NPO法人 TABLE FOR TWO International 代表理事 小暮真久氏interview 自分の「想い」に向き合うとは、どういうことなのか 天職に巡り会えたと実感できる生き方を考える


VOL.2 大企業を捨てて社会起業家へ

一流の顔ぶれに感銘を受けてコンサルへ

小暮真久氏

小暮真久(こぐれ・まさひさ)氏
1972年東京生まれ。早稲田大学理工学部卒業後、1999年スインバン工科大学にて修士号取得。マッキンゼー・アンド・カンパニー東京支社入社。2005年松竹株式会社入社、事業開発を担当。2007年NPO法人TABLE FOR TWO Internationalを創設、代表理事に就任。先進国の肥満と開発途上国の飢餓という2つの問題の同時解決を目指す日本発の社会貢献プロジェクト「TABLE FOR TWO」を主導する。シュワブ財団(スイス)が表彰する「アジアを代表する社会起業家(2011年度)」賞の5人の1人。 著書:『「20円」で世界をつなぐ仕事』(日本能率協会マネジメントセンター)、『20代からはじめる社会貢献:400社が支援した「社会起業」とは』(PHP研究所)、『社会をよくしてお金も稼げるしくみのつくりかた』(ダイヤモンド社)

「最初から社会事業に関心があったわけではないんです」
 先進国のメタボ問題と開発途上国の飢餓問題を同時解決をテーマに活動する日本発のソーシャルビジネスTABLE FOR TWO(TFT)の代表理事、小暮真久氏は、いくつかの転機を経て、社会起業家にたどり着いた。
 大学で機械工学を専攻後、人工心臓の研究をしようと、当時日本よりも研究が進んでいたオーストラリアのスインバン工科大学大学院に進学する。1999年に修士号を取得して日本に戻ったものの、オーストラリアで見たような医療とビジネスがダイナミックに絡み合う世界はなかった。
 研究の世界を飛び出し、もっとビジネス寄りの経験をしたいと考え、たまたまコンサルンティング会社のマッキンゼー・アンド・カンパニーの話を聞いて、興味を抱くようになった。

「会社を訪問するたびに、応対してくれた人がみなキラキラしていて、エネルギーにあふれていた」。それまで見たこともなかった優秀な人々に惹かれて迷うことなく入社したという。
 だが、研修中は知らないことばかりで勉強に追われ、「初めて落ちこぼれ感を味わった」という。

 コンサルタントとして5年を過ごし、最後にニューヨーク駐在も1年経験した。英語はある程度自信があったとはいえ、専門分野となると歯が立たないときもあった。また、米国ではコンサルタントの担当分野はかなり細分化されており、きわめて高い専門知識が要求される。小暮氏は日本でゼネラリストとして通用していたものの、専門知識のレベルでは太刀打ちできず何度も高い壁にぶつかったという。時には「もう東 京に帰ったほうがいいんじゃないか」と言われるほど、土俵際まで追い込まれたこともある。
 それでも日本企業の米国支社で現地採用社員の定着率を改善するプロジェクトを成功させ、大きな成果を上げた。だが、その顧客企業のトップから労をねぎらわれながらも、「あなたは民間企業に勤めたことがないから我々の本当の気持ちは理解できない」と言われ、ショックを受ける。この出来事は、その後の生き方に大きな影響を与えることになった。

日本企業での悶々とした日々

 ニューヨークでの駐在期間が終わって帰国。小暮氏には迷いがあった。当時33歳。ある種の“燃え尽き感”を覚えていた。日本でコンサルタントを仕事にしていれば多くの人が経験することのようだが、顧客から「しょせん外部の人でしょ」とか「実務を知らないな」などと言われて虚しい思いをすることも少なくなかった。あれこれ提案しても、結局実行するのは顧客企業だからだ。
 このままコンサルタントとして上を目指すか、それともまったく新しい世界に打って出るか…。
「その頃、迷いに迷って、本当にたくさんの人にアドバイスを求めました」

 結局、一度は実業の世界を覗いてみたいと考え、2005年に日系企業に入社、事業開発を任された。  外資や海外勤務の世界から突然、日本的な経営の組織に移り、戸惑いも多かったという。米国流の経営スタイルに慣れた眼には、経営課題の内容から稟議の上げ方まで、まったく違う世界に見えた。
「マッキンゼー時代は次々に降ってくる仕事をいかに押し戻すかで大変でしたが、転職したら自分の力を持て余すような日々になっていました。日本的経営のいいところもたくさんあって勉強になりましたが、従来とは違う新しい提案になかなか許可が下りず、これでは自分の力を発揮できないと痛感しました」
 悶々とした日々を過ごす中で、小暮氏は新しいことにチャレンジするためにとうとう退職を決意する。

模造紙が教えてくれた本当の自分

 どうすれば、自分の納得のいく道を選ぶことができるのか。小暮氏は、自分の想いをはっきりさせるため、大きな模造紙を買ってきた。机の上に模造紙を広げ、自分の記憶を幼い頃まで遡って、楽しかったこと、うれしかったこと、嫌だったこと、2度とやりたくないことなどを次々に書き連ねていった。例えば「校庭での朝礼後、教室まで“公式の経路”で遠回りして戻るのが大嫌いだった」といった子ども時代の記憶などだ。

 そしてこの心の叫びをグルーピングしていくと、共通項が見えてきた。それは、「共感を大切にしたい」、「創造することが原動力」、「高い目標に向かって志を同じくする仲間とチームで挑む」ということだった。
「すでにルールがガチガチに決まっていて、それにただ従って動くような作業は嫌でした。逆に自分で新しいことやスリリングなことを考え出して、気の合う仲間たちと実行していくことが好きでした。国籍の違う仲間との混成チームで取り組んだプロジェクトはとにかく楽しかったですね。人の好き嫌いもあるので、そこに集う顔ぶれが自分のモチベーションに直結していることもわかりました。高校生以降は海外に出ることが夢でした。世界の平和に貢献したかったことも思い出しました」

 今回は相談相手も一人に絞り込んだ。ニューヨーク駐在時代にマッキンゼー・アンド・カンパニーから財団やNPOの世界に飛び込んでいく人たちがいたことを思い出し、マッキンゼーから公共部門に転職した先輩に、転職したい旨を話したところ、食の不均衡是正による社会貢献のアイデアを紹介された。世界のどこにもない日本発のコンセプトだという。
 ただし、具体的にどうやって事業として仕掛けていくのか、まったくの白紙状態だった。実際に進めるとなれば、片手間では運営できない。小暮氏は、グローバルな潮流を見れば必ず日本にもソーシャルビジネスの波が来ると確信し、自ら手を挙げたのだった。
「日本はもちろん、世界でも誰もやっていませんでしたし、正直言って格好いいなと思いました。これなら自分の強みもきっと活かせるという思いもありました」
 それから2カ月後には辞表を出していた。不安よりも、本当の自分の想いに応えられる道を探し当てたことで、ワクワクする気持ちのほうが圧倒的に強かったという。その想いが小暮氏のそれからの10年を支えることになった。


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