次世代建築イノベーション2017報告(特別広報企画)安全・安心トラック 技術講演

エービーシー商会 全方位に“しなやか”に対応する次世代エキスパンションジョイントカバー

エービーシー商会 アルウィトラ・シーリング販売推進部 営業支援部 技術支援課 大野 達也 氏

東日本大震災以降、樹脂製エキスパンションジョイントカバー(Exp.J.C.)の導入が急速に進んでいる。エービーシー商会の樹脂製Exp.J.C.「アーキウェイブ」は、採用件数が約900件に達した。被害報告は1件もない。金属製が主流の従来型Exp.J.C.の課題と、普及し始めた樹脂製Exp.J.C.の利点を、同社の大野達也氏が解説する。

 今年3月18日、宮城県の東松島市立宮野森小学校で卒業式があった。宮野森小学校は、東日本大震災で被災した旧野蒜小学校と、児童数が減った旧宮戸小学校が統合して、「森の学校」をコンセプトに高台に新設された。入学以来、間借りや仮設の校舎だった子どもたちを、せめて6年生の三学期と卒業式だけでも、新しい校舎で迎えさせてあげたいという地元の強い願いで、昨年末に完成した。

 宮城県内で初めての校舎・屋内運動場とも木造小学校で、複数の木造校舎が、鉄筋コンクリート(RC)造などの耐火構造の部分を挟みながら並んでいる。それらの接続部分を連結するエキスパンションジョイントカバー(Exp.J.C.)は、屋根は金属製、壁は樹脂製を使用。樹脂製Exp.J.C.は、当社の「アーキウェイブ」という製品。業界に先駆けて2006年に発売して以来、すでに約900件の実績を重ねている。特に東日本大震災以降、各地で急速に採用が増え始めた。

 発売以来、被害報告はゼロ——。その事実に裏打ちされたアーキウェイブの特性を、従来のExp.J.C.の課題を整理しつつ紹介したい。

従来の金属製Exp.J.C.には克服できない弱点がある

 Exp.J.C.は、地震や風、温度変化などの外力を吸収するために、建物同士の隙間(クリアランス)に取り付ける。外力を受けて建物が動くと、水平に拡大・圧縮(X方向)、水平にスライド(Y方向)、鉛直(Z方向)に動いて追従する。平面形状が複雑な建物同士や、振動特性の異なる建物同士、温度変化の大きい建物同士、免震建物などで広く使われている。

 従来、Exp.J.C.の主流は金属製だが、実は金属ならではの弱点がある。大地震時に破損や脱落する恐れがある点だ。破損のパターンは大きく3つある。

 1つめは、天井端部の破損で、Y方向にスライドする建物同士のずれに追従できず、仕上げボードなどを傷めてしまう。Exp.J.C.自体が変形・脱落することもある。Exp.J.C.の破損では、このパターンが最も多い。

 2つめは、Exp.J.C.の可動性能を超えて建物が動いたために起こるケース。例えば、Exp.J.C.の可動性能以上に動くと、破損あるいは脱落してしまう。

 3つめは、複雑に入り組んだ部位のExp.J.C.が、大地震時に破損するケース。外壁や天井のコーナーなどの納まりが複雑だと起こりやすい。

 当社は、2次災害を招かない金属製Exp.J.C.を、業界に先駆けて打ち出してきた。2001年に本体カバーに無理な負荷がかからない可動ジョイント仕様、05年には脱落防止のセイフティワイヤーを導入した。しかし、金属製のExp.J.C.でそうした対策を取れるのは、一般部に限られる。どの建物にも出隅や入隅があり、納まりが複雑なコーナーに取り付けるExp.J.C.の安全対策には限界がある。そうした部位でも破損・脱落に対する安全性を担保するにはどうしたらよいのか。

 その悩みを解決する次世代のExp.J.C.として、今、樹脂製のアーキウェイブが注目されている。

● 樹脂製Exp.J.C.「アーキウェイブ」の3つの特長 ● 樹脂製Exp.J.C.と金属製Exp.J.C.の納まりの比較
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一度使ったらリピーターになるアーキウェイブの「非主張性」

 強安全性能、耐環境性能、非主張性能――。これら3点で、樹脂製Exp.J.C.は優れた性能を持つ。

 安全性については、振動台実験を実施して、免震構造用で最上級の性能指標である「A種」を耐震構造用でクリアしている。可動性能に優れ、複雑な動きにも対応する。可動性能以上の可動量による試験でも、破損はあっても脱落はしない。

 樹脂製なので、耐候性を心配する声はある。しかし、当社のアーキウェイブで使う「サントプレーン」という素材は、柔軟性や耐久性の高さで定評がある。日本では1991年に建築素材として登場して以来、劣化らしい劣化は見られていない。このことから、経験に裏打ちされた素材と言える。

 また、エアタイトドアの基準に用いられるA-4等級線(JIS A1516)の60倍の気密性能にもなることから、食品や医薬品、精密機械などの生産施設、防災関連施設でも採用が進んでいる。

 もう1つの特徴が意匠性の高さだ。金属製はクリアランスの外側にカバーを被せるが、樹脂製はクリアランスの中に取り付けることが可能。例えば、建物のクリアランスが200mmの場合、金属製Exp.J.C.は300mmを超えるサイズのものになるが、樹脂製はクリアランスと同じ200mmで納まる。

 金属だと複雑な納まりになるコーナー部なども、樹脂製はシンプルですっきりと仕上げることができる。また、当社のアーキウェイブには4色のカラーバリエーションがあるので、仕上げ材との相性で自由に選ぶことができる。

 このように、内外観で目立たない「非主張性能」が大きな特徴で、一見どこにExp.J.C.があるのか分からないと言われるほど。リピーターが非常に多く、「一度使うと、金属製には戻れない」と、多くの設計者が口にする。意匠上は主張せず、地震発生時には全方位にしなやかに対応して建物を守る。

 次世代Exp.J.C.と言える樹脂製のアーキウェイブを、自信を持ってお勧めしたい。

Exp.J.C.「アーキウェイブ」のカラーバリエーション 施工事例:東松島市立宮野森小学校
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