最新オフィスに学ぶ

「1坪4000円」で不動産ベンチャーの入居を募集

新築ビルに見た働きやすい工夫とは?(後編)

2017/12/20
最新オフィスに学ぶ

著名建築家・隈研吾氏による独創的な外観が目を引く「AD-O渋谷道玄坂」。前編では、テナントの利便性を考慮したさまざまな取り組みを紹介した。後編では、ベンチャー企業をターゲットにしたコンセプトをさらに体現した「不動産テックサポートオフィス」という新たな取り組みを紹介する。


サポートオフィスを利用するコストは1坪当たり「月額4000円」――。2017年9月に竣工した「AD-O渋谷道玄坂」では、2階の1フロアをスタートアップ間もない企業に格安で提供する。ただし、対象はITなどの情報技術を活用した不動産事業を手掛ける「不動産テック」と呼ばれる分野に限られる。

新しいオフィスビルの使い方を模索

「AD-O渋谷道玄坂は2階から11階までの10フロアがオフィスとして作られていますが、そのうち2階だけは通常の賃貸フロアにせず、『不動産テックサポートオフィス』と称し、不動産テック事業者の成長を支援する場にしました」

そう語るのは、エー・ディー・ワークス(ADW)の社長室長・高場正能氏だ。

(写真:エー・ディー・ワークス)

(写真:エー・ディー・ワークス)

金融とテクノロジーを融合した「FinTech」(フィンテック)と並び、注目度が高まっている「不動産テック」。IT活用によって、ビッグデータ解析や不動産売買におけるマッチングなど、新しいビジネスが誕生し、欧米を中心に盛り上がりを見せている。日本ではこれから期待が高まる分野だが、ADWは以前から不動産テックに関心を持っていた。2016年には、不動産の小口化投資商品をネット上でマッチングするプラットフォーム構築を目指す、スマートマネー・インベストメント(以下SMI)を100%子会社として設立している。

不動産テックサポートオフィスを開設する2階フロア

不動産テックサポートオフィスを開設する2階フロア

今回、不動産テックサポートオフィスを開設することで、SMIと入居した事業者とのコラボレーションも視野に入れている。先進的で将来性のあるアイデアを発掘し、ADWが長年蓄積していたノウハウやデータを共有しながら、新しい不動産テック事業の展開を模索しているのだ。

対象フロアは143.99m²(43.55坪)。ADW では公募と審査の結果次第ではあるが、2事業者程度での活用が適当ではないかとみており、利用を開始した1年後に、継続の可否を協議することになっている。利用料は1坪当たり4000円を想定している。すでに11月22日に専用のWEBサイトをオープンし、希望事業者の公募を開始した。その後のスケジュールは以下のようになっている。

2017年12月27日 公募締切、一次審査開始
2018年 1月24日 一次審査終了、結果告知
2月14日 二次審査
3月14日 最終結果発表
不動産テックサポートオフィスの募集サイト

不動産テックサポートオフィスの募集サイト

基準階の図面(資料:不動産テックサポートオフィスの募集サイトより)

基準階の図面(資料:不動産テックサポートオフィスの募集サイトより)

不動産テックサポートオフィスでは、利用事業者の相談に応じながらIT環境や設備、備品などを整えていくので、過不足ない合理的な環境をつくることができる。「働く環境から新しいビジネスまで『一緒に考え、つくり上げていく』試みです」(高場氏)。

ADWが推進する「不動産テック」事業と、AD-O渋谷道玄坂のコンセプトである「成長志向の入居者が力いっぱい働ける場所」。不動産テックサポートオフィスは、この二つを象徴する存在でもある。今後、この取り組みから成功例が生まれてくれば、同ビルはベンチャー企業の登竜門としての立ち位置をさらに確立していくことになるだろう。

■使い方のイメージ(資料:不動産テックサポートオフィスの募集サイトより)

コミュニケーションオフィス

コミュニケーションオフィス

クリエイティブオフィス

クリエイティブオフィス

ラウンジオフィス

ラウンジオフィス

■不動産テックサポートオフィスの募集サイト
http://www.re-adworks.com/shibuya/


木内 渉太郎=ライター、小宮山 桂=カメラマン(特記なき写真)

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