山口晃

CHANGEMAKER #06

西洋に縛られない。日本にこだわらない。
描きたい気持ちを突き詰めたら、
新しい「日本の画」が生まれた。

画家

山口晃

YAMAGUCHI akira

2015. 11 .10 公開

interview : SAKIYA miho 
photo : KIM yongduck

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日本画? 西洋画? レトロ? 未来? ジャンルも時空も国境も軽々と超えて、大和絵でも浮世絵でも油絵でもない、新しい「日本の画」の分野をひとり切り開いてきた山口晃さん。芸術作品の枠からも飛び出し、六本木ヒルズや日本橋三越を「山口流」で描く商業美術までをも軽やかに手掛けます。
伝統があるがゆえに型にはまりがちな美術の世界で、なぜ山口さんはさまざまなボーダーを飛び越え、美術界のチェンジメーカーたり得たのか?
きっかけは、美大予備校で直面した「日本の西洋画」に対する大いなる疑問、でした。

美術の様式は「出ちゃった」が一番正しい

── 山口さんの絵を見ると、鑑賞する人の中にある「これは西洋画」「これは日本画」といった従来の美術の枠が、がらがらと崩されてしまいます。いつこの枠を壊そうと思ったんですか?

写真

©YAMAGUCHI akira, Courtesy Mizuma Art Gallery 

写真左から:
「電車ごっこ」(2015)紙に水彩 「モノレールから」(2015)紙に鉛筆、水彩 「白鳥ステンショ」(2015)紙に鉛筆、水彩

壊そうと思ったことはなくて、油絵を学んだ現代日本人がどんな絵を描けるのか探ってきた結果です。
ただ、美大を目指して浪人して、予備校で西洋画を鑑賞して油絵ばっかり描き続けている間も、間借りしているような遠慮を感じていたのは確かです。

もともと、子どもの頃から、単純に描くのが好きだったんです。車だったり、ロボットだったりといったお絵描きが。
でも、中学になり、高校になると、思ったように描けない自分が歯がゆくなった。
もっともっとうまくなりたい、という欲が出てきたんです。
そんなとき、父親が、自分も通っていた地元の画塾の先生を紹介してくれました。
その先生が油絵を描く方でしたので、その成り行きで油絵を描くようになったのです。
ちょうど進路を決める時期でしたから、それならと、美大を目指した。

そうして油絵、西洋美術を学んでいくうちに、だんだん思うところがでてきます。

たとえば、マネやピカソの絵を見て、こういうところがいいな、この絵はピリッと何かが効いている。
そういうことは自分にもわかる。だからといって、印象派やキュビズムの成果を自国のこととしては受け取れない。前段階が違うからです。もちろん無視して日本に閉じこもるのも違う。

そういうものに同時代のこととして感応するのはよくわかるし、自然なことと思います。ただ洋画家個人史としては違っても、日本洋画史としてみたときに、それがミニ西洋美術史のようになっているのは問題だなと思いました。

── すごくわかります。明治時代からの日本の「西洋画」に対するもやもやした感じは、自分たちのものにまだなっていない表現、ということだったんですね。

写真

お手本としての西洋画を厳格に追い求めるのも、日本のオリジナリティにこだわりすぎるのも、それを入口にするのは良いけれど、到達点にしてしまってはおかしいわけです。絵の新しい表現って、夢中で描いているうちに、「やむにやまれずなんか出ちゃった」というのが一番正しいと思うんです。
室町時代の水墨画も、中国の絵画様式を厳格に学びつつ、「でも、こうするともっといい」って絵師が心血を注いで筆を動かしているうちに、中国のそれとは別の独自の「日本の画」が出来上がったわけですよね。外来のものを咀嚼して内発性を乗せてゆく。

その後、私立の美大に受かるんですが、仮面浪人をしまして、このときむしろ意図的に西洋画をものにしてやろう、とたくらんだんです。印象派風に描いたり、キュビズム風に描いたりして、その変遷を追体験する。その後、入学した東京藝術大学で、西洋画を飲み込んだ技術を自分の内なる日本とぶつけて、あるべき近代化をやり直すぞ、とまあ大志を抱いたわけですね。

── それですぐに今の画風に?

となるわけはないんです。いきなりつまずいちゃいました。

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CLÉ DE CARTIER ─ SIMPLE IS AN ART ─

Style

シンプルで美しいフォルム

CLÉ DE CARTIER写真

クレ ドゥ カルティエ ウォッチ WG(ブレスレット)40mm ¥4,600,800

Style

シンプルで美しいフォルム

カルティエのすべてのタイムピースは、建築物を構想する際と同様のアプローチで、3次元の観点から設計される。個性的かつ複雑なラインで構成されるフォルムは、一目でカルティエと分かる強いオリジナリティを持つ一方、一切の無駄をそぎ落としたピュアでシンプルなスタイルへと昇華される。

カルティエの新コレクション「CLÉ DE CARTIER」も、もちろん例外ではない。完璧な円を基調としながら、それを凛としたカーブが取り囲むデザインからは、全く新しいフォルムを見出そうとする意思が汲み取れる。
ケースサイドは、流れるようなアーチを描き、滑らかにして自然。人間工学も考慮され、手首に心地よくフィットする。丸みを帯びたベゼル、次第に細くなるラグ……、計算し尽くされたディテールが、ひとつになって完璧に調和し、気品に満ちた秩序を生み出している。

斬新でありながら、以前から存在していたかのような、時を超えた本質的な美を、目で、そして身に着けたときに肌で、感じることができるに違いない。

CLÉ DE CARTIER クレ ドゥ カルティエ

─ Cartier - カルティエ オフィシャルサイト ─