観光スポーツ部 スポーツ振興課 課長の瑞慶覧(ずけらん)康博氏

 次に、沖縄県文化観光スポーツ部 スポーツ振興課 課長の瑞慶覧(ずけらん)康博氏に話を聞いた。沖縄県は今回の大会を共催しており、スポーツ振興でも“沖縄発祥のスポーツ”の支援を積極的に行っている。

宮本さん 今回の共催の背景について教えてください。

瑞慶覧氏 我々はスポーツ振興とともに、スポーツツーリズムなどと連携して、沖縄由来の空手をアピールしながら多くの観光客に来てほしいと考えています。今までなかなか広がらないジレンマがありましたが、ようやく東京オリンピックで正式種目に採用されました。そこで、世界規模の大会を沖縄から発信することで空手の良さを伝えていきたいとの思いから共催に至っています。

 沖縄の選手たちは若い頃には競技に打ち込んで、高齢になったら指導者として沖縄の子どもたちを育ててほしい。文化観光スポーツ部には世界で1つしかない「空手振興課」があります。これで、沖縄県が空手に込めた思いが伝わるでしょう。

宮本さん 会場ではNTTドコモがVR体験ブースを提供していました。瑞慶覧課長も体験されたようですが、いかがでしたか。

瑞慶覧氏へのインタビューの様子

瑞慶覧氏 わかっていても逃げてしまいました(笑)。空手を知らない人たちへのアピールとしては十分だと感じましたが、それだけではもったいない。VRだと横からも後ろからも上からも見ることができます。こういう全体視点からの観察ができると、選手にとっても自分が練習するときの参考になるのではないでしょうか。背面から自分の動きを見れたら、「形が崩れている」といったことがわかります。

 空手だけではなく、VRはスポーツ振興の観点からも有効です。沖縄ならシュノーケリングやサップヨガ、サーフィンなどのマリンスポーツにも応用できます。観光で訪れた人たちに“やってみたい”と思わせる効果がありますので、大きな可能性を感じますね。

宮本さん スポーツ振興課が描く沖縄と空手の未来像はどんなものですか。

瑞慶覧氏 沖縄県民にとって、空手に関しては特別な思いがあります。我々は、競技としての空手だけではなく、子どもからお年寄りまでの生涯スポーツとしても空手を捉えています。昔は長寿県の代名詞でしたが、今は急落してしまいました。今後は、空手などを通じて健康寿命を延伸するための支援をしていきたいと考えています。

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