日本の国際協力で完成したCFPの南アフリカ・リサイクルプラント。廃プラスチックから油をつくる

その3:廃プラスチックから
燃料オイルと「誇り」をつくります

ケーススタディ CFP
広島県福山市→南アフリカ

廃プラスチックから生成した油を瓶に入れて持つCFP社の南アフリカ現地スタッフ

広島県南東端にある福山市は、広島県第2の都市。瀬戸内海に面しあちこちでバラが咲きほこる街としても知られています。

その福山市に本社のあるCFPの主な事業は、合成樹脂や合成ゴムの加工・卸売り。

同社は、南アフリカで廃プラスチックを油化するプラントを立ち上げているそうです。つまりゴミから燃料資源をつくってしまう。南アフリカ人の従業員からもそして市民からも大好評。海外営業部油化営業課ジェネラルマネージャーの佐藤哲也さんにうかがいます。

海外営業部油化営業課ジェネラルマネージャーの佐藤哲也さん

―レジ袋などの廃プラスチックから油がとれるそうですね。

例えば廃プラスチックのひとつであるレジ袋1キログラムから、ディーゼル油に近い種類の油を1リットルつくることができます。プラスチックにはいくつか種類がありますが、レジ袋やパッケージなどに使われるポリエチレンが最も効率よく油がとれるので、今はもっぱらこのポリエチレンを原料にしています。当社の南アのプラントでは1日約4トンの廃プラスチックから約4000リットルのオイルができるんです。

—南アフリカではどんなニーズが?

自家用発電機での利用を主なターゲットに考えています。通常、発電機の燃料は軽油かA重油ですが、このリサイクル油も使えるんです。アフリカはまだまだ電力供給が不十分。相対的に先進国と見なされる南アですら、自家用発電機を使っている家庭が少なくない。収入が高くない世帯にとって、安いリサイクル油は燃料として非常に潜在需要が大きいのです。

ご存じの通り、現代社会のゴミで一番多いのがプラスチック。一般廃棄物の6割を占めます。現在、南アにおけるリサイクル率は18%ですが、これをまずは25%へと上げたいと思っています。

JICAの協力で完成したリサイクル・プラント

―もともと日本でもこのプラスチック油化の事業を展開していたのですか?

はい。日本でも多くの引き合いをもらっています。特に外食産業が多いですね。パッケージのリサイクルを検討する会社が多いのですが、エネルギーや環境問題を考えたとき、海外の方がもっと需要があるのではないかと考えたんです。

せっかく保有している廃プラスチック油化の技術をどの地域だったらビジネスにできるだろうか?東南アジア、インド、中国にも、もちろんニーズがあります。ただライバルが多く、いきなり打って出るには競争過多で勝ち抜くのは困難だろうと思いました。

模索していたところ、JETRO主催の南アフリカ 環境・エネルギー商談視察ミッションに参加したんです。2011年ごろのことです。そこで自家用発電機を中心にリサイクル油の潜在需要が大きいというアフリカの事情を知ったんです。

そんなとき、JICAが中小企業を対象にした民間提案型普及・実証事業応募の第1回を呼びかけていたのです。アフリカを提案してみれば面白いのではないか。そう考えて、愛知県半田市にあるカネミヤ社様と共同事業体で応募しました。カネミヤ社は使用済みポリ袋を洗浄してきれいにするための機械を開発しており、当社とタッグを組んでもらえれば、南アで実現できる!と思いました。回収したポリ袋をカネミヤ社の機械できれいに洗浄し、当社の機械でそのポリ袋をリサイクル油にする、というスキームです。

アフリカでの油化装置設置がステップとなり、東南アジアのマレーシアにも油化事業を展開することができました。


南アフリカでのリサイクル事業は、パンフレットに

―アフリカへ出てきて、一番うれしかったのはどんなときでしたか。

プラントの試運転段階で、初めてオイルができたときですね。現地の従業員がこう言ったんです。

「このオイルをペットボトルに入れて家に持って帰ってもいいか」

なぜかと聞いたら

「子どもに見せたい、学校に持っていかせてポリ袋からこうやってオイルができることを周りに教えたい」と。

従業員が仕事に対してプライドを感じてくれたんだ、とうれしくなりました。

完成したプラントから生成した油を採取する

―この事業が軌道に乗ると南アでは誰もポリ袋をポイ捨てしなくなるかもしれませんね。街もきれいになるでしょう。南アでのビジネスでどんなところに配慮しましたか。

南アに限った話ではないのですが、私たちは「プラント」という「使い続けるシステム」を販売しています。だから、機械を売って仕事が終わり、ではないんです。プラントは導入後もメンテナンスが必要です。とは言っても、私たちがずっと常駐するわけにもいかない。現地で、メンテナンスの仕事を担ってくれるパートナー探しが重要です。私たちのような中小企業はあちこち手を広げることができませんから、パートナーに任せられる部分を増やす工夫が欠かせないんです。

ただ、このパートナーを探すのが難しい。「私がやりましょう」と手を挙げる「人はすぐ出てくるんですが、大概、パートナーというよりは、代理店になりたがる人が多いんですよね。たくさんの会社から、真面目に取り組んでくれる会社を選ぶことに細心の注意を払いました。

南アフリカでの事業セミナーには多くの地元業者が集まった

―本気で取り組もうとしている、信頼できる人はどうやって見つけているのですか。

まず、JICAやJETROが主催する現地でのセミナーに参加すると、意欲のある人とたくさん出会えます。これが最初のきっかけです。次に現地の会社の人と話すと私は必ずこう言うようにしているんです。

「本気でやりたいなら、費用は自分持ちで日本へ来てください」

本気なら、必ずいらっしゃいます。

そうやって相手に日本へ来てもらうと、いいことがあります。日本がどんな国なのかを知ってもらえるのです。日本へ来たことがないアフリカの人の多くは、「トヨタの車をつくっている国」としか認識がなかったりします。日本とタイ、シンガポールとの区別が付かない人も少なくありません。日本に来てもらうと、日本の街の様子を知ってもらえますし、社会がきっちり動いていることも体感してもらえる。日本人は約束を守ることもわかってもらえます。実際、ケープタウン市の役人にも来日してもらったんですが、「日本は信頼できるし、技術もある。足を運んで初めて納得できた」と話していました。

収集した廃プラスチックをこれからリサイクルして油にする

―南アフリカはアフリカ大陸随一の先進国ですが、南アならではのビジネスの難しさを感じることはありますか。

そうですね。日本ともアジアとも違う思考とか習慣がありますから。

欧州とアフリカの文化が融合していて、その多様性が魅力であると同時に複雑な歴史も持つ地域でもあるということは、もともと頭では分かっていたのですが、現地で活動する中でそれを実感しました。

私たちはプラントの稼働を現地スタッフに任せることができるようオペレーターの教育も行ったり、一緒に装置を稼働させたり、学生を招待して見学会を行うなど、常に現地の人と接してました。独自の風習や微妙な心理をおのおのが持っていると感じて、なんとなく最初は打ち解けるのが難しいと思っていたんです。

でも相手を理解しようと思う気持ちと、私たち日本人のことを知ってもらいたい気持ちが伝わり、いつの間にか良いチームワークを築くことができていました。

世界どこでもそうですが、いろんなタイプの人がいます。仕事へのモチベーションも人それぞれ。南アの人たちのモチベーションや生活環境を理解して、こちらも考え方や伝え方を変える必要がありました。試行錯誤の日々でした。

中小企業編 まとめ

地方からアフリカへフロンティアを目指した中小企業のビジネスパーソンのみなさんは、現地の文化を理解し、信頼できるパートナーを見つけ、協力し合うことで、ビジネスを根付かせようとしています。

前回ご紹介したベンチャーの方も次回ご紹介する大企業でも、そして私自身の経験でも言えることですが、アフリカでビジネスを展開するとき、最初は極めて個人的な現地の人たちとの人間関係の構築からスタートすることが多いようです。ビジネスは会社対会社で行うものであっても、その基礎となるのは、人と人との関係なのです。

そして、日本では出番が少なくなった技術でも、アフリカでは活躍の場所が無数にあること、日本では別の用途で使われているものが、思わぬところで力を発揮すること、そして、日本では後発の企業も、アフリカでは先駆者になれる可能性を秘めていることもわかりました。

こう考えると「なぜアフリカに進出したのですか?」と今回取材に協力していただいた各社の方にお尋ねするよりも、アフリカ進出をためらっている企業の方に「なぜ進出しないのですか?」と聞いてみたくなる気がします。企業の規模が小さかったり、現時点では現地にネットワークがなかったりしても、JICAやJETROの連携事業というお墨付きを得ることで、現地での活動がしやすくなります。もっともっと多くの中小企業が、新しい市場として純粋にビジネスの視点でアフリカを目指す。そんな流れができるときがすぐ近くまで来ているような気がします。

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