ITモダナイゼーションSummit 2017 レビュー

ここまで来た!OSSを活用したITモダナイゼーション

現在、従来の商用製品に代えてOSS(オープンソースソフトウェア)を活用してシステムを再構築するというITモダナイゼーションのアプローチに大きな注目が集まっている。過去20年以上にわたって企業システムのマイグレーションを手掛けてきた東京システムハウスでは、「opensource COBOL」を軸に、様々なツール類の開発を通じて、そうしたアプローチによる顧客の取り組みへの支援を加速させている。

OSSを活用したシステム再構築がモダナイゼーションの有力な選択肢に

東京システムハウス株式会社
マイグレーションソリューション部
営業課 係長
岩下 峻

システムのモダナイゼーションを考えるうえでは、これまでメインフレーム上で広く活用され、長年にわたり企業の様々な業務ロジックが蓄積されてきたCOBOL資産をいかに活用するかが重要な課題となる。言い換えれば、そうしたCOBOL資産を効果的に継承することにより、最小限のリスクで安全、確実なモダナイゼーションが実現する。

東京システムハウスでは、“COBOL to COBOL”による企業システムのマイグレーションを支援する「MMS(Mainframe Migration Service)」を過去20年以上にわたって展開してきた。そうした中で培われた経験・ノウハウの粋を結集させて構築した独自のフレームワーク「AJTOOL」を活用して、オープン系のミドルウェアで不足する機能を補完しながら、効率的かつ安全なモダナイゼーションを実現している。

「特に今日、モダナイゼーションの実施に当たって、お客様の間でニーズが高まっているのが、従来の商用製品に代えてOSSを活用し、システムの再構築を行うというアプローチです」と東京システムハウスの岩下峻氏は語る。OSSを活用することで、例えば、不足する機能がある場合にもユーザー自身が開発を行って補完するという柔軟性が確保できるほか、ライセンスコストを大幅に低減できるなど、様々なメリットを享受できる。「当社がモダナイゼーションの相談を受ける際にも、そうした点が評価されて、お客様の90%が、何らかのかたちでOSSの利用を検討されています」と岩下氏は紹介する。

 OSS環境でのCOBOL開発を支援する「opensource COBOL」に要注目

その中で、特にOSSを活用した“COBOL to COBOL”によるモダナイゼーションに広く活用されているのが、OSSベースのCOBOLコンパイラである「opensource COBOL」だ。その源流は、日本医師会のORCAプロジェクトが「日医標準レセプトソフト」のために開発した「OpenCOBOL」に求められるが、2012年にOSSコンソーシアムが中心となって、OpenCOBOLに国内の商習慣に応じた拡張機能を追加するかたちでリリースされたのがopensource COBOLだ。「毎年1回のリリースが継続されており、新たな機能を取り込みながら常に進化。国内のお客様が“COBOL to COBOL”のモダナイゼーションを検討する際には、ぜひともその活用を推奨します」と岩下氏は強調する。

opensource COBOLの仕組みとしては、COBOLのソースを一旦C言語に変換。Cコンパイラによるバイナリ生成を行って実行プログラムを作成する。それをCのランタイムおよびopensource COBOLランタイム上で動かすというかたちだ。COBOL技術者にとって、まったく違和感のないコード記述によってOSSベースの開発が行える点が大きなメリットとなっている。

opensource COBOLのコンパイル

直面する問題に向けたツールを開発モダナイゼーションを成功に導く

すでに広範な業種の企業、さらには官公庁などにおいても、opensource COBOLを活用したモダナイゼーションの取り組みが進んでおり、その成果を享受しているユーザーも多い。東京システムハウスでも、これまでに数多くの企業において、そうした取り組みを支援してきた。例えば、ある大手商社では、既存のCOBOLシステムのフルOSS化によるモダナイゼーションをopensource COBOLをベースに実施した。

プロジェクトにおいては、COBOL自体の機能不足やミドルウェアなどとの連携、オンライン/バッチ処理などにかかわる様々な課題に直面したが、東京システムハウスが必要なツールを新たに開発することで問題を解消していった。例えば、データベース連携の部分については「Open COBOL ESQL」を開発。「従来、このお客様ではCOBOLソース内に記述した埋め込みSQLを通じてデータベースアクセスを行っていましたが、それに必要となるプリコンパイラと実行ライブラリを提供。COBOLからPostgreSQLへのスムーズなアクセスを実現しました」と岩下氏は語る。

そのほかにもこのプロジェクトでは、システムのWeb化に取り組んでおり、これに対して東京システムハウスが、WebサーバーとCOBOLの間のプロセス間通信を実現する「AJTOOL UI Framework」を開発。TomcatとCOBOLのプロセス間通信によるオンライン処理のための実行基盤を構築した。またJCLの実行基盤に関しても、opensource COBOL用のバッチフレームワークの開発を行っている。

「このお客様のプロジェクトにおいて、直面する課題に対して新たなツールの開発等を進めるなかで、弊社としてもOSSをモダナイゼーションに広く活用していただきたいという思いを強くしました」と岩下氏。東京システムハウスでは、そうした思いを背景に、その後、ユーザーが保有するCOBOLを中心としたレガシー資産を、OSS環境でモダナイゼーションしていくうえで必要となる仕組みの整備を加速させてきた。

中でも注目されるのが、メインフレームのフルOSS化において大きな課題となるTPモニターへの対応だ。これに関し東京システムハウスでは、その問題に直面しているある電力会社と協力し、取り組みを実施。具体的には、OSSのTPモニター製品のなかから、将来性を考慮してJBossプロジェクトに含まれるBlacktieを選定し、検証運用の中で浮上した利便性にかかわる問題などを解消するための機能面での補完を進めている。「このBlacktieを用いたTPモニターが実現すれば、すでに紹介したAJTOOL UI Frameworkとの連携によって、メインフレーム型のオンライン機能の移行先となるOSSベースのフレームワークが整備されるものと考えています」と岩下氏は語る。

TPモニター対応

このように東京システムハウスでは、時代の要請に応えるOSSを基盤としたモダナイゼーションの実施に向け、顧客と一体になった取り組みを鋭意進めているところだ。「今後もお客様のIT資産を、長く未来に継承できるようなサービスを提供し続けていくことが我々のミッションだと捉えています」と岩下氏は改めて強調した。

お問い合わせ

東京システムハウス株式会社

TEL 03-3493-4604

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メールでのお問い合わせはこちら >> mms@tsh-world.co.jp

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