連載Review Ruby biz Grand prix 2017 vol.1 審査委員長と大賞受賞企業が語る いずれも“ハック”を実現した革新的なサービス 大賞は「コンピテンシークラウドTM」と 「WOVN.io」

12月14日東京帝国ホテルにて開催された「Ruby biz Grand prix 2017」。今年3回目となる同アワードでは、大賞2社、特別賞3社に加え、ソーシャルイノベーション賞4社、Fintech賞2社の計11社が表彰された。連載第1回の今回は、審査委員長のまつもとゆきひろ氏と、大賞を受賞した2社に話を聞いた。

社会的なインパクト、コミュニティへの貢献
および技術面を評価し、11社を選定

例年事前に枠が決まっている大賞と特別賞5社に加えて、サプライズの賞が与えられることが通例となっているRuby biz Grand prix。今年の受賞は以下の通りだ。

まつもとゆきひろ氏

受賞11社の選定についてまつもと氏は、「多くの分野の多彩な事例がエントリーされ、比較が難しかったですね。かといって、審査委員の点数を単純に合算して選ぶと、平均的なものが選ばれてしまいます。今年も選定は難航を極めました」と語る。そのうえで、「賞を差し上げたい事例をあげていった結果11社になり、大賞と特別賞に惜しくも届かなかった6社の共通点は何だろうと考え、Fintech賞とソーシャルイノベーション賞になりました。今回エントリーされた事例はどれもレベルが高く、本当はもっと賞を差し上げたかった」とまつもと氏。WebサービスにおいてRubyでの開発はもはや当たり前なので、それだけでは受賞は難しいとし、「事業の社会的なインパクト、Rubyコミュニティへの貢献、技術的なチャレンジ」を選定基準としていると明かす。

さらに、今では“ハッキング”という悪い意味で使われることが多いが、「“ハック”という言葉が好き」と言い、「“ハック”とは元来、一見不可能なことを可能にするという意味であり、今回の受賞サービスは、いずれも“ハック”を実現していると思います」と評価している。

1995年に、まつもと氏がRubyを発表してから既に20年以上がたち、「正直言って、トレンドのピークは過ぎ、定番化しています」とRubyを分析。「開発者としては、このあたりで革新を起こしたいですね」と意欲を語る。

来年も開催が決定しているRuby biz Grand prix。「次回も、“ハック”を実現した意欲的な事例がエントリーされることを大いに期待しています」と語った。

喜びの受賞者一同とまつもとゆきひろ審査委員長

豊富な実績を持つRuby開発者が
初めての自社サービスでいきなり大賞

株式会社あしたのチーム
執行役員 CTO クラウド事業部長
林田幸一氏

大賞を受賞した「コンピテンシークラウド™」は、中小企業の働き方改革にフォーカスしたクラウド型人事評価システムである。人事評価業務をWeb上で一括管理するクラウドサービスだが、人手による評価シートの添削や毎月必ず担当者が訪問して相談に乗るといった“おせっかい”なサポートと組み合わせた点がユニーク。

株式会社あしたのチーム 執行役員 CTO クラウド事業部長 林田幸一氏は、「もともとRubyの開発会社を経営していたのですが、そこをバイアウトして今の会社に移りました。前の会社は離職率が非常に高く、コンピテンシークラウド™をユーザーとして利用しており、その間にこのビジネスにほれ込み、参加しました」と語る。

今回の受賞について林田氏は、「今まで多くのRubyのシステムを構築してきましたが、自社サービスは初めてなのでうれしくて応募したところ、大賞をいただけて本当にうれしい。社長が一番びっくりしていると思います」と喜びを語る。

林田氏が入社する前の同サービスは、もともとPHPで構築されていた。しかし、林田氏の目から見ると、機能面でもデザイン面でも十分ではなかった。しかも、システム改修や新人教育の面で、問題が多かったと次のように語る。「改修できなくて2回システムを捨てており、その度に高額な投資をしていました。その点、Rubyは可読性が高く、エンジニアもコードをきれいに書きたがるので、途中参加のエンジニアもプログラムを読むことができます」。

人事業務は比較的システム化が遅れている分野ではあるが、近年HR Techと呼ばれるようになり、急速に競争が激化している。「迅速なサービスの改善を継続することが必須です。そのためには、Rubyを使わないと話になりません」と林田氏。

同社では現在、人が行っている評価シートの添削を自動化しようとしている。林田氏は、「評価の公平性を高め、効率化を進めようとしており、AIの導入を検討しています」と説明する。その他、離職率低減サービスなど新しいサービスも計画しており、やらなければならないことは多い。「エンジニアが足らず切実な課題となっています。この受賞が優秀なエンジニアの採用につながることを期待しています」(林田氏)。

審査委員長のコメント

今注目を集めるHR Techであり、人事評価のモデルとしても特徴的で面白い。また、実際にビジネスが立ち上がっているところを評価した。

審査委員長からトロフィーを授与される株式会社あしたのチーム 代表取締役社長 高橋恭介氏

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