TICAD Ⅵではアフリカのかっこいい男子と女子にも会えました

アフリカはもっと成長するからこそ、
日本の国際協力がさらに重要になります。

TICAD Ⅵを機会に、多くの日本企業がアフリカを訪れました。そこで出会ったベンチャー、中小企業、大企業の方々。「何もないからこそアフリカはむしろ先端市場になるはず!」「日本ではすでに当たり前になった技術が、今こそ売れる!」「かつての日本が辿った道が、そのままビジネスになる!」「10年単位の長期投資で考える!」いろいろなメッセージをもらいました。

では、TICAD Ⅵを主催した日本にとって、どんな成果があったのでしょうか。JICAアフリカ部参事役(TICAD・開発政策分析担当)の吉澤啓さんにまとめの言葉をいただきましょう。

TICAD Ⅵの開催に尽力した、JICAアフリカ部参事役(TICAD・開発政策分析担当)の吉澤啓さん

―今回のTICADを振り返っての感想をお聞かせください。

初めてのアフリカ・ケニアでの開催で、日本からの参加者数がどの程度になるか、正直不安もありました。が、3000人もの人々に参加いただき、民間からは約100社がジャパンフェアにブースを出してくれました。まさに、官民合わせてのオールジャパンで、アフリカに対する日本の意気込みを見せることができ、アフリカ各国の首脳や企業により具体的なアプローチができたと思います。

今回、安倍晋三総理からは官民合わせて3年間で約300億ドルをアフリカに投資するという発表がありました。前回のTICAD Vは5年で約320億ドルですから、1年当たりの投資額は約64億ドルから約100億ドルと、1.5倍になりました。これは日本とアフリカとのビジネスを拡大させるという力強い意思表明であったと思っています。

―これまで援助を中心に活動してきたJICAの活動も、今後は民間シフトが進むのでしょうか。

国の成長は、つまるところその国の市場が自力で発達することです。外部から国際協力を行っても、市場が育たなければ、国民は豊かになりません。現在、アフリカは、道路や電力などのハードインフラ整備に加え、法律や教育、医療などのソフトインフラの整備のまっただ中です。こうしたインフラ整備はJICAのような政府機関による国際協力によって成し遂げられる側面がとても大きいのです。今後はインフラ整備の成果をベースに、アフリカと日本の企業がタッグを組んでビジネスを成長させることが望ましい。極論を言えば、私たち国際協力の機関にとっては、自分たちがその国で失業するのが最終目標なのです。

―アフリカで援助関係者の仕事がなくなる日は、来るのでしょうか。

たとえば30年以内にその日が来るかというと、まだ難しいでしょう。アフリカは2000年以降ずっと成長をしてきて、1990年には4億人を超えていた貧困人口が減ってきましたが、現在もなお、アフリカの貧困人口は3億人から4億人の間と言われています。

ではこの貧困層が今後どれくらいの数に減っていくのか。

JICAが委託したシンクタンクが試算した結果では、2030年でも順調にいって2億人です。私もその数字は妥当だと思っています。アジアやインドでも貧困人口が減っていますから、今後、世界中の援助の目がアフリカに集中していくことも十分に考えらます。その先にドラスティックな成長があれば、2040年には2億人が1億人になります。1億人がゼロになる世界が21世紀半ばごろには何とか実現できるのではないかと思っています。

TICAD Ⅵの会場ではたくさんの日本人とアフリカ各国の人々が混ざり合っていました

総まとめ

TICAD Ⅵに参加した日本のベンチャーも、中小企業も、大企業も、アフリカでのビジネスに大きな期待を寄せています。日本政府も、巨額の投資を行うことを決めています。日本からのアフリカビジネスはこれからますます活性化していくでしょう。未来に向けて豊かになっていく10億人の市場は、どんなビジネスにとっても魅力的です。

では、日本企業がアフリカで成功する秘訣は何でしょうか? 

私自身も当事者であり、その答えがあれば苦労はしないのですが、今回お会いしたみなさんに共通するのは、まず「アフリカ」という大きな言葉でこの市場をくくって考えない、ということでした。

アフリカは巨大な大陸です。北米と中国とヨーロッパと日本を足したよりも広い国土に、54の国があり、はなから「アフリカ」ですべてくくれるわけはないのです。民族も言語も文化もさまざま。その一方で、インフラの普及率や貧困率などアフリカ全体に共通する要素もあります。

この連立方程式を解くにはどうすればいいのでしょうか?

とても「ベタ」な結論になりますが、ビジネスのスタート時は、「アフリカ」という大陸のくくり、「ケニア」や「エチオピア」という国のくくりよりも、「誰と組むか」という人との縁が実は重要になるのではないでしょうか?

とりわけ中小企業の場合は、いい意味での「属人的なつながり」の構築がアフリカビジネスでの第一歩を踏み出すための必要条件となるようです。

日東建設の場合、海外で出会った現地パートナーとの縁がナイジェリアでのビジネスにつながったといいます。鳥取再資源化研究所の佐藤さんは、アフリカで出会った人にはすぐメールを送り、個人レベルでのネットワークを大切にする、とおっしゃっていました。CFPの佐藤さんは、「わざわざ日本にやって来てくれた経営者」だけに声をかける、と取引先の選び方の秘訣を話していました。みなさん、それぞれ、個別の具体的なつながりをとっかかりにビジネスをスタートしているのです。

そしてもちろん、アフリカの人たちからどれだけ「個人的に」信頼されるかどうか、というのが、アフリカ進出を担当するビジネスパーソンには求められます。

アフリカですでに地歩を築いているサラヤの更家社長はもちろん、味の素の取出さん、和田見さん。そしてLIXILの山上さんは、お話をうかがうほど、アフリカの個々の家庭のレベルにまで足を運んで、小さな地域での信頼をひとつひとつ獲得していくところからスタートしていました。大企業といえども、「最初の一歩」は、「個人と個人の信頼関係」がすべてなのです。

青年海外協力隊出身者である私にとって、ベンチャー編で紹介したアフリカスキャンの澤田さんのみならず、鳥取再資源化研究所の狩野さん、サラヤの宮本さん(現在は他社ケニア事務所で活躍中)のように、青年海外協力隊の経験者が各社で活躍していることは、大きな励みになると同時に、「青年海外協力隊経験者はアフリカビジネスに必須の人材」と声を大にして言いたくなります。JICAと民間企業との連携が、もっともっといろいろなかたちで進めば、日本だからこそできるアフリカビジネスがこれからどんどん生まれるはずです。