• BPnet
  • ビジネス
  • PC
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • NATIONAL GEOGRAPHIC
  • 日経電子版
スペシャルリポート

[コージェネシンポジウム2017レビュー4]パネルディスカッション 日本の都市・産業の競争力向上に向けて ~コージェネレーションが果たす役割~

[コージェネシンポジウム2017レビュー4]パネルディスカッション 日本の都市・産業の競争力向上に向けて ~コージェネレーションが果たす役割~
2017年3月15日(水)公開
取材・文/小林佳代 写真/加藤康
 

「コージェネシンポジウム2017」の締めくくりにパネルディスカッションが開かれた。パネリストとして清水建設の波岡滋専務執行役員、三菱重工エンジン&ターボチャージャの花沢芳之代表取締役社長、PwCアドバイザリー合同会社の野田由美子パートナー、東京ガスの安岡省取締役常務執行役員の4人が登壇。コージェネ財団の柏木孝夫理事長がコーディネーターとなり災害が避けられない日本の都市力向上における、コージェネレーション(熱電併給)システムを核とするスマートエネルギーネットワークの構築の重要性などについて議論した。

「自然災害のリスク」で東京は最下位の評価

柏木孝夫氏(以下敬称略):このパネルディスカッションではコージェネが都市や産業の競争力向上にいかなる役割を果たすかについて議論をしていきます。電力・ガス自由化で日本のエネルギーシステムが大きく変わりつつある中、各地域は大規模インフラに頼り切るのではなく、コージェネのような自立分散型電源を確保し、電気や熱を面的に融通し合うスマートエネルギーネットワークをつくろうと動き出しています。野田さん、世界では都市間競争が熾烈な状況となっていますが、日本のこうした動きは都市力向上につながるでしょうか。

野田 由美子(のだ ゆみこ)氏
野田 由美子(のだ ゆみこ)氏
PwCアドバイザリー合同会社 パートナー インフラ・PPP部門統括 都市ソリューションセンター長
1990年ハーバードビジネススクールを卒業後、日本長期信用銀行(現新生銀行)に入社。本店、ニューヨーク支店、ロンドン支店を経てPwCロンドンに入社。2000年に日本に帰国後、PFI・民営化部門を立ち上げ日本のPFI市場の創設と発展に深く関わる。07年から09年まで横浜市副市長に就任。精華大学日本研究センター(北京)シニアフェローを経て11年より現職。

野田由美子氏(以下敬称略):そう思います。PwCは2007年から毎年「Cities of Opportunity」と題した都市力ランキングを発表しています。都市力を「未来に向けて機会あふれる魅力ある都市」と定義。「変化する世界に適応するための手段」「生活の質」「経済力」という三つの柱、その下にある「技術の成熟度」「交通・インフラ」「持続可能性と自然環境」「産業・生活のコスト」など10の指標、さらにその下にある67の指標で評価します。

 2016年のランキングで東京は世界30都市中15位でした。10の指標で見ると「健康・安全、治安」は圧倒的に高いのですが「産業・生活のコスト」や「持続可能性と自然環境」の評価が低い。67の指標のうち「自然災害のリスク」は最下位の30位です。ただし「自然災害への備え」ではトップ。災害発生のリスクを減らすことはできませんが、防災、減災の能力を高め、都市力強化につなげることは可能なのです。コージェネをそこに位置づけて考えることが必要です。

柏木:コージェネを取り入れたエネルギーシステムを構築し、地域のレジリエンス(防災・減災)性、BCP(事業継続計画)性を高めることが都市力向上の大きなカギとなるわけですね。スーパーゼネコンはまちづくりに主要な役割を果たす存在ですが、波岡さんはどう考えていますか。

波岡滋氏(以下敬称略):私たちもBCP、レジリエンスは非常に重要と考えています。清水建設が掲げているのは「ecoBCP」というキーワード。平常時の環境性・省エネ対策と災害など非常時のBCP性・エネルギー自立性確保を両立する施設・まちづくりを進めています。建設業は昔から施設の耐震化、免震化などで地震への対応力強化に努めてきました。しかし単体の施設での対応には限界があります。現在、私たちは多棟間、街区に取り組みを広げていこうとしています。

 例えば清水建設が手掛けたプロジェクトの一つに近接する三つの敷地で事務所2棟と集合住宅を建設した「オアーゼ芝浦」があります。事務所棟の一つにコージェネを導入。公道下に自営のライフラインを敷設し、3棟を対象にエネルギーの面的利用を実現しました。CEMS(地域エネルギーマネジメントシステム)による最適制御でCO2(二酸化炭素)排出量を30%削減しています。

 より広いエリアでのプロジェクトには1万2000人の学生が通う中部大学の例があります。コージェネと太陽光で発電し、先進的なエネルギーマネジメントシステムで60棟の建物を制御。CO2を30%削減しました。どちらも安全で環境に優しく強靱なスマートコミュニティとなっています。

 
前ページ前ページ 123456 次ページ次ページ
 
スペシャルリポート 記事一覧