データで施策を評価―― 科学的アプローチで成功に導く「健康経営」

CASE STUDY 株式会社 フジクラ

いまでこそ、健康経営に取り組む企業は数多いが、その重要性にいち早く気づき、先進的な取り組みを行ってきた企業がある。それが1885年の創業以来、電線、ケーブルの開発・製造で培ってきた“つなぐテクノロジー”をベースに、エネルギー、情報通信、エレクトロニクス、自動車電装の4つの領域で事業を展開する(株)フジクラだ。本格的に健康経営をスタートさせてから約3年――、本サイトでも過去2回に渡り紹介してきた同社の取り組みだが、ここにきてその効果がはっきりと現れてきたようだ。

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徐々に現れてきた取り組みの成果
リクルーティングへの影響など副次的な効果も

(株)フジクラは、2014年1月に“社員が活き活きと仕事をしている会社”をゴールイメージに「フジクラグループ健康経営宣言」を発表。以来、この宣言の下、社員の健康を増進する活動に取り組んでいる。

健康経営を進めるにあたって、同社がまず取り組んだのが、「コラボヘルス」体制により、健康保険組合、人事部が持つ健診データやレセプトデータ、個人が持つ健康データなどを一元管理するシステムを構築すること。これにより総合的なデータ解析を行い、それぞれの健康リスク階層別に向けた健康支援のための具体的な施策が提供できる環境を実現した。

また、経営コスト、社員の健康状態、健康増進プログラムの運用、外部評価など様々な側面から健康推進活動の投資効果を指標化しているのも大きな特徴。1つひとつの施策をきちんと評価することで、効果があれば継続し、効果がなければ変更するというPDCAサイクルを回し、効率的かつ確実に成果に結びつける仕組みになっている。以上については、本サイトで過去2回に渡って紹介した通りだ。

それでは、このような取り組みを本格的に始めて約3年を経た現在、どのような変化・効果が現れているのだろうか? 同社の健康経営推進室長、中山幸洋氏に尋ねると、

取り組みの具体的な成果

最も大きな変化として挙げられるのは、健康診断の結果が改善されていることです

との答えが返ってきた。

例えば、元々同社の社員には、全年齢で血圧が高いという健康面での課題があったが、今年の健康診断では、20代から60代までの全ての年齢層において、血圧の平均値が下がるという結果になったという。健康経営推進室の副室長を務める浅野健一郎氏はこの結果について「社員の意識を計測することは難しいですが、このような結果が出たということは、社員の意識が確実に変わっているからだと考えています」と胸を張る。

さらに、人事部長を兼任する中山氏は、健康経営に取り組んだことによる副次的な効果として、

健康経営の副次的効果

採用面談の際に、
わが社が健康経営を
推進していることを話す学生の方が
多くなりました

と募集・採用活動への影響に言及。

実際、今年の新入社員全員が、同社が健康経営に取り組んでいることを入社前から知っていたといい、「同社が健康経営に積極的に取り組んでいること」を志望動機に挙げた者も多かったようだ。

この事実について、研修の場で講師を務めた浅野氏は次のような感想を持つ。
「学生の方々は我々が考えている以上に、企業が社員を大切にしているかということを気にして、健康経営に関する情報もきちんと捉えていることを再認識しています」