知っておくべき制度・補助金

PCB製品の処分期間迫る、あなたのビルは大丈夫?

保管して忘れているケースに要注意

2017/12/13
知っておくべき制度・補助金

古いビル・工場の高圧受電設備で使用されてきた有害なPCB(ポリ塩化ビフェニル)を含有した電気機器の廃棄処分期限が迫っている。高濃度PCBを使用している変圧器・コンデンサーは、九州・四国・中国地方を対象とする北九州事業エリアで2018年3月末までに専門処理機関である中間貯蔵・環境安全事業(JESCO)と処分契約を結ぶ必要がある。その他の事業エリアでの処分、照明器具の安定器や低濃度PCB廃棄物などの処分も2020~22年度末に期限を迎える。

その後は事実上、廃棄処分できなくなる。処分期間内に処分しない場合は、3年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、または併科が所有者に科せられる。処分費用は所有者が中小事業者で70%、個人で95%を軽減する助成制度があるほか融資制度も整えられているので、築40年以上のビルの所有者は対策を急ぎたい。

高濃度PCB廃棄物の処分期間(資料:環境省、経済産業省)

高濃度PCB廃棄物の処分期間(資料:環境省、経済産業省)

PCBは、人工的につくられた、主に油状の化学物質で、電気機器の絶縁油、熱交換器の熱媒体など様々な用途に利用されてきた。約50年前の1968年に食用油にPCBが混入して発生したカネミ油症事件で、その毒性が明らかになり、1972年(昭和47年)に製造が中止となった。

それから約30年間は民間主導で処理施設を設置する取り組みが進められたが、実現しなかった。PCB廃棄物の保存長期化で環境汚染の懸念が高まるなか、2001年に「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法」(PCB 特措法)が施行され、国が対策に乗り出した。

2004年にJESCOが設立され、北九州PCB処理事業所(北九州市)を最初に大阪PCB処理事業所(大阪市)、豊田PCB処理事業所(愛知県豊田市)、東京PCB処理事業所(東京都江東区)、北海道PCB処理事業所(北海道室蘭市)の全国5カ所に広域処理施設を整備し処分事業が始まっている。

2004年には、1992年地球環境サミットを受けて採択された「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs 条約)」が発効。この中でPCBについては2025年までの使用の全廃、2028年までの適正な処分が求められることになり、日本も条約に批准済みだ。

PCB特措法では当初、政令で2016年7月までの処分義務付けを定めていたが、その後に微量のPCBを含む低濃度廃棄物が大量に存在することが判明。高濃度廃棄物処分の遅れも明らかになって、処分期限を国際条約のタイムリミットに合わせて2026年度末まで延長した。2016年にはPCB特措法を改正し、都道府県による報告徴収や立入検査などの権限も強化している。


文:千葉 利宏

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