事例研究・バリューアップ術

ビル再生をとっかかりに街の魅力を高める

コミュニティーをデザインする三井不動産の「31 VENTURES」事業

2018/04/25
事例研究・バリューアップ術

東京・日本橋人形町に築40年の老朽化ビルを再生したシェア型複合施設が2017年12月、オープンした。三井不動産が手がけた「BEAKER 日本橋人形町」だ。大通りから1本入った周囲に高いビルに囲まれるなか、5階建ての建物にシェアハウス、オフィス、飲食テナントの3つの機能が同居する。


東京メトロ日比谷線・都営地下鉄浅草線の人形町駅の出口から徒歩1分。もともとは老舗企業の従業員のための休憩所や寄宿舎として使われていた鉄筋コンクリート造5階建ての建物だ。

BEAKER 日本橋人形町の延べ床面積は995.50m2。企画プロデュース・統括設計管理はリビタ、ブランディング・デザイン監修はアンドロップ、基本計画・設計監理はキャンプサイト、事業主は三井不動産(写真:リビタ)

BEAKER 日本橋人形町の延べ床面積は995.50m2。企画プロデュース・統括設計管理はリビタ、ブランディング・デザイン監修はアンドロップ、基本計画・設計監理はキャンプサイト、事業主は三井不動産(写真:リビタ)

日本橋に拠点を置く三井不動産は、かねて日本橋かいわいの街づくりに取り組んできた。その活動は日本橋の周辺地域まで拡大して、人形町の辺りを「グレーター日本橋」と位置づけて、住宅はもとよりクリエーターのオフィスなどを創出する街づくりを進め、地域のポテンシャルの向上を図っている。「BEAKER 日本橋人形町」のビルの再生も、そうした三井不動産の活動の中で、歴史ある地元企業から相談されたことがきっかけになった。

このビルの利活用に当たって、三井不動産はリノベーションやシェアハウスの企画・運営に経験豊富なリビタと組むことにした。

三井不動産は、小伝馬町や馬喰町、馬喰横山、人形町、東日本橋などの駅に囲まれたエリアを「グレーター日本橋」と位置づけて、街の魅力を発信するタウン誌を発行している(資料:三井不動産)

三井不動産は、小伝馬町や馬喰町、馬喰横山、人形町、東日本橋などの駅に囲まれたエリアを「グレーター日本橋」と位置づけて、街の魅力を発信するタウン誌を発行している(資料:三井不動産)

三井不動産は、「31 VENTURES(サンイチベンチャーズ)」と呼ぶベンチャー共創事業部を立ち上げ、千葉県柏市の柏の葉で「31VENTURES KOIL」、東京都千代田区の霞ヶ関ビル内で「31VENTURES 霞ヶ関」など、ベンチャー企業向けのワークスペースやオフィスを展開している。これらは、単なるオフィス賃貸業ではなく、入居するベンチャー企業の経営をサポートし、成長をバックアップするものだ。

グレーター日本橋エリアにおいては、コワーキングスペース「31VENTURES Clipニホンバシ」や小規模オフィス「LAUNCH 人形町」「31VENTURES 日本橋人形町1」がある。いずれも敷金は賃料の3か月分とし、入居するベンチャー企業の初期費用の負担を軽減している。また、各地に点在するコワーキングスペースの相互利用を可能とするなど、柔軟な運用策も打ち出している。

BEAKER 日本橋人形町はかつて寄宿舎として使われていた経緯もあり、住宅としての機能を持たせてグレーター日本橋に多様性を反映することとした。

「31 VENTURES」のウェブサイト。ベンチャー企業向けのオフィス提供だけではなく、入居企業の発展を後押しするビジネス支援も提供する(資料:三井不動産)

「31 VENTURES」のウェブサイト。ベンチャー企業向けのオフィス提供だけではなく、入居企業の発展を後押しするビジネス支援も提供する(資料:三井不動産)


文:村島 正彦

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