連載Review Ruby biz Grand prix 2017 vol.2 受賞8社に聞く Rubyの持つポテンシャルを活かした分野もサービスも異なる多彩な事例が集結

Ruby biz Grand prix 2017の連載2回目は、特別賞3社、ソーシャルイノベーション賞4社、Fintech賞1社の、8事例を一挙紹介する。いずれも、エンジニアが楽しく、柔軟かつスピーディーに開発できるRubyの特性を生かして、優れたサービスを生み出した事例ばかりである。

テクノロジーが光る3事例が受賞した特別賞

特別賞は、以下の3社に授与された。

ドキュメント共有・育成サービス「esa」

合同会社esa
プログラマー、共同創業者
深谷篤生氏

「情報を育てる」という視点で作られたesa(エサ)は、思いつきのアイデアや整理して伝えにくい考えを気軽に共有し、ゆるく共有することでみんなでブラッシュアップし、それぞれがいきいきと発案できる自律的なチーム作りを支援するドキュメント共有サービス。このサービスのしくみは、そのまま同社の姿でもある。「当社は、開発者2名、デザイナー1名の3名で全員が代表権を持っています。普段はリモートでつながり、それぞれ自宅などでバラバラに仕事をしています」とプログラマーで共同創業者の深谷氏。

もともと深谷氏が別の仕事をしながら、デザイナーの赤塚氏と2人で作り始めたというesaだが、作り始めて2~3カ月たった頃「これはいけそう」と確信し、ビジネス化に真剣に取り組み始めた。今では約2000チーム、約29000ユーザーが利用しており、「3人が食べられる」までに成長している。「Rubyは、とにかく書いていて楽しい。最初の頃は仕事から疲れて帰って、その後作業していたので、楽しくなければ続きませんでした」(深谷氏)。今回の応募は、広告効果や自身のモチベーションアップに期待するとともに、Rubyコミュニティへの感謝を伝えたかったと深谷氏は語っている。

今後について深谷氏は、「まずは、英語と日本語が半端に混ざっている状態なので、きちんと多言語対応したいです。また、サードパーティーが当社が公開したAPIを使ってモバイルアプリをつくってくれていますが、自分たちでも公式のモバイルアプリをつくりたい。さらに、現状クローズドの情報共有だけなので、そこからブログなどに発信できるようなしくみも検討しています」と抱負を語った。

審査委員長のコメント

ドキュメントの蓄積が詳細で、コミュニティへの貢献度が高い。3名という少人数の開発チームなので、今後の挑戦的な試みにも期待している。

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音素材マーケットプレイス「Audiostock」

株式会社クレオフーガ
取締役 CTO
山口真央氏

Audiostock(オーディオストック)は、プロアマを問わず約4000名のクリエーターが制作した楽曲や効果音、ボイスなどの音素材を販売するマーケットプレイス。現在の登録音源数は85000点以上、1カ月に約2000点が増加している。取締役でCTOの山口氏は、「近頃、動画コンテンツや広告が増え、市場が拡大しています。従来紙媒体しか扱っていなかった広告代理店や制作会社が動画にも取り組んでいますが、音源の制作やコストに悩むことも多い。そういう需要が増えています」と説明する。今回の応募について山口氏は、「Rubyと事業内容の両方でインパクトのある取り組みを評価するアワードと聞き、まさに当社にピッタリだと思いました」と語っている。

同社は、Rubyの聖地 島根県松江市に近い岡山と東京に拠点を持つ。Rubyでの開発は、コミュニティが活発で助けられたという。「情報交換が非常に活発ですし、岡山でも勉強会があります。もちろん近いので、松江にもよく行っています。他の言語では、こうはいかなかったでしょう」と山口氏は語る。同社の特徴的なRubyの使い方として、音声ミックスがある。音声はサンプルを聞かないと内容や品質がわからないが、そのまま公開しては不正利用されてしまう恐れがある。そこで、サンプル音声をそのまま使えないように、音声をミックスして公開しており、ここにもRubyが使われているのだ。この使い方は、今回の審査でも高く評価された。

最後に山口氏は、「これからも音楽クリエイターが輝けるサービスを作っていきたい。音楽とソフトウェア開発が好きな人には、興味が持てる仕事だと思います。今回の受賞を機に、採用につなげたいですね」と締めくくった。

審査委員長のコメント

音源ビジネスは珍しく、ビジネスとして面白い。また、今までにないRubyの使い方をしている点を高く評価した。

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モバイルアプリの成長支援パートナー「Repro」

Repro株式会社
CTO
橋立友宏氏

「Repro(リプロ)」は、モバイルアプリに特化したデータ解析やマーケティングツールの提供から、アプリの企画・戦略コンサルティング、マーケティング支援など、モバイルアプリ成長のためのあらゆるソリューションをワンストップで提供している。

既に世界46カ国、約4000アプリに利用され、現在も成長を続ける。CTOの橋立氏は、「私は1年半ほど前Reproに参加したのですが、そのときから社員が倍以上に増えています。その間にオフィスが足りなくなって増床したのですが、増員計画が順調に進めば、来年度にはまた足りなくなるかもしれません。今回の受賞を機に、Rubyエンジニアに当社の事業を知ってもらい、興味を持ってもらえればうれしい」と語っている。

橋立氏は、Rubyに関する書籍を執筆したり、カンファレンスで発表をするなどRubyコミュニティへの関与も深い。そのため、「ライブラリやミドルウェアの作者と直接会ってやりとりができました。これは国内発のプログラミング言語だからこそで、非常に助けられました」と語っている。

Reproには、顧客となるアプリのデータが大量に集まってくるため、それをさばいて利用できる形にするための並列処理によるデータ変換や処理の自動化など、さまざまな工夫がなされている。その技術力は、審査においても高く評価された部分だ。

今後について橋立氏は、「アプリは多チャンネル化の方向にあり、サービス間のデータ連携にも取り組んでいきたい。また、継続的なアーキテクチャーの刷新を行い、よりよいサービスへと成長していきます」と抱負を語った。

審査委員長のコメント

46カ国に世界展開しているサービスであることと、処理が重そうなところをRubyでコーディングしているところを高く評価した。

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