第6回 木質建築空間デザインコンテスト審査結果発表

主催:大阪ガスケミカル 共催:日経アーキテクチュア 後援:日本建築士会連合会

最優秀賞

「食堂の壁のはなれ、屋根と窓のある家」
宮 晶子STUDIO 2A

審査委員講評

 ローコストであることが、木の洞窟という明快なコンセプトに集約することに寄与し、生活する人や道具の背景としての住空間は潔く、唯一無二の住まいとなっています。室内は4面とも合板を張り巡らしたシンプルな仕上げですが、機能と連動する床レベルやボリュームの扱いにより、空間を分割しつつ繋いでいくアイデアは秀逸。また塗料の使い方を丁寧に説明され、本コンテストへの意気込みがプレゼンテーションに現れ、その説得力には敬意を評します。建て主の経営する洋食店の増築ということで、その関係で行われたボリュームの調整は本計画で重要な役割を占めており、図等で相対的に示されるとよりよかったと思います。

 各部門賞はもとより、全応募作そして応募者は、全国津々浦々に広がり、示された新しい提案や概念は、建て主や施工者そしてそこに関わる人々を巻き込み、今後の展開を多いに期待できるものでした。

平倉 直子 氏

 対角線方向の片流れ屋根をもつ4つの矩形のボリュームが最小限の接辺でかつ、微妙な角度で接し、僅かな段差で断片的に連続しています。様々な位置に設けられた、ほぼ同一の正方形の開口部から射し込む柔らかい光が階調のある陰影を生み出し、変化に富んだ空間を現出させています。カドミウムイエロウに着彩された床に射し込んだ光は粒子となって空間を黄金色に満たしています。ここでは空間をつくりだす初源的な要素である光、色、素材、形態が洗練された理知的なデザイン操作で豊穣な空間に昇華されています。単純で複雑、即物的でありながら豊かな木質建築空間となっており、最優秀賞に相応しい作品であると評価できます。

 全体的には、様々な用途と規模、形式の木質建築空間が広がりを見せ、新たな都市の風景を形成していると実感できました。また、回を経るごとに洗練された完成度の高い作品が確実に多くなっているのも事実です。

石田 敏明 氏

 作品を通して木質空間を演出する塗料の魅力を伝えることは、このコンテストの大切な目的の一つです。最優秀作品は、木と塗料の幸福な出会いを教えてくれました。床のカドニウムイエロウは黄色、珊瑚色、硯の粉色の3色で調合され、床の木目が微かに浮かびあがるように着色されています。懐かしい記憶の中の黄色を呼び起こす、空間の豊かな詩情は、この塗装を抜きに語ることはできないでしょう。

 応募作品は世相を映します。木を建築資材として捉えるだけでなく、心や身体に作用する木の力を、子どもや動物、終の住処に活かす作品が印象に残りました。木の不燃処理の技術が都市の木質化を可能にし、温かな木の表情を湛えた商業ビルも登場しました。地域産材利用への意欲、構造技術者や施工者の強力なサポートも随所に感じ、木造の世界が活動期に入ったと実感しています。

桝田 洋子 氏
審査委員長
平倉 直子 氏 建築家 平倉直子建築設計事務所 代表
■1950年 東京都生まれ ■1973年 日本女子大学 家政学部住居学科卒業 ■1978年 平倉直子建築設計事務所設立 ■1989〜2012年 日本女子大学 住居学科 非常勤講師 ■現在 早稲田大学 芸術学校、非常勤講師
審査委員
石田 敏明 氏 建築家 神奈川大学 教授
■1950年 広島県生まれ ■1973年 広島工業大学 建築学科卒業 ■1973年 伊東豊雄建築設計事務所入社 ■1982年 石田敏明建築設計事務所設立 ■1997年-2016年 前橋工科大学 教授 ■現在 神奈川大学 工学部 建築学科 教授
桝田 洋子 氏 構造エンジニア 桃李舍 代表
■1959年 大阪府生まれ ■1984年 京都工芸繊維大学 工芸学部 住環境学科卒業 ■1984年 川崎建築構造研究所入社 ■1993年 同大学大学院 工芸科学研究科修士課程修了 ■1989年 桃李舍設立
作品提出(計 467件)
● 住宅部門 218件
● 一般建築部門 140件
● テーマ部門 109件
インテリア 35件
リノベーション/コンバージョン 74件
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