CHANGEMAKER #05 プラントハンター 西畠清順

西畠清順写真

CHANGEMAKER #05

プラントハンターは、
植物で世界を変える。歴史を創る。

プラントハンター

西畠清順

NISHIHATA seijun

2015. 11 .4 公開

interview : SAKIYA miho 
photo : KIM yongduck

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プラントハンター。聞きなれない職業が、チェンジメーカー西畠清順さんの仕事。世界中の自然に分け入り、まだ見ぬ植物をハンティングし、人々の目の前に連れてくる。

商業施設に全国47都道府県から集めた桜を一斉に咲かせたり、樹齢1000年のオリーブを小豆島に植えたりと、植物で人の心を動かす活動をさまざまに展開してきました。老舗植物卸問屋の5代目という顔と、次々に斬新なプロジェクトを仕掛ける「そら植物園」代表としての顔。当代きってのプラントハンターが語る、世界を変える仕事とは。

冒険の世界と一流の世界、どちらも心底味わえる仕事

── 清順さんの肩書きは「プラントハンター」。いったいどんなお仕事なんですか?

俺、自分で「プラントハンター」って名乗り始めたわけじゃないんです。もともとホームページをつくったとき、友達のデザイナーがつけてくれたブログのタイトルが “plant hunter”だったんです。
そのときは「言葉の響きが強くてカッコいいな」と思ったくらい。
でも、名は体を表すというか、「プラントハンター」とたまたま名づけられたときから、仕事が大きく広がっていった。
そもそも、「プラントハンター」という名前は、17世紀頃、ヨーロッパで生まれました。貴族や王族などに雇われて、食用や薬用になる植物や観賞用の植物の新種を求め、世界中を探検する人のことです。
ただし、プラントハンターという仕事自体ははるかに古い。4500年くらい前には、異国の植物を求めて旅する人がいたそうです。4500年前といえば、古代文明の黎明期です。
プラントハンターって、人類の歴史を創り、世界を変えてきたんですよ。まさにチェンジメーカーの仕事なんです。

── 「プラントハンター」が人類の歴史を創り、世界を変えた?

ええ。いま、世界中の人たちが食べている穀物や野菜や果物は、みんな世界のどこかから誰かがハンティングしてきて、栽培種に改良して広めたものです。
たとえば、コロンブスが新大陸を発見し、現地人が栽培していた南米原産の植物であるトウモロコシをヨーロッパに持ち帰らなかったら、その後どれだけの人々が餓死したことでしょうか。
トマトもジャガイモもピーマンもトウモロコシも、ヨーロッパ人が中南米から持ち帰った植物です。
ゴッホの名作「ひまわり」だって、プラントハンターがいなかったら、生まれていなかったかもしれない。
ヒマワリという植物は北アメリカが原産地です。スペイン人が16世紀、ヒマワリの種をヨーロッパに持ち帰り、広く栽培されるようになった。ゴッホがフランス南部のアルルでヒマワリを題材にあの名作を描けたのも、誰かがプラントハンティングしたから、ですね。
俺たち日本人の日々の食生活だって、歴史上存在した無数のプラントハンターの仕事に支えられている。日本の農産物の95%は外来種ですから。
ね。プラントハンターが人類の歴史のど真ん中を創ってきた、といっても過言じゃないでしょ。

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現代のプラントハンターの仕事は、何か?
まだ見ぬ薬用植物を探す。人類の未来を変えるようなバイオテクノロジーの素材になるような植物を見つける。珍しい観賞用の植物を発見する。
俺の場合は、みんなが愛でてくれる植物を探しに行くのが主な仕事だけど、珍しい植物をただハンティングするだけじゃない。
今、3000種類ほどの植物を自分の植物園で育てています。
その中から、お客さんの「こんな植物がないだろうか?」というオーダーにぴったりの品種をセレクトし、届け、展示する。探す、切る、育てる、咲かす、魅せる、育てる……そういうことを全部含めて、プラントハンターの仕事としてやっているわけです。

プラントハンターになるのに、資格はいりません。
自分で名乗ればもうその日からプラントハンターです。
趣味で植物を集めている人も、海外から植物を輸入している商社も、その意味ではみんなプラントハンター。
ただ、自分の仕事を振り返ってみると、「プラントハンター」と名乗るには、2つの条件をクリアする必要があると思っています。
「必要とされてること」。「食えてること」。つまり、お客さんがいて、仕事になってるってこと。
「こんな植物がほしい!」というオーダーがあって、対価をもらえる。「プラントハンター」を名乗るからには、そうじゃなくっちゃ。

── プラントハンターの仕事で、特別ワクワクするのは、やはり海外で植物を探すときですか?

はい。子どもの頃から、探検・冒険が好きだったんです。自転車を買ってもらったときも、見たことない景色を見たくて、どこまで遠くに行けるかすぐに挑戦しました。
たぶん俺だけじゃなくて、男の子は、たいがい冒険したいんじゃないかな。
その意味で、プラントハンターの仕事は、子どもの頃に持っていた冒険心を、最強にくすぐってくれるんですよ。

写真21歳の清順さんをプラントハンターの世界に引きずり込んだ、ボルネオ島キナバル山にある巨大な食虫植物ネペンセス・ラジャ。和名オオウツボカズラ
最初のプラントハンティングは、21歳のとき。
当時はまるで植物に興味がなく、趣味で熱帯地方を旅行していたんです。
インドネシアのボルネオにたどり着いて、園芸の仕事をしている父に連絡したら、「キナバル山の奥の秘境に、おもしろい植物がたくさん生えてるぞ」。
言われるままに登ったキナバル山。
そこでネペンセス・ラジャ、和名オオウツボカズラという食虫植物に出会いました。
捕虫する部分は長さが30センチもあり、フチが妖しく赤く光っている。
こいつを見つけた瞬間、めちゃくちゃ感動したんです。
大人になってもこんな宝探しみたいなことでワクワクできることがあるんだ……。

このときのワクワクが、俺の仕事の原点です。

実に子どもっぽい動機だよね。
でも、そんな子どもっぽい動機に突き動かされて世界中からハンティングしてきた不思議な植物を心待ちにしているのは、華道の家元だったり、ランドスケープアーティストだったり、各界の一流の人たち。
超・大人なプロフェッショナルの世界と、超・子どもな冒険の世界が隣り合わせになっている。
それがプラントハンターという仕事です。たまんないですよ。

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CLÉ DE CARTIER ─ SIMPLE IS AN ART ─

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カルティエの4つめとなる定番コレクション

CLÉ DE CARTIER写真

左)クレ ドゥ カルティエ ウォッチ WG (アリゲータストラップ) 40mm ¥2,484,000
右)クレ ドゥ カルティエ ウォッチ WG (アリゲータストラップ) 31mm ¥3,380,400

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カルティエの4つめとなる定番コレクション

カルティエは、いつの時代も創造性に富んだ、革新的なタイムピースを生み出してきた。20世紀初頭、ブラジル人飛行家アルベルト・サントス=デュモンのために製作されたモデルをオリジンとするスクエアケースのサントス。1917年、戦車からのインスピレーションで誕生したレクタンギュラーケースのタンク。2007年、風船のような軽やかなラウンドケースの新機軸を打ち出したバロン ブルー ドゥ カルティエ。

いずれも登場した当時は、パイオニア精神にあふれる斬新さで人々の驚きを誘ったものだが、デザインに潜む普遍性によって、時代をリードしながら、メゾンを象徴するアイコンというべきポジションを獲得していった。

「CLÉ DE CARTIER」は、こうしたタイムピースに列せられる、4番目のアイコニックなコレクションである。特定の型にはまらない、かつてないフォルムを模索すると同時に、シンプルさ、普遍性、本質的な美、そしてカルティエらしさとは何か、が追求された。その結果が、「CLÉ DE CARTIER」に結実している。そしてまた、男性と女性に向けてのモデル展開があるのも魅力の一つであろう。

CLÉ DE CARTIER クレ ドゥ カルティエ

─ Cartier - カルティエ オフィシャルサイト ─