利用者、IT部門、経営層が幸せになれる
ヘルプデスクツールの導入効果とは?

 「ITIL(Information Technology Infrastructure Library)」においてサービス戦略やサービスデザインが重視される中、昨今のIT部門では運用や構築に加え、ビジネスへの貢献が必須となっている。さらにクラウドの普及によるITの高度化・複雑化が、従来のITサービスマネージメントの転換を促す。 ここで注目されるのがヘルプデスクの存在だ。顧客・社内ユーザーとの総合窓口となり、IT部門とのハブ的な業務を担う現場担当者たちにとって、効率性が高く、なおかつ投資対効果(ROI)が見込めるヘルプデスクツールとは一体どのようなものなのか。2017年2月8日に開催されたゾーホージャパンとフェスの共同セミナー「説得するなら効果を示せ!ヘルプデスクツール導入のためのROI算出方法」から

ヘルプデスク業務はITサービスマネージメントの1丁目1番地

 ヘルプデスク業務は多岐にわたる。「このシステムはどうやって使うのか」「パスワードを忘れてしまった」「新入社員のアカウントを発行してほしい」といった問い合わせ・依頼への対応、トラブルや不具合の解決、デバイスやライセンスといったITインフラの適切な管理など、ITに関わるさまざまな場面で利用者との接点となる。一方、コストセンターとして見られることが多く、正当に評価されにくいのも事実である。そのため、単独でヘルプデスク部門を置く企業はまだ少ない。従来の情報システム部門のスタッフがつなぎ役となっているのが現状だ。

 しかし、フェスのシニアコンサルタントである二萬章吾氏は「ヘルプデスクとはITサービスマネージメント、ITガバナンスの両方に関わる分野。その業務はITサービスマネージメントの1丁目1番地、ど真ん中にある」とその重要性を語る。正当な評価を得るためには、最初に「ヘルプデスクの価値」の定義が必要だと強調する。

 「まず利用者にとっての価値は、単一窓口で問い合わせしやすい環境を作ること。その上で問い合わせや依頼を迅速に解決し、利便性と満足度の向上を図っていく。次にCIOを含むIT管理者にとっての価値は、利用者とIT部門がいかに円滑にコミュニケーションを取れるかにある」(二萬氏)

 ここで鍵になるのは役割、価値、評価のトライアングルを"見える化"することだ。ヘルプデスク機能は万能ではなく、内容に応じて開発チームなどの別部署や問題管理、変更管理プロセスへのエスカレーションが必要となるため、部門間の役割を明確にしておかなければならない。二萬氏は「トライアングルがきちんと言葉になっていれば、評価軸も自ずと定まる」と話す。

 いずれにせよ、IT環境を取り巻く急速な変化に伴い、ヘルプデスクの仕事には効率性、有効性、経済性が求められている。この要請に応えるのがヘルプデスクツールである。ツールの内容は、ITサービスマネージメントのベストプラクティスとなっているITILに準拠したものが多く、インシデント管理プロセス、問題管理プロセス、変更管理プロセス、構成管理プロセスなどから成る。

 スピードが求められるインシデント管理では、どの部門の誰がどのような問い合わせをしてきて、IT部門の誰が担当し、どこまで進んでいるかといったステータスが一覧で表示されるため管理が容易になる。二萬氏は「ツールを利用するポイントは、こうしたリアルタイムの進捗管理と更新履歴情報の管理にある。滞っている部分があれば担当者に対処を促すことができ、人に紐付いた履歴が残るため、誰がどのような対応をしたのかを追跡できる」と、その利便性を説く。日々の対応を蓄積することでナレッジを共有し、業務のムダを省くことも可能となる。

 また、利用者満足度向上の観点から、ツールのユーザーインタフェースが使いやすいことも重要だ。検索機能やFAQが充実しているのはもちろんのこと、問い合わせ・依頼をまとめたWebポータル画面を備えたツールもある。こうしたユーザー視点に立った単一窓口をITILではSPOC(Single Point Of Contact)と呼び、「この使い勝手が利用者からの評価につながるため、軽視してはならない」(二萬氏)とする。

 例えばゾーホージャパンが提供する「ManageEngine ServiceDesk Plus」は、二萬氏が挙げた必須要素を過不足なくそろえるITIL準拠のITサービスマネジメントツールである。「IT運用管理をシンプルに」とのコンセプトのもと、直感的なWebベースのユーザーインタフェース、30言語以上のグローバル表示対応、オンプレミス版/クラウド版を選択できるなど柔軟性に富み、これまでに10万社以上の導入実績がある。下図に示した「セルフサービスポータル」では、ナレッジや申請事項を一元化し、利用者自身が確認することでヘルプデスク処理時間の削減に寄与する。

ManageEngine ServiceDesk Plusのセルフサービスポータル画面。利用者自身でナレッジを検索でき、問い合わせ数の軽減に貢献する

 もう1つ、チームや部署を横断して意思疎通を図れることも大きなメリットだ。冒頭で触れたように、現状では情報システム部門のスタッフが兼任しているケースがほとんどで、情報伝達経路が整備されていないために、スムーズな情報共有が難しい。「しかし、ツールを利用することで全体の見える化を実現できる」(二萬氏)。二萬氏によれば、月間で問い合わせやトラブル報告などが500件以上ある組織なら、一元化したツールを利用する効果を実感しやすいという。

ツール選定の見極めがROIに直結

 では、ヘルプデスクツール導入にあたり肝になるのは何か。そのポイントは業務現状調査、業務要件定義、導入計画、パイロット稼働にある。二萬氏は、これまでの豊富な導入支援経験に基づき「通常、企画やツール選定、ツール構築に目が行きがちだが、これら地道な調査とテストを飛ばしてしまうと"カットオーバーしたものの誰も使わない"という惨憺たる結果を招くことが多い」と指摘する。

 まず初期段階では、業務現状調査と業務要件定義の徹底を図る。とりわけヘルプデスク的な仕事が分散している場合、「利用者部門からどのような要望がIT部門に上がってきていて、誰がどのような対応をしているかを最低限洗い出しておく必要がある」(二萬氏)。事実、これまでに成功したツール導入は、すべて適切な要件定義を行ったものばかりだという。

 次のステップで二萬氏は必ず、実際に現場で触れる担当者に評価版をじっくりと触ってほしいとアドバイスしている。「ツールに触れることで構築段階でのギャップを極力低減できる。加えてこのツールで仕事をするという意識を早い段階で刷り込んでおけば、担当者にきちんと使ってもらえるようになる。たっぷりと時間をかけて構わないので、きちんと選定することを念頭に置く」(二萬氏)。

 しかしそれ以前に「これまで何とかやってきたのに、わざわざツールを入れる必要はないだろう」との壁が立ちはだかることもある。その際はまず、ヘルプデスクツール導入がもたらすベネフィット、すなわち業務の効率化からどれだけのROIが見込めるかを明示することが必要となってくる。

 ここでは効果項目を特定した上で、導入前と導入後の比較検証を緻密に行う。検証の結果、一件あたりの業務処理時間を算出し、金額換算していく。実際の例として二萬氏が示した業務処理時間の内訳は、インシデント対応時間、問い合わせ対応時間、変更依頼対応時間、レポート対応時間、管理者による進捗管理・スタッフ管理時間。これらをコスト削減項目として算出したところ、導入前のスタッフ数が15人だったのに対し、導入後は12人で済むとの予測となった。「ただし、単純に人員削減ではネガティブな印象が強い。そのため余剰の3人には別業務を割り当てるとの提案をセットで行い、稟議書が通過した」(二萬氏)。

 むろん、ヘルプデスクのコスト削減だけが正解ではない。インシデント、問い合わせ、変更要求へのスピード対応、ITシステムの可用性向上などがもたらす利用者部門の機会損失削減を訴える方法もある。実際にツール採用によって業務を標準化し、変更管理の業務処理時間が約26%短縮され、残業時間が3分の1になった例もある。これを受け二萬氏は、「ツール導入にあたり基本となるのは、仕事のやり方を変えるという意識を持つこと。適切に導入すれば非常に効果が出やすい分野であり、これまでもツールを入れて良かったと感謝されることが多い」と結んだ。

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