ITモダナイゼーションSummit 2017 レビュー

日産 IBMメインフレーム2台・6システムの短期間並行リフォーム

日本最大規模のシステム更新専門会社であるソフトロードが今回実施したのは、日産自動車でグローバルに使われているシステムのモダナイゼーションだ。当初は双方に行き違いもあったが、限られた時間内で任務を遂行した。

メインフレームのサポート終了がタイムリミット

日産自動車株式会社
グローバル情報システム本部
ISプロジェクト品質管理部 主担
杉村 ルカ

株式会社ソフトロード
代表取締役
劉 忱

過去14年間で300件以上のシステムリフォームを行った実績があるソフトロード。社長の劉忱氏はそのプロセスを、「不要部分の削除、データ構造の改善などを含み、ツールと手修正でシステム更新を行います。それから、新しい要件を付加させていきます」と説明する。その手法を用い、昨年も35のシステムのモダナイゼーションを進めてきたという。

なかでも、日産自動車の脱ホストは出色だ。IBMのメインフレーム2台、6システムを約1年間という短期間のうちに平行リフォームしている。

このリフォームのプロジェクトは、日産の6カ年にわたる中期経営計画「日産パワー88」と連動したIT戦略「VITESSE」の一環として進められたものだ。同社の杉村ルカ氏は、「2016年初頭の段階で、IBM製のメインフレームが22の、日立製作所製のものでは69のアプリケーションが使われていました。これらをアプリケーションポートフォリオに基づきアプリケーション統合/廃止、またはグローバル共通環境への移行を進めています。特にIBMのメインフレーム上のアプリケーションに関しては、2016年末でハードウェアのサポートサービスが終了することから、メインフレーム環境の8割を占める複数のアプリケーションの移行を同時に進める必要がありました」と話す。そのベンダーとして、ソフトロードが選ばれた。

このときに日産側が想定していたモダナイゼーションのプロセスは、既存プログラム解析、開発、テストという流れだった。仕様書と実際のプログラムの差異を確認し、既存プログラムを解析すればビジネスプロセスが分かるだろう、開発とテストは新規開発と同等の工数とコストで進めれば、その過程で具体的な課題と妥当な対応が報告されて、テストデータも作成できるだろうと期待していた。

しかし実際にプロジェクトが始まると、想定していない事態が多発し、1年以内というスケジュールを守れないのではないかという危惧が生まれてきた。

「ベンダー側はプログラムの中身も、そこで行われているビジネスプロセスを理解していないことがわかりました。また、開発は何割まで進んでいるのか、不具合は何日で修正されるのかといった問いにも、明確な答えが得られませんでした」

現場視察で双方の齟齬が明らかに

そこで、ソフトロードと協議し開発現場の視察を行ったところ、齟齬の原因が発覚した。たとえば、開発では自動変換ツールに頼る部分が大きく「プログラム解析とは、自動変換ツールのロジックを検討すること」であり、そのツールは手を入れれば手を入れるほど改善されるため「後になればなるほど、品質が上がり、標準化が進むことが分かり、報告されていた開発スピードも妥当であることが分かりました」という。「ツールを使っているのであれば、必ずしもビジネスプロセスを理解している必要がありません」

ほかにも、日産側とソフトロード側で進捗率の定義が異なっていたことも明らかになった。日産側はプログラムの本数、ソフトロード側は行数で管理していたため、当初ソフトロード側は行数を本数に換算するのに時間を取られ、迅速な回答ができていなかった。これは、日産側がソフトロードの管理しやすい方法に合わせることですりあわせた。

これまでの日産の常識とは異なる方法で進むモダナイゼーション。そこで日産は、今回の取り組み方法を、モダナイゼーションに関わる複数のドメインに、より早く正確に理解してもらい、齟齬をなくしスケジュールを遵守することを目的に、杉村氏の所属部門が軸となるプログラムを発足させた。プログラムのメンバーはたとえば、プログラムリーダーには日産側からはプロジェクト品質管理部門部長、ソフトロード側からは社長が就任、プログラムマネージャーには日産側からはプロジェクト品質管理部門の課長、ソフトロード側からも課長が就任するといった具合で、同じ役職に日産側とソフトロード側から1名ずつが就任する。管理者の下には、複数のドメインにまたがって進むプロジェクトを置いた。

さらに、関連するドメインの部長及びインフラ担当の部長からなるステアリングコミッティを組織。これにより、関連するすべての部署を巻き込んだことになる。プログラム側は、月に一度そのステアリングコミッティに対して、明らかになった課題などを報告した。杉村氏は「単なる進捗報告に留まらないよう、課題を報告する場合にはそれに対して『こうしたい』と方向性を示すようにしました」と、前に進めることを強く意識したという。

現状に即した工夫が功を奏し、プロジェクトは予定通りに進行し、2016年12月末に完了した。

体制と役割

モダナイゼーションを進める発注者側として杉村氏は「モダナイゼーションの実施プロセスは、新規開発や過去のモダナイゼーション案件と同じとは限らないため、ベンダーの開発プロセスを理解する必要があります」という。理解した上で、互い管理作業を削減する方法で、進捗管理方法なども定めるべきだという。また「ベンダーを巻き込んだ管理体制を構築することで、共通課題やリスクの早期発見、解決が図れます」とも指摘した。

課題をクリアしたソフトロードの劉氏は「システム再構築の多くでは、既存のソースが捨てられてしまいますがあらゆるものは“既存”をベースに進化しています」とし、既存のものをベースにし、更新というステップを踏んでから変更するこれまでの手法を貫く考えを示した。

システムリフォームのイメージ

お問い合わせ

株式会社ソフトロード

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