最新オフィスに学ぶ

「24時間、力いっぱい働ける」
中小ビルが渋谷に登場

新築ビルに見た働きやすい工夫とは?(前編)

2017/12/13
最新オフィスに学ぶ

ITやゲーム関連企業を中心にベンチャー企業が数多くオフィスを構える渋谷エリアで、働きやすさを追求した中小規模オフィスビルが登場した。著名建築家・隈研吾氏による独創的な外観が一際、目を引く。ビルの中に入ると、テナントの利便性を追求した工夫が随所に凝らされており、これからの中小ビルのあり方を示唆している。

道玄坂のけやき並木と調和した「木のタワー」をイメージする概観(写真:エー・ディー・ワークス)

渋谷の道玄坂を登ると、アルミ素材の木目調パネルが波打つ、独特の外観を持つビルが目の前に現れる。中には、スマホを向けて写真を撮影していく人もいる。2017年9月に竣工した「AD-O渋谷道玄坂」だ。住居用収益不動産の売買を手がけてきたエー・ディー・ワークス(以下ADW)による創業130周年の記念事業であり、同社にとって初の新築オフィスビル開発となる。

こだわりは外観デザインだけではない。

「『成長志向の入居者が力いっぱい働ける場所』というコンセプトの下に、それをかなえる充実した環境づくりに力を注ぎました」

そう語るのは、ADWグループで個人富裕層向けにプロパティ・マネジメントを手掛けるエー・ディー・パートナーズ代表取締役社長・腰高夏樹氏だ。

登竜門としてのオフィスビル

2000年代初頭から、ITの街として発展してきた渋谷エリア。現在でもコワーキングスペースやシェアオフィス、サービスオフィスなどを利用して、数人規模から起業するITベンチャーが少なくない。そうしたスタートアップ間もない会社が力を付け、社員数が増えてくれば、シェアオフィスでは手狭になってしまう。「そうした『これから自分たちのオフィスを構えよう』と考えている成長途上のベンチャー企業がAD-O渋谷道玄坂のターゲットになります。いわば、『ベンチャー企業の登竜門』にしてほしいと考えているのです」(腰高氏)

基準階のオフィス面積は143.99m²(43.55坪)。社員数20人程度まで対応できる。募集賃料は1坪当たり共益費込み3万円で、同じ規模のビルと比較すると高めの水準だ。2~3年をめどにした定期借家契約で、1フロア・1テナントを基本としており、2階以外の全フロアで9社のテナントが決まっている。狙い通り、サービスオフィスから移転してきたテナントもいるようだ。2階部分は通常の賃貸フロアとはせず、スタートアップ企業に貸し出す新しい形態の取り組みを進める予定だ。

執務室の窓は各フロアで大きさや配置が異なっている。各階のエレベーターホールはテナントの要望に応じてデザイン変更が可能だ。ビルはダンバーによる制震構造を採用し、建築基準法の耐震要求性能の1.25倍を確保した。80kVA非常用発電機を屋上に設置し、非常時には10時間の電力供給も可能にしている。

大小さまざまな窓を配して、自然の光をふんだんに室内に取り入れた空間を実現した


木内 渉太郎=ライター、小宮山 桂=カメラマン(特記なき写真)

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