常識を変える新たなデータ保護技術 情報が「無意味」なら漏えいの心配もない

時間さえかければ解読可能 暗号化では情報は守れない

新しい情報保護インフラとして期待しています
東京電機大学 学長 安田 浩氏
東京電機大学 学長 安田 浩氏

セキュリティの重要性が高まっています。セキュリティに関してずっと研究してこられた安田学長から見て、現在の課題は何だとお考えですか。

安田私から見ればすべてが課題です。これまであまりにも真剣に取り組んでこなかったといえます。

厳しいご意見ですね。様々なセキュリティ技術が提供されていますが、それらは機能しないのでしょうか。

安田もちろん有効なものもあります。ただし、安全だと思っているものがそうでない場合もあります。例えば、暗号化はその1つです。つい先日も「SHA1」と呼ばれる暗号が、グーグルとオランダの研究機関に完全に破られるという報道がありました。今後、量子コンピュータが登場すれば、どんな暗号も数秒で解読されてしまう可能性があります。

暗号解読は時間の問題だということでしょうか。

安田基本的に暗号は人が作ったものであり、解けない暗号というものはあり得ません。ただ解くのに時間がかかるというだけの話です。つまり暗号化は、暗号を解くために必要な時間しか、情報を守ることはできないのです。

ZenmuTechも暗号化の限界を指摘しておられますね。

田口安田先生のご指摘通り、長年、暗号化に代わる技術が必要だと考えてきました。そこで、我々が着目したのが「秘密分散」という技術です。データをブロック単位で暗号化し、複数の記録媒体に分散させる「ZENMU」というソリューションを提供しています。分散された一つひとつのデータは、不完全なものですから、単体で解読してもなんら意味も持ちません。データに意味を持たせるには、すべての媒体上のデータを集めてから復元しなければならないのです。


▲TOPへもどる

一部でも欠ければ復元不可能 盗んだデータも「無意味」になる

秘密分散を活用した技術は過去にもありましたが、ZENMUは何が違うのでしょうか。

通常の暗号化と秘密分散との違い

通常の暗号化と秘密分散との違い

通常の暗号化はシステム上にすべての元データが存在しており、暗号鍵さえ入手できれば解読できる。これに対して秘密分散では複数の媒体に暗号化されたデータが分散され、すべての媒体がそろわないと解読できない

[画像のクリックで拡大表示]

安田秘密分散という技術、考え方そのものは、実は20年ほど前から存在しています。しかし、これをきちんと実装したものはありませんでした。従来は「しきい値秘密分散法」という方法が主流で、7割程度のデータがそろえばデータを復元できました。それに対し、ZENMUは、秘密分散技術を「AONT(All-or-Nothing Transform)方式」で実装しています。分散したデータが一部でも欠けてしまえば、元データへの復元を不可能にしているのです。

田口社名の由来でもある「全」か「無」か、ということです。例えば、業務データをPCのハードディスクとスマートフォンなどに秘密分散させれば、仮にパソコンが盗まれたとしても、同時にスマートフォンがなければ復元できず、情報漏えいは発生しません。サーバー内のデータも同様です。秘密分散で複数に分けておけば、一部のデータがインターネットに流出してしまっても、そのデータ自体は無意味です。パブリッククラウドを利用するハードルもぐっと下がるでしょう。


▲TOPへもどる

アライアンスを拡大して情報保護の標準インフラに

現在、どのような企業が採用していますか。

さらなる進化を目指し技術開発を進めています
株式会社ZenmuTech 代表取締役社長 田口 善一氏
株式会社ZenmuTech 代表取締役社長 田口 善一氏

田口住宅メーカーや大手鉄鋼メーカーなど、業種・業態を問わず、様々な企業のあらゆるシステムに適用されています。社外持出し用シンクライアントにZENMUを採用した富士通の事例もあります。また、富士通からは、あらかじめZENMUをバンドルしたモデルのPCもリリース予定です。また、IoT(Internet of Things)の領域でも各社との協業を進めています。このようなアライアンスを拡大しながら、ZENMUをセキュリティの標準的なインフラとして普及させたいですね。

近年、大きなテーマとなっているワークスタイル変革においても重要な役割を果たすことができそうですね。

安田むしろZENMUの存在は必須条件だといってもいいでしょうね。この安全性と利便性は、経験すればすぐに分かります。

田口ZENMUを導入した企業の中には、ZENMUの存在を前提にしてセキュリティポリシーを見直したケースもあります。テクノロジーの進化によって、セキュリティの常識が変わりつつあるのです。

今後の展望をお聞かせください。

田口技術者を増やし、世界に打って出る準備を進めています。既にシリコンバレーに行き、グローバルIT企業との交渉を進めています。また東京電機大学などの大学とも、産学連携を進めていきます。

具体的には、どのような研究開発を進めていますか。

田口力を入れているのは無線通信との連携です。データが分散されている2つのデバイスを無線で接続。ある一定の距離に両者がある場合は、そのまま利用できるが、それ以上の距離に離れてしまうと自動で無意味化するという利用形態が可能になるからです。この方法でOSまで含めて無意味化できれば、盗まれた端末は起動すらできなくなります。

安田その利用方法には、非常に興味を持っています。ぜひZENMUをベースに、データ保護のトータルソリューションを作っていただきたい。それが実現すれば、意識することなくデータが守られる世界が実現できるはずですから。


▲TOPへもどる

お問い合わせ

株式会社ZenmuTech(ゼンムテック)
TEL:03-5436-6541
URL:http://zenmutech.com
E-Mail:

▲TOPへもどる