中小ビルTOPICS

部屋貸しから時間貸しへ
会議室シェアリングのスペイシーに聞く

スペイシーの内田圭祐・代表取締役と、梅田琢也取締役CFOへのインタビュー

2018/03/28
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スペイシー(東京・港区)は、会議室やレンタルスペースのシェアリングサービスを展開している。企業のオフィス内や個人が所有するビルなどで遊休化しているスペースを、一般ユーザーに会議室として貸し出すサービスだ。登録されている会議室は3000室を数え、施設によっては1時間500~1000円程度で利用できる。最近では、テナントが転出した空室をリーシング(テナント誘致)期間だけ会議室にして、収益を上げるサービスを考えているという。同社の内田圭祐・代表取締役と、梅田琢也取締役CFO(最高財務責任者)にサービスの狙いを聞いた。


――まずは御社の主要サービスについて、改めて教えていただけますか。

梅田琢也氏(以下、梅田)会議室を簡単に貸し借りできるシェアサービス「スペイシー」を運営しています。2013年に創業して、複数のベンチャーキャピタルに出資いただいており、IPOも視野に入っているフェーズの企業になっています。

我々のサービスの着眼ポイントは、例えば、スタートアップ企業などが創業して数年で一気に規模を拡大したり、逆に縮小したりと、企業のビジネスの動きがかなり流動的になる一方で、不動産の契約がどうしても固定的だというところにあります。

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例えば、今は社員が10人しかいないものの、3年後に50人ぐらいに拡大する事業計画を描いている企業があるとします。その場合、毎年、オフィスを引っ越すわけにもいかないので、通常は将来に備えて大きめのスペースを借りて、徐々に人員を拡大することになります。つまり現状は50人分の固定費として賃料を払いながら、実際にはスペースが余っているわけです。

逆に、会議室などのスペースが足りなくて困っている企業も多い。特に、採用や人事評価などの面接が集中的に行われる時期には、会議室などが不足してしまいます。

(写真提供:スペイシー)

(写真提供:スペイシー)

(写真提供:スペイシー)

(写真提供:スペイシー)

――余っているスペースを、足りない企業にうまく回せればいいわけですね。

梅田そうです。両者をマッチングするのがスペイシーのサービスです。

それから、いまは場所を選ばない新しい働き方のスタイルが進んでいます。スマートフォンなどのコミュニケーションツールによって通信環境が整うなか、新しい働き方も実現しやすくなっているのですが、それに応える「場所」はあまりありません。

例えば、会社の外で働く場合の選択肢として、カフェや喫茶店を活用することも多いですね。ただ、内密な話をしたり、複雑な作業をしたりするには、十分な環境とは言えません。最近ではシェアオフィスや、サテライトオフィスも増えていますが、気軽に活用するものではありませんし、急な会議には使いにくいと思います。

そこで、会社内で余っているオフィススペースや、ビルオーナーさんが抱えている空室などを活用して、新しい働き方にも応えようとしています。余剰スペースを会議室として外部に貸し出す際、弊社のプラットフォームを利用して、無人で運営できます。利用者も、かなり安い金額で利用することができます。

(写真提供:スペイシー)

(写真提供:スペイシー)

――今、物件としてはどのぐらいの数が登録されているんですか。

梅田4000弱が弊社のサイトに掲載されています(2月時点)。登録している方は、会議室を運営する事業者が最も多く、約6割を占めています。また、「Airbnb」のように、主に個人の方が投資などの目的で会議室運営をしている事例が10%ぐらい。残りの30%ぐらいが、社内の遊休スペースを貸し出しているケースになります。

利用するユーザーの方は、弊社のサイトに登録している利用者の数で約11万人となっています。

――会議室の利用料金はビルや場所によって様々ですね。この価格は誰が決めるんですか。

内田圭祐氏(以下、内田)利用料は、会議室を運営する方が決めています。いったん設定して、明日から金額を変えたい場合でもすぐに対応できます。感覚的には、だいたい1000円ぐらいに設定すると、カフェで使っている金額と同じぐらいになるので利用者も使いやすいですね。その後、稼働率の状況を見て、価格設定を変えるケースが多いです。

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「顔認証」のセキュリティーシステムを導入へ

――利用者側の方はスマホなどで予約して、その場でクレジットカードなどで決済するのですか。

内田クレジットカード決済のほか、後日、請求書を出してお支払いいただくこともできます。ただ、いずれにしろサイトに登録していただく必要があります。年会費はかかりません。「Facebook」などに登録するようなイメージで、メールアドレスと名前だけ登録する形です。

――会議室での利用方法に制限を設けているのでしょうか。「これには使ってはいけません」といった具合に。

内田こちらとしては、特には設けていません。登録者が利用規約の中で規定するケースもありますね。例えば、周りに迷惑が掛からないようにしてくださいというような。

――自分のオフィス内に「不特定多数の人」が出入りすることで、今まで特にトラブルなどはないんですか。

内田ないですね。「不特定」と言っても、サイトで予約するので、メールアドレスだったり、クレジットカードだったり、何かしらの情報は把握しています。それもあってか、大きな問題を起こしたケースはありません。

梅田できるだけ安心かつ安全な状態が担保されると登録する方も貸しやすいので、我々としては、そこに力を入れています。その1つが「保険」ですね。

シェアリングエコノミーの業界団体である「シェアリングエコノミー協会」を通じて、保険に加入していまして、例えば利用者が机を壊してしまった場合などに補償されるようにしています。椅子が壊れて利用者がけがをしてしまったケースもカバーできるなど、会議室運営者には包括的な保険にも加入していただきます。

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内田セキュリティー体制にも力を入れています。利用者がスマートフォンなどで、予約した時間だけ鍵を開けられる「スマートロック」を採用しています。

さらに「顔認証」も導入しようとしています。いまは、アイドルタイムの飲食店で展開している「コワーキングスペース」のサービスで実証実験中なのですが、「顔認証」によってチェックインや決済を可能にする仕組みを構築しました。事前に、顔写真を登録しておいて、ビルのエントランスや会議室のドアが「顔認証」で開くという試みです。いずれは会議室でも取り入れていきたいと思います。

先ほどの利用者のトラブルの問題で言えば、やはり本人の認証が取れていると抑止力が働きますので、ひとつの保険になります。また、セキュリティーを厳しくすることはいくらでもできますが、ユーザビリティーを下げずにセキュリティーを確保できる方法としては「顔認証」が最も適しているんではないでしょうか。シームレスで出入りできれば利便性も高まりますので、顔認証の仕組みを先行投資しているところですね。

(写真提供:スペイシー)

(写真提供:スペイシー)

(写真提供:スペイシー)

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文:編集部、写真:清水盟貴(特記なき写真)

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