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働き方ベーショForum2017 レビュー

東京地下鉄株式会社(東京メトロ) 取締役(現 常務取締役) 鉄道本部工務部及び改良建設部担当 野焼 計史 氏

大都市の地下」進む働き方改革

東京地下鉄株式会社(東京メトロ)
取締役(現 常務取締役)
鉄道本部工務部及び改良建設部担当

野焼 計史

基調講演

 野焼計史氏は、トンネルなどのインフラの維持管理を行う技術者の働き方改革についての講演を行った。東京メトロは、約90年前に開通した銀座線から、最近開通した副都心線まで、多くの路線を保有しているが、構造物の8割以上が建設から20年以上経過しており、構造物の多くを占めるトンネルの維持管理が非常に重要と考えていた。一方で、東京都の人口減少や生産年齢人口が減少していくなかで、メンテナンス費用への影響や技術者の確保が難しくなることを懸念しており、維持管理手法の改善を行う必要があると考えていたという。

 トンネルの維持管理は、検査、補修計画、補修のサイクルを回す日常的な保守と、必要に応じて行う大規模修繕がある。検査では、トンネルの状態を手書きとデジタルカメラによって記録するため、記録における個人差の発生や、トンネルの変状を過去の写真と同じ画角で撮影する手間などの課題があった。また、検査後は数千枚のメモを前回の検査記録と比較しながらPCに手入力しており、多くの手間がかかるほか、誤入力などの問題もあった。さらに、入力に時間がかかるため、検査結果を社員に情報共有するまでに3カ月かかってしまうことも問題だった。

 東京メトロでは、タブレットを導入して検査アプリを独自開発することで、この課題を解決したという。検査では、タブレットのアプリをタップするだけで個人差なく記録できるようにし、写真撮影時には、画面の左下に表示された過去の写真を見ながら同じ画角で撮影できるようにした。また、過去の写真との比較や、変状の場所にチェックマークを付けるなどの写真の加工も行えるようにしている。これにより作業負荷を1/5に削減することができた。検査後は、タブレットから検査データをアップロードすれば自動的に検査結果が整理され、翌日には検査結果を共有できるようになった。

 さらに、東西線で試験的にBeaconを10mごとに設置して検査員の位置を検査アプリに自動的に入力させたり、誤入力の防止や検査漏れなどをなくす試みも行われている。

 補修計画についても、これまでは膨大な検査情報から人の手で補修計画を立てていたが、補修計画作成システムを開発し半自動的に補修計画を立てられるようにすることで、業務量を1/6にしているという。

 大規模修繕については、どの区間に着目すべきかを計画する際、これまでは社員の経験や知識に頼る部分が多く、対外的な説明性という意味でも改善の余地があったと話す野焼氏は、検査情報の可視化とトンネルの健全性の定量評価を行ったと説明する。

 検査情報の可視化では、検査や維持管理の状況を把握できる可視化ツールを導入して変状が集中している場所を明らかにしたり、変状数と補修費用を可視化するほか、変状の発生状況と河川との位置関係を一元的に表示して発生原因の仮説を立てやすくするなどした。

 健全性の定量評価では、産業能率大学とともに膨大な検査データを統計分析することで、検査員ごとの誤差や路線ごとの特性を排除したトンネルの健全性らしさを数値化し、定量評価を可能としている。社員の知識や経験に健全性の定量評価や可視化システムを加え、維持管理方針などを議論する分析会議も行っており、知見の共有や若手の育成にも役立てているという。

 働き方改革を行った成果について野焼氏は、「社員が業務変革に前向きに取り組む経験を得たことが大きいと考えています」と話す。システムやICTを使った新たな取り組みは、検査を行う社員に好評で、新たな機能を追加してほしいといった要望も出てきている。

 今後は、さまざまな場面でICTを活用していきたいと話す野焼氏は、トンネル以外の維持管理におけるアプリの活用や、モバイルで扱える設備マニュアルの整備、人材育成でARを利用した研修アプリの開発なども進めていることも明かしている。

オリックス・ビジネスセンター沖縄株式会社 業務編成部 部長 平良 一恵 氏

一人ひとりの仕事量と進捗を見えるテレワークの不安を払拭

オリックス・ビジネスセンター沖縄株式会社
業務編成部 部長

平良 一恵

特別講演

 オリックス・ビジネスセンター沖縄では、2009年に設立した生産性向上プロジェクトが現在の働き方改革のベースとなっている。生産性向上プロジェクトでは、3カ月かけて個人が行っている業務を漏れなく書き出し、アクティビティタイムごとにリアルタイムに業務を計測して分析し、生産性のばらつきを見える化した。そのうえで、各スタッフのスキル分析を行って繁忙期の人員配置などに役立てており、継続して生産性向上を目指してきた。

 業務を見える化するなかで、全体の6割の業務は定型化でき、生産性管理の仕組みを応用してより柔軟で多様な働き方ができると考えた同社は、2015年に全社員を対象にした在宅勤務制度を導入。将来的には、半数の社員が制度を利用することを目指している。また、セキュリティ面も考え、自宅のノートPCで行っていた作業をVDI (Virtual Desktop Infrastructure)で行えるようにした。

 2016年からは働き手の多様化をテーマにプライベートワークグループ(短時間・遠隔地勤務者を新規雇用し、定型業務を効率化)、クラウドワーカー、外部委託、RPA(Robotic Process Automation)の4つの手段で業務を行うことも進めている。たとえば、帳票を項目ごとに分割して配信するシステムを導入し、個人情報のセキュリティを保護しながらプライベートワーカーに作業をしてもらい、集約したデータをRPAが基幹システムに流すといった取り組みだ。

 在社、在宅、短時間・遠隔地勤務、クラウド、RPAなど多様な働き方、働き手によって、生産性を高めながら働き方改革を実践している。

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